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アートネタなど日々のあれこれ

村上隆の五百羅漢図

2016-01-29 00:14:43 | 美術
森美術館で「村上隆の五百羅漢図展」を見てきました。

例によって、鑑賞前に腹ごしらえ・・・ということで、期間限定でオープンしている「お花カフェ」に行ってきました。確かにお花がいっぱい(笑)。お花オムライスは売り切れだったので、グリーンカレーを頼んでみたのですが、野菜の素揚げがトッピングされていて、おいしかったです。食後には「お花ラテ」。綺麗なお花のラテアート・・・。

さて、村上隆さんといえば・・・正直、どちらかというと苦手なアーティストさんだったので、行こうかどうしようか、と迷っていたのですが、ネット上で、「嫌いな人ほど行ってほしい」的な書き込みを見かけたこともあり、行ってみることにしました。たしかに、イメージが変わりました。

村上隆さんの作品をまとめて見るのは実はこれが初めて。思っていたよりも、ポップで楽しい。会田誠さんのような毒は感じません。それどころか「好きになってほしい」オーラみたいなのをひしひしと感じました(笑)。かの大作「五百羅漢図」も、すごく不思議な感じでした。特に「朱雀」。何て言うか・・・宇宙空間にポーンと放り出されたような感じ。いや、実際に放り出されたことなんかないんだけど、きっとそういう目にあったら(?)、何も考えず、もうひたすらほわわわわぁ・・・と浮かんでるしかないんだろな、というような・・・変な表現ですけど・・・。

ところで、最後の作品は「馬鹿」(笑)。この中で、芸術とは「自分でも整理しきれない美術」みたいな言葉があって、これが何だかツボにはまってしまいました。出口近くの映像コーナーでは村上隆さんのインタビュー映像が流れていたのですが、「自分がアンハッピーでも、見る人にはハッピーでいてほしい」という言葉があって、思わずしんみりしてしまいました。

この日は、森アーツセンターで「レンブラントとフェルメール」展も見てきました。17世紀オランダ黄金時代の絵画をおもに、風景画、建築画、海洋画、静物画、肖像画、風景画に分けて展示しています。心惹かれる作品はいくつかありましたが、やっぱりフェルメールの「水差しの女」。窓から差し込む柔らかい光、ほの青く光る室内。もう、見ているだけで、ほわわわわぁ・・・と、幸せな気分になってしまいます。やっぱりアートはいいなぁ・・・(←遠い眼)。
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THE LAST

2016-01-26 19:10:30 | 音楽
スガシカオ「THE LAST」を聴きました。

何と6年ぶりのメジャーデビュー(!?)アルバム。そういえば6年も経ってたのか・・・何だか実感ないです。それにしてもなんなんでしょう、この思わせぶりなタイトル(笑)。まさか、引退!?とか、思ってしまった、ファンの方も少なくないはず。まぁ、そういうことでは、なさそうなのですが・・・。

発売日に届いたCDを、子どもたちが寝静まってから聞き始め・・・なぜか「おれ、やっぱ月に帰るわ」がツボにハマってしまい、10回くらいリピしていました。もう1回聴こうかな、と思った瞬間、うまい具合に寝てくれていたはずの1歳児が泣き出し、やっとの思いで寝かしつけたところで自分も撃沈・・・。その後もCDを聴こうとする度に、決まって子どもたちの妨害が。「ひまわりの約束」を聴きたい息子にデッキを奪われ、歌詞カードを楽しい絵本と勘違いした娘に「読んで~」とダイブされ・・・もうかたっぽの手にスープの入ったカップ持ってたんですけど・・・娘と歌詞カードには被害がなかったのが不幸中の幸い・・・(爆)。

というわけで、まだ2回ししか聴けていないので、あんまり詳しいことは書けないのですが・・・長年ファンやってきたつもりではありますが(笑)、いまだかつて見たことのないスガシカオがいた、という感じです。今回、小林武史さんが共同プロデュースということですが、凄腕プロデューサーって、ほんとに凄いんだな、ということを実感いたしました。サウンド的にはけっこうEDMに寄ったのでしょうか。ライヴで盛り上がりそうな曲がいっぱいありましたね。村上春樹さんのライナーもとても素敵だったし。それにインベカヲリさんの写真も・・・こんな不穏な写真を撮る方がいらっしゃったとは。

