aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

2019年ベスト

2019-12-30 21:46:44 | ベスト
というわけで、今年も残すところあと一日。例によって、今年私が見た/聴いたものからベスト3を選んでみたいと思います。基準は例によって私個人に与えたインパクトの強さ、ということで・・・(順番は観た順です)。

〇美術
・奇想の系譜展 奇想の系譜の総括的な展覧会でした。辻先生×山下先生という師弟コンビの想いが、半世紀の時を経て展覧会として実現したということにも感動してしまいます。
・塩田千春展 まさに渾身の展覧会でした。癌の再発という事態もいい作品を生み出すための試練、というご本人の言葉にも震えがきました・・・。
・ゴッホ展 ゴッホ絡みの展覧会はこれまで何度となく見てきましたが、この展覧会でゴッホがゴッホになるまでをようやく知ることができたように思います。サンレミの療養所に入ってからの作品を集めた最後の一室は圧巻を通り越し、異次元空間と化していました。
〇映画
・ヨーゼフ・ボイスは挑発する ヨーゼフ・ボイスという一筋縄でいかないアーテイストを紐解いてくれた作品。でも、まだまだ謎は多い・・・。
・トミー 映像と音楽が手を携えて爆走、という意味では稀有な作品。一方で、“see me,feel me”の美しさは忘れられそうにありません。
・アルツハイマーと僕 認知症という重いテーマを扱った作品ですが、音楽というものの本質を見せてくれる作品でもあったと思います。
〇音楽
 選ぼうにも一本しか行けていない(泣)。前世紀から大好きだった“Different trains”を生で聴けて感無量でした。
〇舞台
 選ぼうにも三本しか見れていない(泣)。Rosasもアピチャッポンも素晴らしかった!

こうして見たいものを見て、年末には(勝手に)ベストを選べるというのは本当にありがたいことだと、年々思うようになりました。幸せなことです。また、来年も素晴らしいアートが皆を幸せにしてくれますように!
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Groovecaster

2019-12-29 09:09:48 | 音楽
森広隆「Groovecaster」を聞きました。

森さんの4年ぶりのアルバムです。前作から4年経っていたのか・・・月日の過ぎるのが本当に早いですね。
朝焼け(夕焼け?)の海を前にギターを弾く森さんのシルエットが映っている綺麗なジャケットです。このアルバムのイメージはまさにこの海のよう・・・。今回はとりわけストレートなLove songが多いかな、という感じで、聴いているこちらまでHappy&Sweetな気持ちになってしまいます。森さん、何かいいことあったのか!?(笑)音的にはミニマムというか、森さん単独によるものがメインです。数曲、森俊之さんが参加されていて、素敵なウーリーを聴かせてくれています。嬉しかったのは「rainbow seeker」が収録されていたこと。この曲、大好きなんですよね。カラオケに入っているとついつい歌っちゃいます(難曲なので全然歌えてないんだけど)。そして、この曲でブリブリのベースを聴かせてくださっていた岡雄三さんが亡くなっていたことを知りました。悲しいですが、でも、岡さんの音はこうして残ってゆける・・・。ラストの「Delight in life」で世界は締めくくられますが、この曲を聴いていると海に沈みゆく夕陽を見ているような不思議な感慨を覚えます。

というわけで、今回も森さんには楽しませてもらいました!次は何年後になるかなぁ・・・。


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草間彌生∞INFINITY

2019-12-20 23:18:53 | 映画
シネクイントで「草間彌生∞INFINITY」を見てきました。

美術学生時代に草間彌生の芸術に魅了されたヘザー・レンズ監督によるドキュメンタリーです。企画を始めてから10年、監督自身も草間彌生が「世界で最も売れる女性芸術家」になるとまでは思っていなかったのだとか・・・(以下、ネタバレ気味です)。

