aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

New Ocean

2021-01-23 14:02:25 | 美術
エスパス ルイ・ヴィトン東京でダグ・エイケン「New Ocean: thaw」を見てきました。

この展覧会はパリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンで所蔵する未公開作品を世界各地で展示するプロジェクトの一環として開催されています。「New Ocean: thaw」(2001)は没入型インスタレーション、約4分の映像インスタレーション作品です。3分割したスクリーン2組を向かい合わせに配置していて、その間に立つと映像に取り囲まれたような状態になります。映像はアラスカの空、太陽、溶けていく氷河、滴る水、川の流れ…のイメージ。水の一生、水の輪廻転生を眺めているような不思議な感覚に陥ります。そこはかとないアンビエント音がBGMになっていますが、近年の教授の作品を思わせるような音です。透明感のある世界観、失われていく氷河の痛み…この映像をずっと眺めていると、自分がというか、多くの人間が長らく自然から切り離された環境で暮らしていたということに思い至ります。この映像に没入していると大きな自然への渇望がよみがえるようです…いつか本物の氷河を見てみたい…。

ダグ・エイケンは1968年生まれのアーティスト。人間と環境の関係を追求する彼の作品は多岐にわたりますが、「映画の編集は作曲のようなもの」だとか。そういえば、彼はイギー・ポップやファットボーイスリム、バッファロードーターなどのMVも手がけていたのですね。見てみたけど、いやもうキレッキレですよ…音楽のビートと映像のシンクロ具合がみごとです。テリー・ライリーとのパフォーマンス映像とかもyou tubeで見られますが、これも面白かったです。

さて、例によって鑑賞後は甘いもの(!)ということで、お向かいにある表参道ヒルズの中にある「ユーゴ&ヴィクトール」に行ってきました。ジョルジュ・アマドとコーヒーのセットにしましたが、ジョルジュ・アマドはチョコのコーティングと中のチョコムースの絡み合いが絶妙で美味しゅうございました。夏になったらここのパフェも食べてみたいな…。
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138億光年 宇宙の旅

2021-01-11 09:57:39 | 美術
東京都写真美術館で「138億光年 宇宙の旅」を見てきました。

NASAの画像を中心に、観測衛星や惑星探査機、宇宙望遠鏡等がとらえた天体写真の数々を紹介する展覧会です。お勉強も兼ねて子ども二人も連れていきました。不肖わたくし、天文学に関してはまったくの門外漢なので、詳しいことはほとんど分からないまま、ひたすら綺麗…と見とれるばかりです。138光年といわれても気が遠くなりそうですが、広大な宇宙空間にはこんなに美しいものが存在している…と思うだけでも、今を生きる励みにもなりますよね。地球だってこんなにも青く美しい…。太陽系の天体、銀河系の星雲、銀河宇宙…。赤や橙、黄、青、藍、紫…色とりどりの眩い光。まさにサイエンスでありながらアートのごとき写真の数々。アートとサイエンスは案外近いところにあるのかもしれませんね…。小学5年生男子はところどころ解説も読みながら、年長女子は綺麗綺麗、と言いながら見ていました。外側に輪っかがあるのは土星、くらいのことはちゃんと覚えてくれたでしょうか…。

美術館からの帰り道、恵比寿駅へ向かう途中、ブルーシールの看板の前で娘がアイスが食べたい、と騒ぎはじめ…こんな寒い日にアイスかよ、と思いながらもバニラソフトを購入。ひさびさに食べるブルーシールは美味しかったです。でも、やっぱりブルーシールは沖縄の空の下で食べるのが一番美味しいな…コロナがおさまったら子連れで沖縄にも行ってみたいものです…。
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生きている東京

2021-01-10 21:44:06 | 美術
ワタリウム美術館で「生きている東京展 アイラブアート15」を見てきました。

2020年9月、ワタリウム美術館は開館30周年を迎えました。この展覧会はアーティストたちが見たこの30年から東京を再考するという展覧会です。実はわたくし、ワタリウムにはオープンの頃から通っているのですが、記念すべき30周年にまさかのコロナ禍・・・些少ながらクラファンに参加したところ、招待券が送られてきたので、ありがたく使わせていただきました。