ところで、去年の年末くらいから今年の年明けくらいにかけて、いろいろ思うところがあり、スガさんの初期のアルバムを聞き返していました。それこそ「Clover」「Family」「Sugarless」あたり。けっこう久しぶりに聴いたんですが、おそろしいことに、当時の感情とか感覚とかが鮮明によみがえってくるんですよね。スガさんの音楽には、普段、忘れていた(忘れたフリをしていた?)、無意識のうちにフタをしていた感情を思い出させる何かがあって・・・別にわざわざ癒してくれずとも、そういう感情が存在するということを認めてくれる(?)だけで、救いのようになるのかもしれません。その後、長い年月を経て、スガさんの作風は相当変わってきたと思うけど、こういうところはたぶん変わってないのかな・・・。今回のアルバムは「集大成」的な位置づけらしいですが、なんだか「起承転結」の「転」くらいのような気もします。スガシカオ、というストーリーはどこまで続いていくのか・・・。まだまだ、子どもたちには「ちょっと聴かせらんない」曲を作り続けていただきたいものです。
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青の光景

2016-01-19 19:43:59 | 音楽
秦基博「青の光景」を聴きました。

・・・というか、けっこうハマっております。なにげに名盤なんじゃないかしらん。秦さんのことを初めて知ったのは、たぶん彼のデビュー前もしくは直後くらい。森美術館に展覧会を見に行った後に、六本木ヒルズの展望台に寄ったら、そこで秦さんが歌っていました。あの少しざらついた声の質感に、何となくスガさんを思い出し・・・。以来、ずっと気になる存在ではあったのですが、その後、育児のドタバタに紛れて音楽から遠去かってしまったこともあり、今回、初めてCDを購入しました。子どもが映画「ドラえもん」の主題歌になっていた「ひまわりの約束」が大好きなんですよね。私もこの曲大好きだし。「青の光景」というタイトルにも惹かれました。

で、聴いてみたところ・・・まず、どハマりしてしまったのが「Q&A」。最初聴いた時、思わず20回くらいリピしてしまった(笑)。愛と憎しみは紙一重、みたいなドロドロの世界観と疾走感のあるサウンド。スガさんの「ストーリー」をちょっと思い出しました。その次にハマってしまったのが、「嘘」。一瞬、不倫の歌(?)とか思ってしまったけれど、まったりした感じのAメロBメロ、突き抜けたような感じのあるサビがとても綺麗。で、その次が「FAST LIFE」。グル―ヴィーなサウンドとコミカルかつ皮肉な歌詞。そして「ひまわりの歌」。やっぱり、この曲を聴くと、うるうるしてしまいます。「ディープブルー」も素晴らしい。深海の底に沈んでいくようなサウンド。ひんやりした水の感触まで伝わってきそうです・・・。そして、アルバムを通して聴けば、それはそれで一つの流れが見えてきます。

それにしても、「青の光景」ってタイトル、本当にうまいことつけたなぁ、と思ってしまいます。空の青に海の青。淡い青から、深い青まで。「青臭い」もあれば、憂鬱な「ブルー」も。爽やかな青、哀しみの青、美しい青・・・いろいろな青がここにはあります。

そして、我が家の6歳児も、ふと見るとヘッドホンにかじりついて「ひまわりの約束」をヘビロテしていました。「お風呂に入りなさい」といってもガン無視。「そばにいたいよ~」とか熱唱しています。音痴のくせに(笑)。あぁもう、つくづく似たもの親子だわ・・・(爆)。
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DENKI GROOVE THE MOVIE?

2016-01-10 10:14:41 | 映画
新宿バルト9で「DENKI GROOVE THE MOVIE?~石野卓球とピエール瀧~」を見てきました。

電気グルーヴの26年の軌跡を追ったドキュメンタリー。いったいどんな映画になるのやら、と思っていたら、きわめて真っ当なドキュメンタリーに仕上がっていました。もっとも「アホや~」と目を覆いたくなってしまう映像も一部混じっておりましたが(笑)。ちなみに監督は「モテキ」で知られる大根仁さんです。(以下、ネタバレします。)

