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アートネタなど日々のあれこれ

TIME

2024-05-13 00:12:10 | 舞台
国立新劇場で「TIME」を見てきました。

坂本龍一×高谷史郎、最初にして最後のシアターピースです。教授が全曲を書下ろし、高谷史郎さんがコンセプトを考案、創作しています。

私が行ったのは東京公演の千秋楽の日でした。会場に入ると暗闇の中で雨音が響いています…教授が愛した雨の音。舞台上には大きな水盤が置かれ、水鏡のようにきらめいています。宮田まゆみさんは笙を吹き鳴らしながら、しずしずと水面をわたります。田中泯さんが「夢十夜」「邯鄲」「胡蝶の夢」の朗読にのせて静かに、時に激しく踊ります。田中さんは教授から「初めて水を見る人類の一人を演じ作品の内にい続けてほしい」と言われたそうです。石原淋さんが演じる死にゆく女性。背後のスクリーンにはテキストの字幕、自然や都市の風景の映像。これらのすべてを教授の音が包み込みます…。

現代の夢幻能のような作品でした。光と闇、天と地、夢と現、音と静寂、過去と未来、時間と空間、自然と人間、秩序と混沌、瞬間と永遠、此岸と彼岸、生と死…さまざまなものが溶けあって一体となり、大いなるものへと還っていく。この世のすべては一時一場の夢でした…教授もあちらの世界からこの舞台を見ていたのかな…

オデッサ

2024-02-12 02:09:54 | 舞台
東京芸術劇場で「オデッサ」を見てきました。

三谷さんの三年ぶりの新作書下ろしの舞台です。当初、チケットが手に入らず、諦めかけていたのですが、奇跡的なタイミングでまさかの良席ゲット。関係者席でもリリースされたのだろうか…という位置でした。この舞台、脚本も役者さんたちも素晴らしかったです。しかも音楽はウェスタンスタイルに身を包んだ荻野清子さんの生演奏。言葉が通じない人どうしの意思疎通を表現するために、字幕が大活躍するのも斬新でした。私が行ったのは1月半ばだったのですが、まだ公演が続いているので極力ネタバレになりませんように…。

登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ…この舞台のキャッチフレーズです。登場人物は日本人通訳(柿澤勇人さん)、日本人旅行者(迫田孝也さん)、日系人警部(宮澤エマさん)。言語は英語と鹿児島弁。真実は…これはネタバレ厳禁ですね。オデッサというのは実在の都市で、アメリカのテキサス州にあるらしいです。数あるアメリカの都市でもなぜオデッサなのか、そしてなぜ鹿児島弁なのか…その謎は舞台上で明らかになります。

英語を話せない日本人旅行者が殺人事件の容疑をかけられ、日本語を話せない日系人警部が取り調べを行うものの、間に入った日本人通訳のせいで事態があらぬ方向に転がり始め…というお話ですが、1時間45分の間、もう笑いっぱなしでした。本当に客席の笑いが絶えることがなかったです…これだけの時間、大勢の人たちを笑わせ続けるって凄いことですよね。しかし、ウェルメイドなお話かと思いきや、一筋縄ではいかないところがさすがに三谷さん。笑いの中に苦さも怖さもあるのです…。

コメディーのようなミステリーのようなこの舞台、実は「言葉」がテーマになっていました。言葉は真実を伝えることも、隠すこともある。生きる力にもなれば、身を滅ぼす刃になることもある。そして、人の帰属意識やアイデンティティにも深く関わる…笑いのなかに、実は複雑な要素も含まれている話でしたが、見終わった後には、新年からいいもの見たなぁ…と素直に思える舞台でした。春から縁起がいいかも…。

夏のめぐろ能と狂言

2021-09-06 00:42:37 | 舞台
「夏のめぐろ能と狂言」を見てきました。

能と狂言…もう何年も見ていなかったのですが、とあるところからご招待をいただき、息子と二人で行ってまいりました。息子にとっては日本の伝統芸能は初めての体験です。今どきの小学生男子はいったいどんな反応を示すことやら…。

