aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

たしか雨が降っていたから、

2022-08-06 13:24:08 | 美術
Gallery KTOでインベカヲリ★ 写真展「たしか雨が降っていたから、」を見てきました(展示は既に終了しています)。

不肖わたくし、インベさんのことはスガさんのアルバム「THE LAST」のジャケットで初めて知りました。UFOキャッチャーの中からマネキンのような生身のような女性たちがこちらを見つめているという斬新なビジュアル…それ以来、気になる写真家さんだったのですが、最近、スガさんのツイートで個展を開催されていることを知り、意を決して行ってまいりました。

きっと見るのにエネルギーがいる作品だろうな…ということで、鑑賞前の腹ごしらえにギャラリーのお向かいにある「bio ojiyan café」に寄ってきました。日本初のおじやカフェということで、おじや好きとしては期待がふくらみます。一人ひとり小鍋で煮てくれるおじやは口の中でお出汁がふわんと香り、美味しゅうございました。

そんなこんなでようやく会場へ。細い階段をのぼり会場のドアを開けると異空間が…私は写真を見るのは好きで、時おり写真展に出かけたりもするですが、こういう写真は見たことがない…という感じでした。感想を言葉にするのが本当に難しいのですが…いわゆる鑑賞というよりは、被写体の眼に引き込まれるような、不思議というか異様な体験でした。私はインベさんの展示を見るのは初めてで、作風の変遷とかはよくわからないのですが、どの作品も眼が共通していたように思います。被写体はすべて女性ですが、眼には見えない何かをとらえようとするかのような眼。その視線の先には見たことのない世界が開けているようでもあり…。

会場でインベさんの著書も販売していたので、買ってみました。「私の顔は誰も知らない」というインタビュー&エッセイ集ですが、これが面白くて、ほぼ一気読みでした。社会に適応するために「擬態」するということがテーマになっていて、インタビューに登場するのは全員女性ですが、日本女性にあるまじきがさつなタイプの自分が申し訳なくなってくるくらい、皆さん、繊細で鋭い方々です。そして、インベさんの話の引き出し方が天才的にうまい。本当に写真家としても、書き手としても、聞き手としても唯一無二の方ですよね…他の著作も読んでみたいのですが、読むのになかなか勇気がいりそうではあります…。
コメント
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