映画では、電気グルーヴの活動を本人及び関係者の証言を交えつつ、ほぼ時系列で追っています。この手の音楽映画って、インタビューが中心で、肝腎の音楽については「お~と~は~?」となってしまうことが少なくありませんが、この映画については、その心配は無用でした。ライヴシーン満載です。周りのお客さんもノリノリでしたね。これだけの歳月を経ても、かっこいい曲はかっこいいんだ、と再認識いたしました。「Shangri-La」とか、なつかしかったなぁ・・・。

バンドヒストリーの方は、結成~インディーズ~デビュ~大ブレイク~海外進出~メンバー脱退~活動休止~再開、という流れになっています。お二人のハチャメチャな凄さと、まりん(砂原良徳)さんの果たした役割の大きさをあらためて知ることとなりました。個人的にはまりんさん脱退のエピソードが切なかったですね。ドイツ志向の卓球さんとイギリス志向のまりんさんが、合わなくなってきたということのようですが・・・あんまり切なかったので、思わず3人の相性を占ってしまいました。これはどうしても、まりんさんが離れていく組み合わせになってしまいますね・・・う~ん・・・。

こうして紆余曲折を経た後の、2014年のフジロックのグリーンステージ。四半世紀の時を経て、なおも大観衆を踊り狂わせるお二人の姿を見て、じ~んと来てしまいました。これだけ栄枯盛衰の激しいこの世界で、これをやり遂げるのがどれだけ凄いことか。かつての可愛い少年達(?)が、すっかりいいおっちゃんになってましたが(笑)。今が一番自由にやれてる(←すみません、うろ覚えです)みたいなことを言っていましたね・・・。

最後にステージ袖で、いい年こいたお二人が、まるで男子高校生みたいにじゃれ合っているシーンがあって、思わず目頭が熱くなってしまいました。このままじいちゃんになっても仲良しでいてほしいと、願わずにはいられません・・・。
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美術館を手玉にとった男

2016-01-09 01:05:29 | 映画
ユーロスペースで「美術館を手玉にとった男」を見てきました。(この映画館での上映は既に終了しています。)

この映画は、全米20州、46の美術館を30年間だまし続けていたという、贋作画家マーク・ランディスのドキュメンタリーです。信じられないような話ですが、何と実話。おまけに、本人が本人役(?)で出演しているという・・・(以下、ネタバレします。)

マーク・ランディスのレパートリーは、15世紀のイコン、印象派、ピカソ、マグリット、ディズニー等々、とまあ、実に多岐にわたります。それを神父やら資産家やらに扮して美術館に寄贈して歩くのです。お金を詐取したわけではないので罪には問われませんでした。贋作の製作過程はけっこうアバウト。古く見せるためにコーヒーをぶっかけちゃうとか(笑)。そして、この贋作を見抜いたのが、シンシナティ美術館の元学芸員、マシュー・レイニンガー。彼は自分の職を捨ててまでランディスの活動を追い、贋作作りをやめさせようとするのですが・・・。

それにしても、事実は小説より奇なり、を地で行くような話です。そもそもなぜランディスは贋作の制作を始めたのか?彼は十代の頃、統合失調症と診断され施設に入れられますが、やがて、独特の記憶術を用いて模写を始めます。彼にとって、贋作を作り「寄贈」することは、「慈善活動」であり、社会とつながるための(恐らく)唯一の手段。神父や資産家に扮するのは、映画で見た人物がヒントになっています。一方で、何やら鋭い名言(?)を吐くことも。「オリジナルなんて存在しない。すべて元ネタがある。」「美術館のツボは金と美」(←だったかな?すみません、うろ覚え・・・)

そして、ランディスの贋作になぜ、46もの美術館がだまされたのか?だまされた美術館の学芸員のコメントも様々ですが・・・。ただ、あくまで素人考えですが、「寄贈」となると「購入」よりもしかして、チェックが甘くなるのかな?とはちらっと思いました。

この後、レイニンガーの元同僚がランディスの展覧会と開くというアイデアを思いつき、実現します。観客の評判もよく、ランディスもまんざらでもなさそう。これで、彼も贋作から足を洗い、自身のアート制作を始めるのかと思いきや、何ともシニカルなオチが・・・。