映画は草間彌生の幼少時代にまで遡ります。子どもの頃から絵を描くことに熱中していましたが、親には美術の道に進むことを反対されていました。ある日、ジョージア・オキーフの作品に心を奪われ、手紙を書いたことから運命が動き始めます。オキーフからの返事にはアートは都会で動いている、ということが書かれており、草間彌生は渡米する決意をします。当時はNYでも女性アーティストは個展を開くことさえ難しいという状況でした。ましてやアジア人ということで二重に差別を受けることになります。あのソフトスカルプチャーで注目を集めるも、某超大御所アーティストにアイディアをパクられ・・・後には鏡の部屋のアイデアもあるアーティストにパクられていました。そんななかでジョゼフ・コーネルと付き合っていた時のエピソードが面白かったです。コーネルの家の庭で、二人でキスしていたら彼の母親にバケツで水をぶっかけられた件とか(しかも一張羅を着ていたのに)。その後、「裸体は美しい」という信条のもとに始めたパフォーマンスで注目されるも、一転して逆風が吹きはじめ、日本へと戻ることに。アーティストとしてのキャリアは終わったかと思われましたが、90年代にアメリカで開催された回顧展を機に全世界で注目されることとなりました。

あの時代に日本人女性が単身、NYのアートシーンに挑んでいく、その強さとエネルギーに圧倒されます。一方で、自らの精神疾患との闘いもありました。自殺を図ったこともあります。あの水玉やカボチャの背後にも壮絶な過去があったのですね・・・。やはり、あのカボチャはただのカボチャではなかったのです。今、御年90を過ぎてもなおエネルギッシュに制作を続ける彼女の姿は、見ている者まで元気にしてくれます。

さて、例によって鑑賞後はランチということで、パルコの中にある「天ぷら たかお」に行ってきました。博多のお店が進出してきたのだとか。ランチの天ぷらも揚げたてが供され、けっこうボリュームもあります。お肉の天ぷらというのは初めて食べました。天ぷらだけでなく、ご飯やお味噌汁も美味しくて満足でございました。
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ハプスブルクの夢

2019-12-01 11:53:50 | 美術
国立西洋美術館で「ハプスブルク展」を見てきました。

今年は何やら日本におけるオーストリア年のような様相を呈していましたが、最後に真打登場!という感じです。クラーナハ、デューラー、ブリューゲル、そしてベラスケスといった大御所の作品も出ていて、実に華麗な展覧会でした。特にベラスケスは4点も!「宿屋のふたりの男と少女」は、ベラスケスならではの人の表と裏を見通すような目線を感じます。そして、フェリペ4世とマルガリータ・テレサの親子の肖像も。やっぱり似てますね~、親子だわ。「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」を見ていると思わず、ちゃ~~~ららら、ら~ららららら~と、ラヴェルの「亡き王女の為のパヴァーヌ」が頭の中で鳴ってしまいます。隣にはお弟子さんによるよく似た作品が。デューラーは「騎士と死と悪魔」「アダムとエヴァ」といった代表作が展示されていました。ヤン・ブリューゲルの「堕罪の場面のある楽園の風景」は幻想的な作品。カルロ・ドルチの「聖母子」にも思わず見入ってしまいました。あとは、スタイリッシュな甲冑シリーズやルドルフ2世のユニークなコレクションも。そして、ハプスブルク家、と言えば女性、ですが、マリア=テレジア、マリー・アントワネット、そしてエリザベトの肖像画がやはり圧巻。思わずため息が出てしまいそうです・・・。

その後、新館の方で開催されていた「内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙」を見てきました。中毒学を専門とする学者である内藤裕史氏の中世写本のコレクションです。精密かつ神秘的な小宇宙。気の遠くなるような手作業の集積なのでしょう。展覧会では内藤氏による「コレクションへの道のり」という文章も配布されているのですが、これがとても読み応えがありましたので、これからいらっしゃる方はぜひ手にとっていただきたいです。内藤氏が神の啓示のような言葉を聞いてコレクションに集中する過程、寄贈への動機など、非常に興味深いものでした。
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