プログラムは「仕舞」「狂言」「能」の順でした。仕舞の演目は「巴」「井筒」「融」。「巴」は長刀を持って舞う勇壮な演目。巴御前のことは息子も知っていました。幽玄な「井筒」、渋めな「融」と続くのですが、ふと隣を見ると息子は早くも寝落ち…いくらなんでも早すぎです。続く狂言の演目は「鍋八撥」。人間国宝の野村万作翁がシテの浅鍋売、息子の萬斎氏が目代、孫の裕基氏が鞨鼓売りを務めます。お話はといえば、目代が市を立てるにあたり、一番乗りしたものを市の代表として免税することになったのですが、一番の座を巡って鞨鼓売と浅鍋売が熾烈な(?)バトルを繰り広げるというものです。途中、跳んだり跳ねたり、はたまた側転したりというアクションシーンもありますが、御年九十歳の万作翁も果敢にアクションに挑みます(さすがに側転はしていませんでしたが…)。親子孫の共演だけあって、息の合った演技でしたが、とりわけとぼけた風情の万作翁のたたずまいが何ともチャーミングでした。寝入っていた息子を途中で起こし、あらすじを教えてやると、どうやら話の筋が飲み込めたようで、時々笑いながら、身を乗り出すようにして見ていました。ようやく目覚めたようです…。最後は能。演目は「羽衣」。あの羽衣伝説の能で、天女のシテが桃色の衣を持って優美に舞います。まぁ綺麗…と思いながら眺めていたら、隣の息子は途中でどうやら飽きはじめたようで、まだ?と聞いてきます。終演予定時刻になっても序破急の急に入っている感じがしないので、どうなっているのだろう…と思っていたら、約二十分押しで終わりました。終わってから息子に今日はどうだった?と聞いてみると、狂言は面白かったけど…という返答。まあ小学生男子なんてそんなもんですかね…。

そんなわけでひさびさに能と狂言を堪能してまいりました。思えば息子がまだまだ小さかった頃、アートを解する雅なお子ちゃまに育てよう、と志を立てたものですが、歳月が流れるにつれ、すっかり忘れ去っておりました。いまだ雅なお子ちゃまにはほど遠いわが息子ですが、まあ今回は、狂言は面白いと思ってくれただけでもよしとしましょう…。


日本の歴史

2021-07-22 10:21:20 | 舞台
シス・カンパニー「日本の歴史」を配信で見ました(配信は既に終了しています)。

初演時には見に行けず、今度こそ…と思っていたら、またしてもチケット取れず…がっくりしていたら、ありがたいことに配信してくれることになりました…(以下、ネタバレ気味です)。

この作品では20世紀初頭にテキサスに移住してきたシュミット家のファミリーヒストリーと、卑弥呼の時代から太平洋戦争に至る日本の歴史とが交互に進んでいきます。けっこう複雑な構成になっていて、一度見ただけでは全容を把握しきれず、アーカイブで2回目を見て、ようやく全体像がつかめてきたかな…という感じです。こういうことができるのも配信のありがたみではありますね。役者さんは全部で7人。この7人が60人以上の役を入れ替わり立ち替わり、早変わりで演じるさまは、手品でも見ているかのようでした。役者さんたちもみな達者…。とりわけ宮澤エマさんが大活躍でしたね。さすがの存在感の中井貴一さん、歌も踊りも貫禄のシルビア・グラブさん、クールビューティなのに面白い秋元才加さん、やはり華のある香取慎吾さん、ダメ男を見事に演じた新納慎也さん、不思議な雰囲気を醸し出す瀬戸康史さん…皆さん本当に素晴らしかった。配役にしても、あの役をあの人が演じる、というだけで笑える役がいくつも…。歴史上の人物のセレクトもいかにも三谷さんらしいです。歴史に残るような人も、歴史の波に翻弄される側の人々も…。一見、何の関係もなさそうなシュミット家と日本の歴史ですが、時に両者に起こる出来事がシンクロするような場面もあります。そして、舞台終盤近くのある一点で両者の歴史が思わぬ形で交わることになります。