というわけで、いかにも一筋縄ではいかないというか、いろいろと考えさせられる映画でした。アートの本質とは?「オリジナル」は存在するのか?美術館の存在意義とは?はたまた人は社会とつながりを持たずに生きていけないものなのか?とかいうところまで・・・。アートの本質が人に何かしらの感動を与えることだとしたら、贋作を見て喜んでいる人がいるのなら、それだってアートじゃないか、ということになる・・・私たちが「アート」と思っている(思い込んでいる?)ものっていったい何なんだろね・・・と、見終わった後、そんなもやもやが頭の中をぐるぐるしてしまったのでした。
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創造と神秘のサグラダ・ファミリア

2016-01-07 22:34:21 | 映画
恵比寿ガーデンシネマで「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」を見てきました。

とはいえ、見てからけっこう日が経ってしまっているので記憶が薄らいでいるのですが・・・静かでどこか厳粛な趣もある映画でした。時折流れる、バッハのミサ曲ロ短調も印象的でしたね・・・。(以下、ネタバレ気味です)

さてさて、言わずと知れたサグラダ・ファミリアですが・・・最初はガウディではない、別の建築家に依頼されていたこと、また、ガウディの死後、スペイン内戦によって図面や模型の大半が失われていたことなどは初めて知りました。映画はサグラダ・ファミリアの歴史の解説と現在の関係者のインタビューを中心に進んで行きます。インタビューに登場するのは建築家や彫刻家などですが、「生誕のファサード」を製作する日本人の彫刻家、外尾悦郎氏も登場しています。氏はガウディに近づくためにカトリックに改宗したとのこと。「ガウディがどんな線を思い描き、何を求めたのか、私は毎分毎秒問い続けている。」一方、「受難のファサード」の彫刻家スピラックスは「ガウディを踏襲するのではなく、自分が生きる時代に根差した表現を求めるために、ガウディから離れて考えることにした。」対照的な姿勢ですが、これは図形や模型が失われたことにより、現在の関係者の裁量の余地がある程度生まれているということのようです。また、ステンドグラスの作者は「抽象画を手がけてきたから今さら別のスタイルは試せない、それは自分への裏切りになる」と言っています。

映画では、工事現場やアトリエ、設計室など、スタッフしか入れない内部の映像も公開されています。ビジュアル的に最も印象が強かったのは、ステンドグラスに囲まれた内部の映像。柔らかな光が色鮮やかなステンドグラスを通して降り注ぐ光景は、この世ならぬもののようです。

そして、この映画を見ていると古今東西の人々が教会、神殿、寺社等々、の建築を延々と造り続けてきたことの意味合いを考えてしまいます。ある神学者は「サグラダ・ファミリアは宗教を超えて人が家族として集うべき場所」と語っていました。

ガウディは「神は急いでおられない。焦らなくていい」という言葉を残していますが、1882年に着工されたサグラダ・ファミリアも、2026年には完成予定とのことです。が、この映画を見ると、完成が楽しみ、という気持ちと、永遠に完成しないでほしい、という気持ちが入り混じってしまいます。でも、いつかはかの地で、ステンドグラス越しに降り注ぐ光を浴びてみたいものです。




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氷の花火

2016-01-06 01:49:00 | 映画
シアターイメージフォーラムで「氷の花火」を見てきました。

それにしてもこの映画、タイトルが何とも魅力的ですよね。予告編も何やらただならぬ感じで、いそいそと見に行ってきました。(以下、ネタバレします。)

山口小夜子さんというと、オリエンタル・ビューティーの代名詞みたいな方だったという記憶がおぼろげに残っていますが・・・こうしてあらためてスクリーンで見ると、本当にお綺麗な方だったんですね。それだけでなく、全身から放たれるオーラが凄い。とりわけ、パリコレの映像なんて鳥肌もんです。だからこそ、各界の著名人をも虜にしたのでしょう。この映画に出てくるのも錚々たるメンツです。山本寛斎、高田賢三、ジャン・ポール・ゴルチエ、セルジュ・ルタンス、立花ハジメ・・・皆、小夜子さんのことを語る時には、お眼々キラキラになっちゃってます。高田賢三さんは、彼女のことを「かぐや姫みたい」とまで言っていました。かぐや姫とはまさに言い得て妙・・・。

