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北宋書画精華

2023-12-18 23:11:22 | 美術
根津美術館で「北宋書画精華」を見てきました(展覧会は既に終了しています)。

不肖わたくし、北宋書画のことはほとんど知らないのですが、―きっと伝説になる―というキャッチコピーがついたこの展覧会、あの奥ゆかしい根津美術館がここまで言うからにはきっと凄いに違いない…ということで、行ってまいりました。言われてみれば、これまで北宋時代の作品をまとめて見る機会はなかったような…というか、そもそも現存する作品が少ないのだそうです。この展覧会は北宋の書画芸術の真髄に迫る日本で初めての展覧会ということで、日本にある北宋の書画の優品のほか、メトロポリタン美術館からもお宝が出品されていました。

展覧会は「山水・花鳥」から始まります。「江山楼観図巻」の圧倒的な緻密さに眼を奪われます。夢幻的な趣もある「寒林重汀図」、蕭条した風情のある「喬松平遠図」、雄大な「山水図」と畳みかけるように名品が続きます。続いて、「道釈・仏典」。どこかキッチュな「薬師如来像」、素朴画のような「十王経図巻」も面白く…それにしても「霊山変相図」が凄かった。異様に緻密な版画は曼荼羅のようでもあり…まさかこんな作品が仏像内に収められていたとは。そして、李公麟の部屋です。神品といわれながらも行方不明になり、80年ぶりに出現したという「五馬図巻」。五頭の馬とその馬を引く男の組み合わせを描いていますが、馬たちが今にも生きて動き出しそう…李公麟は馬を好んで描いたそうですが、馬愛が画面から滲んでくるようです。そして、同じく李公麟の白描画の基準作といわれる「孝経図巻」も。白描画の名手と言われるだけあって、やはり線が生きているかのよう…。李公麟の作品が一室に集まるというのは奇跡的なことだそうです…それで、きっと伝説になる、なのですね。書蹟には黄庭堅の作品が三点出ていましたが、同一人物が書いたとは思えないくらいバラエティに富んでいます。「船載唐紙」には北宋で作られた紙に平安時代の貴族が書を書いたものが集められており、ここには「古今和歌集序」も。これまで書にばかり目が行っていましたが、紙は中国のものだったのですよね…。館蔵品によるテーマ展示にも北宋工芸品を集めた一室がありました。西田宏子氏の寄贈作品に独特の風情があって、思わず眼が釘付けになってしまいました。そういえば、不肖わたくし、むかしむかし西田先生の博物館学の講義を受けていたことがありました…厳しくもあたたかい授業だったなぁ…となつかしく思い出しました。

さて、この日は表参道駅の近くにある「手打 しまだ」に寄ってきました。せっかくなので名物のカレーうどんにえび天をトッピングしてみました。クリーミーなカレースープとうどんとえび天が不思議なマッチング…で、美味しゅうございました。
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