この舞台、音楽も素晴らしいです。音楽は三谷作品ではお馴染みの荻野清子さん。温かみのあるメロディー、ユーモラスでキャッチーなフレーズ。「INGA 因果」「お前は誰だ 俺清盛だ」とか、舞台が終わってからも頭の中でぐるぐるしてしまいます。そういえば、荻野清子さんってエレクトーン界ではジュニアの頃から才能を発揮されていたのですよね…子どもの頃、ジュニアだった頃の荻野さんが作曲された「風船旅行」という曲を、なんてすばらしい曲なんだ!と思いながら必死こいて練習した記憶があります。舞台で荻野さんがすっと背筋をのばしてピアノに向かう姿を見ながら、あれからいったい何年たったのだろう…と思わずしみじみしてしまいました。

結局のところ人は歴史から学ぶのか、あるいは学ばないのか?時に学び、時に同じ愚行を繰り返しながら歴史は続いていくのかもしれません。劇中では「因果は巡る糸車…」という都都逸風のフレーズが何度か繰り返されます。若い頃は因果応報という言葉もいまいちピンと来ませんでしたが、この歳になると因果応報って本当にあるんだな…という場面に遭遇することも増えてきました。願わくばよき因果を巡らせることができますように…なんてことを考えていたら、また頭の中で「INGA 因果」のメロディーがぐるぐるしはじめたのでした…。

其礼成心中

2020-08-17 01:14:22 | 舞台
パルコ劇場で「其礼成心中」を見てきました。

ずっと見たいと思っていた演目なのですが、なかなかタイミングが合わず・・・今回、やっと行くことができました。コロナ禍の影響で、当日飛び込みで行ってもけっこうな良席。文楽は前方の席で見ないときついので、ありがたいといえばありがたいのですが、後ろ半分、空席の目立つ会場はやはり切ない・・・。

前説ではマスク姿の三谷君人形が登場・・・文楽は、今一番、安全と言っていました。たしかに黒衣の皆さん、頭巾姿ですもんね。それにしても、この三谷君人形、笑っちゃうぐらいご本人にそっくり・・・(笑)。

楽日までまだ日があるし、これからも再演されそうな演目なのでネタバレになりませんように・・・もう2時間ひたすら笑いっぱなしでした。そして、文楽の素晴らしさにあらためて眼を見開かされました。不肖わたくし、最後に文楽を見たのがいつだったか思い出せないくらいなのですが、ひさびさに見ると、文楽の人形ってこんなに綺麗だったんだ、としみじみしてしまいました。本当に人形が生き物みたいに見えます・・・。何人もの役を声だけで演じ分ける太夫さんも凄い。台詞はほぼ現代の関西弁なので、問題なく聞き取れました。ストーリーはいかにも三谷さんなドタバタ劇ですが、文楽本来のゆったりめのテンポと現代劇の早めのテンポとの入り混じり具合が絶妙です。ドリフみたいな小ネタもあったし、お人形さんも時々、古典ではありえない動きとかしてましたね(笑)。かと思うと、文楽の名作が劇中劇で演じられたりもします。劇に登場する近松門左衛門はどことなく三谷さんご本人を彷彿とさせるのですが、主人公の半兵衛とのやり取りは半ば演劇論のようでもあり・・・泣き笑いありの文楽って、ある意味、画期的なのかもしれませんよね・・・。

そんなわけで、夢のような時間を楽しんでまいりました。そう、生で芝居を見るということが、まるで夢の中の出来事のようになってしまいました・・・日常から離れた場所で、2時間何も考えずに笑っていられるというのがどれだけありがたいことだったか、今さらながら思い知らされます。最後にカーテンコールがありましたが、人形遣いさんたちに抱えられて出てきた人形たちはだらんと生気を失って、ただのお人形に戻っていました。その時初めて、自分が見ていたのは本当に人形だったんだ、愕然としました。文楽の魔法、おそるべし・・・。諸々落ち着いたら、また、古典作品の方も見に行きたいものです。