ニューズウィークの「世界のトップモデル」に選ばれたり、「SAYOKOマネキン」が世界中のショーウィンドウを飾ったりと、トップモデルとして頂点を極めた彼女ですが、資生堂との専属契約が終了したのを境に、表現者としての模索が始まります。映画、演劇、ダンスパフォーマンス、衣装デザイン・・・天児牛大氏や勅使河原三郎氏ともコラボレートしていたとは初めて知りました。とはいえ、表現者としての活動には厳しい面もあったのかもしれません。でも、彼女の模索が最後のパリコレに生きたのかも、と思います。あれはもはや“ショー”の領域を超えています。

この映画では、小夜子さんの内面的なことにも触れられています。彼女自身の語りも収録されていて、ああ、こういう風にお話する方だったんだなぁ、と。モデルとしては巫女さんみたいで、「自我を捨てると服がこうしたらいいよ、と教えてくれる」とか、東洋的なあり方かもしれません。そして物静かな読書家だったこと。彼女の蔵書のラインナップがとても好きな感じで何だか嬉しくなってしまいました。それにしても、相当いろいろなことを勉強されていたようです。ある後輩モデルの方は小夜子さんのことを実は努力の人とも言ってましたね。持って生まれた容姿の美しさのみならず、こういう努力があったたからこそ、多くの人から死後に至るまで愛されたのでしょう・・・。

そして、そんな人々が集って始まったのが「永遠の小夜子」プロジェクト。「小夜子さんに鼻の形が似ている」という理由で選ばれた、モデルの松島花さんが小夜子さんに扮して写真を撮るのですが、途中、小夜子さんが乗り移ったかのような瞬間が訪れ・・・スタッフの方が涙を流すのを見て、思わずもらい泣きしてしまいました。小夜子さんにとって、時に「美しいことは苦しいこと」だったのかもしれません。でも、ここまで愛されるというのはやはり幸せなことなのかも、とやはり思いました。

ところで、この映画を見て、スティーリー・ダンの「Aja」のジャケットに使われていたのは小夜子さんの顔だったということを初めて知りました。世界のポピュラーミュージック史上に残る超名盤と一緒に、小夜子さんのお顔も残っていくのだろうと思うと、音楽好きの日本人としては何とも嬉しく、誇らしい気持ちになります。世界中の音楽好きのCDラックの中に、小夜子さんのほの白い横顔が浮かんでいるのかな、と思わずにまにましてしまいそう・・・。
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ガラスの家

2016-01-03 00:49:17 | 美術
ワタリウム美術館で「リナ・ボ・バルディ」展を見てきました。

不肖わたくし、リナ・ボ・バルディのことは全く知りませんでした。私は年末、ワタリウムの展覧会で展覧会納め(?)をすることが多く、その流れで見に行ったのですが・・・。年末の慌ただしさの中、かの地を旅しているかのような、心安らぐひと時となりました。(ブラジルの赤土まで再現されていたし!)

2階の会場に入るとまずは、何ともシンプルな「道ばたの椅子」がお出迎え。そして、レンガ色をした素朴かつ可憐なサンタ・マリア・ドス・アンジョス教会の模型。茅葺きみたいな屋根がかわいい・・・。このフロアには代表作の「サンパウロ美術館」や「SESCポンペイア文化センター」の模型も。こちらは素朴ながらもダイナミック。ワタリウムの窓に文化センターの格子窓も再現されています。これは何でもリナが日本の寺社建築からインスパイアされたものらしいとか。3階は彼女の自邸でもある「ガラスの家」に関する展示。光と緑が溢れる何とも心地よさそうな家です。今回はなんと床のブルータイルまで持って来たという気合いの入りよう。タイルの水色が綺麗です。ここにはリナが集めていたという民芸品の数々も展示されていました。展覧会では、リナの残した言葉もいくつか紹介されていましたが、現地の人々の暮らし、時には魂にまで寄り添おうとするかのようなリナの姿勢が印象的でした。

4階はリナが日本を訪れた時の記録や、リナの年表、インタビュー映像など。リナがデザインしたボールチェアに座って映像を眺めていたら、サンパウロ美術館に関するインタビューが流れていました。リナは「醜い」「悪い」建築を造ろうとした、のだとか。「美しい」「良い」ことが大事、とつい思ってしまうけれど、こういう考え方もあるのね、と妙に新鮮でした。

帰りに外苑前の「ゴディバ・パサージュ青山店」でホットチョコレートを飲んできました。さすがにおいしゅうございました。やっぱり、寒い冬の日はホットチョコレートがいいなぁ・・・。
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