展覧会に参加しているアーティストは15名。これまでのワタリウムの展覧会を懐かしく思い出しながら見てきました。島袋道浩さんの展覧会はフィッシュ&チップスとか、笑えるツボがそこかしこにあって楽しかったな…寺山修司の展覧会はめちゃめちゃ濃くて、言葉の力というものを思い知らされたっけ…齋藤陽道さんのことはここで初めて知ったけど、写真を見て涙しそうになったのは初めてだったな…JRの展覧会はワタリウムの外観にもがっつり写真が貼られていたっけ…ファブリス・イベールの展覧会は土の匂いがするような不思議な展覧会だったな…などなど。ナムジュン・パイクのビデオアートもがっつり出現。ゲストアーティストの会田誠さんの東京城も登場…。思えばこの30年の間、ここ東京では多くの美術館が消えていきました。そんな中、この美術館がここ青山に30年間存在し続けたことは本当に貴重な、そして贅沢なことだったんだな、としみじみ思いました。

帰りにon Sundaysでお茶してきました。寒い日だったので、マシュマロココアでほっと一息つきながら、これまでのワタリウムの思い出に浸っておりました。何故私はここに30年通い続けたのかな…エッジの効いた企画に刺激をもらうことも多かったし…何よりこの美術館を出た後に世界が何だか変わって見える瞬間が好きだったんだろうな…と思い至ったのでした。

ワタリウムといえば動画「変われ!東京」(隈研吾×坂本龍一)の配信もしていたので(1/10まで)見てみました。教授、少し痩せたけど元気そうでほっとしました。もしかしてお二人ともB型?っていうくらい脱線しまくりでしたが、それが楽しかったです。隈先生の話では神楽坂でやっていた半ノラ猫プロジェクトの件がとりわけ面白かった。教授の話では小さな音に一万人を聴き入らせた件、ジョビンの生まれ変わりの鳥の件とか、趣深かった…。こういう企画が実現するのはオンラインならではですよね。そして、東京もこれから変わっていくのかな…。
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クリスト ウォーキング・オン・ウォーター

2021-01-04 22:19:08 | 映画
ユーロスペースで「クリスト ウォーキング・オン・ウォーター」を見てきました。

昨年5月に亡くなったクリストが、2016年に実現したプロジェクト「フローティング・ピアーズ(浮かぶ桟橋)」をめぐるドキュメンタリーです。クリストと妻ジャンヌ=クロードによるプロジェクトというと包む系がよく知られていますが、このプロジェクトはイタリアのイゼオ湖上に敷かれた巨大な布の上を人々が歩くというものです。何だか聖書の光景のようですよね…。はたしてこの大規模プロジェクト、いったいどんな展開を見せるのか…(以下、ネタバレ気味です)。

この映画を見てまず思ったのは、クリストって本当に人気者だったんだなということ。とにかく行く先々で人々が寄ってくるのですが、実に気さくに対応。カリスマ性と率直さとを兼ね備えた方だったようです。とはいえ芸術家ですから、気難しいという感じではないものの、こだわる所には徹底的にこだわります。クリストは芸術家には定時なんてない、24時間芸術家だ、と語っていました。彼の大規模プロジェクトの資金は自前で賄っていたようです。自分の描いた絵を売って資金を稼いでいるのですが、売買の交渉をしている場面も生々しく映し出されていました。

さて、このフローティング・ピアーズは1970年にジャンヌ=クロードとともに発想した作品だそうですが、実現までに半世紀近くかかったのですね…。その間、2009年にジャンヌ=クロードが亡くなっています。このプラジェクト、実現するとまさに夢のような光景なのですが、その舞台裏は大変なことになっていました。芸術性と安全面、資金とのせめぎ合いです。こういう大規模野外プロジェクトともなると天候にも大きく影響されますし、行政との折衝も必要になってきます。関わる人々にもいろいろなタイプの人がいますが、クリストは明確なビジョンと強い意志を持ってことを進めていきます。プロジェクトの危機はプロジェクトが盛況すぎ、客が集まり過ぎてしまったことによって生じました。このままでは安全が確保できない…そんな最中、観客の6歳の女の子が迷子になるというハプニングが…。

アートを創る人、関わる人々、受け手となる人々…それぞれの思いが時に一致したりすれ違ったりしながら、絡み合い、それぞれの心に何かを残していく…。クリストの「作品」は一般的な芸術作品のように形として残るわけではないし、「儲け」になるものでもありません(入場料は取っていません)。そこまでして人の心に何かを残そうというクリストの情熱がすべてといっても過言ではないのかもしれません。本当に稀有な人、そして、その人はもうこの世にはいない…そのことを思い知らされた映画でした。
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