12人の優しい日本人

2020-05-28 21:29:21 | 舞台
「12人の優しい日本人」を見ました。

といっても、もちろんリアルではありません。「12人の優しい日本人を読む会」がyou tubeで配信しているオンライン版です。ありがたいことに、無料で見ることができます(5月末まで)。Zoomを使っているのですが、リアル舞台に匹敵しそうなクオリティで、あらためてプロの役者さんの凄さを思い知らされました。オンラインだと台詞を言っていない時の芝居もよく見えます。首から上だけの芝居にもかかわらず迫真の演技。声の説得力、リモートとは思えないような絶妙な間。終わった時には思わずお家で拍手していました・・・。

この劇は初演から30年経っていますが、今見ても名作です。綺麗に12分割された画面を見ていると、こういう事態になることを予期していたのではないかとすら思えてきます。三谷さん、おそるべし。そして、今見ても古さを感じさせません。いや、時代を感じさせる小ネタは満載なのですが・・・和久井映見、竹脇無我、貴花田、木ノ実ナナ、そして、ジョイナー・・・(笑)。それでも今にも通じる、というか今だからこそ響いてくる内容なのかもしれません。日本人にありがちな「空気を読む」ことの恐ろしさ、一つの断面だけを見て全体を判断してしまうことの怖さ、話し合いを続けることの大切さ・・・。この劇はハッピーエンドで終わりますが、現実はそうなるとは限りません。世の中が混迷の度を増している今日この頃、この劇が教えてくれたことをあらためて肝に銘じておこうと思いました。

ところで、オンライン版では三谷さんが不思議な登場の仕方をしています。役者さんにはあれだけ「しっかりやってよ」とか言っていたにもかかわらず・・・カーネル・サンダースおじさんかと思ってしまいましたよ(笑)。また、三谷さんの舞台を見て腹を抱えて笑える日が来ますように・・・。

めぐり

2020-05-18 23:55:39 | 舞台
山海塾「海の賑わい 陸の静寂―めぐり」を見ました。

・・・と言ってももちろんリアルではありません。公演は中止になってしまったのですが、その代わりにyou tubeで期間限定の無料配信をしています(20日24時まで)。コロナの件がなかったら見に行っていたであろう舞台だったので残念でしたが、こうして公開してくださったのでありがたく拝見させて頂きました。太っ腹な山海塾さん、ありがとうございます・・・。映像の質も高くて、臨場感があります。そしてまた、生の舞台とはまた違った発見がありました。踊り手の顔の表情、手の表現までばっちり見えます!とりわけ驚いたのは指先の表現の豊かさ。私が山海塾を初めて見てから四半世紀の時が過ぎているのですが、一度も舞台近くの席で見たことがなかったので、このことに初めて気づきました・・・。それに衣装やアクセサリーもよく見えました。衣装も実はこんなに凝っていたのですね。綺麗な刺繍や色鮮やかな裏地もよく見えました。

「めぐり」は海をイメージさせる舞台です。背景には古代生物のウミユリをデフォルメしたという壁があり、踊り手は海の生物のようにも見えます。無限の海。生の躍動と静寂。時折おとずれる神々しい瞬間には踊り手が仏の似姿のようにも見えました・・・。

素晴らしい舞台を生で見られなかったのは返す返すも残念でしたが、考えてみれば、生の舞台を直接見ることができるのは、実はかなり限られた層だったのかもしれませんね。都市圏に住んでいないとなかなか機会がないし、都市圏在住だとしても、それなりに時間的余裕などがないと厳しい。私のように家に小さい子でもいれば嫌でも外出のハードルはあがります。公演中止は本当に残念でしたが、これをきっかけにいろいろな人に舞台が届くといいな、と願わずにはいられません・・・。

フィーバー・ルーム

2019-07-04 23:45:12 | 舞台
フィーバー・ルーム@東京芸術劇場に行ってきました。

昨年、遅ればせながらアピ映画のファンになり、ローザスの公演に行った時にこの公演のことを知り・・・前売り券は入手できなかったのですが、当日の抽選にチャレンジして、何とか当日券をゲット。

例によって、舞台が始まるまでに、腹ごしらえ・・・ということで、劇場近くの「宮崎亭」でランチにしました。宮崎牛のハンバーグランチにしましたが、お肉が柔らかくてジューシー。お塩で食べるというのも新鮮。美味しゅうございました。

さて、お腹も膨れたところで開演。劇場の裏口(?)のようなところを通って、真っ暗な場内へ。途中入場も途中退場もNGということで、いったい何が起こるのか、ワクワク感が募ります。

ところで、この舞台は日本では再演だそうです。再再演の可能性もなくはなさそうだし、作品の性質上、ネタバレ厳禁な気もするので、なるべくネタが割れないように書きたいとは思いますが・・・。

最初はいかにもアピ映像という感じですが、中盤以降、驚きの展開が待っていました。なかなかに名状しがたい体験です。そう、まさに鑑賞というよりは体験。私は創世記の光景をイメージしました。そして、思いました。この場に居合わせた観客たちはみな同じ船に乗る旅人なのかも、と・・・。

帰りに公演のパンフレットを手渡されました。入場ではなく退場のときというのがおしゃれです。無料なのにもかかわらず充実した内容でしたが、なかでも佐々木敦氏との対談が読み応えがありました。そこで、あの光の正体を知り、さらに驚愕・・・。

ところで、この「フィーバー・ルーム」というタイトル、タイ語の原題では「光のない都市」のことだったようです・・・。

我ら人生のただ中にあって

2019-05-22 20:03:42 | 舞台
東京芸術劇場でローザス「我ら人生のただ中にあって」を見てきました。

先週に引き続き、ローザスです。この演目は前売りが売り切れていたのですが、「至上の愛」を見て矢も楯もたまらなくなり・・・当日券がけっこう出るというアナウンスもあったので、思い切って行ってきました。何とか立見席をゲット。2時間立ちっぱなしなんて、大丈夫か?と思いましたが、ちょうどいい塩梅のところに手すりがあったおかげで何とかなりました。

さて、この作品ですが、なんと、チェロはジャン=ギアン・ケラス氏の生演奏。そして、なんとなんと、ケースマイケル女史ご本人が出演。何ともゴージャスです。女史はもう、出てきただけで場の空気が一瞬にして引き締まる、という感じです。各楽章の冒頭に指でサインを出す仕草がチャーミングな魔女のよう。舞台上にテープで謎のサインが張られていくのも何かの儀式のようでした。ラフな格好をした黒衣のダンサーたちが踊ります。ソロあり、デュオもあり、最後の章では皆が踊る・・・。ケラス氏も単なる奏者の域を超えて、メンバーの一員のようでした。それにしても素晴らしい演奏でしたね。軽やかにして芳潤。ダンサーが踊っている間は控えめなのですが、ソロになると音の世界に引き込まれてしまいます。いつか、単体でも聴いてみたいな・・・。作品自体はザ・コンテンポラリーという感じでしたが、軽やかさのなかに深淵を見るような。バッハの音楽自体がそういうものなのかもしれませんね。「我ら人生のただ中にあって」の後には、「死に取り囲まれている」という言葉が続くのだそうです。生は死に含まれ、死は生に含まれているのかもしれません・・・。

帰りに東京芸術劇場の中にある「ビチェリン」で看板ドリンク「ビチェリン」をいただいてきました。コーヒー風味のビターで濃厚なチョコレートドリンク。美味しゅうございました。生クリーム、コーヒー、チョコレートが綺麗な層になっていたのを、うっかりかき混ぜて飲んでしまいましたが、これはかき混ぜないで飲むものだったらしいです・・・(爆)。

至上の愛

2019-05-16 19:02:12 | 舞台
東京芸術劇場でローザス「至上の愛」を見てきました。

あの「至上の愛」がコンテンポラリーダンスになるといったいどういうことになるのか・・・興味津々というか、半ば怖いもの見たさみたいなものもありました。公演から数日経った今になっても、なんと感想を書いていいかわからないのですが・・・。

何というかもう、胸アツになるような作品でした。スタンディングオベーションしている方もけっこういらっしゃいましたね。クールで熱い、黒衣の男4人の踊り。その姿はまさに音の化身のようで、この曲の崇高さを踊りで見せてくれました。私が初めてこの曲を聴いてから、四半世紀もの時が経ちますが、この音楽が即興で生まれたというのは、本当に奇跡だったんだな・・・ということを、ダンスを通してあらためて思い知りました。コアなジャズファンから見れば、グルーヴが・・・とかあるのかもしれませんが、ジャンルの垣根をとっぱらって、ある至高の瞬間が見られればそれでよいのかも、と思いました。光を求めて山頂に辿り着くルートは一つではないよね・・・。そして、今どきの若い方がジャズをどれくらい聴いているかわかりませんが、このダンスを見て、コルトレーンの音楽やジャズに興味を持ってくれる人が出てきたらいいなあ・・・と思わずにはいられませんでした。

興奮さめやらぬままに池袋駅のあたりをうろうろしていたら、「cheeseとはちみつ」というお店が目に入り・・・プリンとタルトを買ってきました。家に帰ってから、タルトをレンジで温めて食べてみたら、生地がサクサクでおいしゅうございました。

酒と涙とジキルとハイド

2018-05-23 22:37:01 | 舞台
東京芸術劇場で「酒と涙とジキルとハイド」を見てきました。

例によって鑑賞前に腹ごしらえ・・・ということで、今回は東武の中にある「キッチン・グリップ」へ。ペスカトーレを注文しましたが、まあ、海の幸がゴロゴロで美味しゅうございました。サラダのドレッシングもおいしかったな・・・。

さて、お腹もいっぱいになったところで劇場へ。三谷さんの舞台を見るのもひさしぶり。ネタバレするとあれなので、詳しいことは書きませんが、まぁ、しょーもない笑いを満喫しました。役者さんも演奏者も素晴らしかったです。とりわけ優香さんが魅力的だったな~。悪女(?)っぷりが、おみごと!愛之助さんの情けない男、藤井隆さんのワイルド(?)な男、迫田さんの曲者・・・もまた、いかにもな感じで。音楽もとても効果的でした。劇中、「自分の殻を破る」ことがいかに困難か、が何度となく繰り返されるのですが、普段、自己抑制することが多いまじめな人ほど、この話を見て身につまされることがあるのかな~、とかふと思ったりも・・・。

そんなわけで、105分間、浮世の憂さを忘れて笑いこけてました。このところいろいろ大変だったことが吹っ飛びましたよ・・・。三谷さん、ありがとう・・・。


錆から出た実

2016-07-12 22:57:32 | 舞台
東京芸術劇場で映像芝居「錆から出た実」を見てきました。

生年月日も同じ、九州生まれ、三姉妹というのもの同じ・・・という束芋さんと森下真樹さんのコラボレーション。今回で第三弾だそうですが、私が見るのは初めてです。束芋さんの世界観は好きなので、楽しみにしてました。

束芋さんの映像作品をバックに、森下真樹さんが振り付けたダンスを、鈴木美奈子さんが踊る・・・のですが、さらに生演奏付き。この音楽もとても好きな感じでした。かつての渋谷系みたいな。かと思うと、後半は人力ミニマル音楽に変わり・・・この中には意外な演奏者も。

そして、今回のダンサー、鈴木美奈子さんもとても魅力的でした。中性的でキュートな雰囲気と、洗練されていながらもキレッキレのダンス。何だか、この方の踊りをずっと見ていたい、と思わされるものがありました。

束芋さんの映像世界を出たり入ったりするダンサー。鳥、畳、伸び続ける蔓・・・。「錆は、還元されて鉄が酸化して安定な状態がかえろうとする過程に生じる結果である」ということがチラシに書かれていましたが、私はこの作品からは、なぜか少女の成長物語、を連想していました。そういや、とおいとおいむかしむかし、あたしにも少女の頃があったなぁ、みたいな(笑)。死ぬまで自由でいたい、と願ったあの頃・・・(爆)。

そんなわけで、それはそれは楽しい時間を過ごしました。終わった時には、もう終わっちゃうの?と寂しくなったくらいです。夏休みの終わりの子どもみたいに(笑)。でも、このコラボレーション企画、まだまだ続いていきそうな予感もします。どんな実を結ぶのか、見てみたい・・・。