企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

きものの普及

2005年01月19日 | 和の話(呉服業界など)
きもの市場が、活気があるとのこと。いろいろなメディアで論じられている。市場規模が6000億。規模としては、インスタントラーメンと同じくらいではないか?きもの市場は縮小傾向にあると言っても、確かに、このところ着物姿の人を見ることが多くなった。これって、低価格商品が広く売れて、高い価格帯のものが、淀んでいるのかもしれない。きものって、価格帯は、それこそかなりある。リサイクルも含めれば、数万円で一揃えできるわけで、下はかなりこなれて来ていると言えるだろう。上はといえば、一揃えで一億円くらいか。
オートクチュールで宝石をつけずに、自分ものをつくった場合、どんなデザイナーブランドでも、そこまではいかないだろう。その意味では、本当に高級なんだと思う。実際、一億円クラスのものは、工芸品だ。で、翻って、芸術品という視点で見たら、絵画などは、1億円というものもごろごろしているではないか。なのに、きものでは、そういう商品はあまり聞いたことがない。なぜって、きものは誰かが着用して、初めて最高の価値を出しうるのに対して、絵画は、そのものでも十分価値を発揮し得るからだろう。もっとも、絵画だって、収まるところに収まらないと、価値に見合わないかもしれない。価値なんてものは、主観的なものであり、相対的なものであるから、最後は買った人次第なわけだけれどね。
で、きものの普及において、今、何が足りないか、っていうと、この超高級品が、一般の目に触れることがほとんどない、ということではないか?と思う。非売品という形で、博物館や美術館に入ることはあっても、それらは、手に入れたい、纏いたいという対象にはまずならない。値段が付いて、高嶺の端とはいっても、あこがれるようになる。そんな超高級品というのがないのだ。今のきもの業界では、限られた人々しか、高級品を知らない。
たとえば、グッチやエルメスというブランドは庶民も知っている。もちろん、庶民の目に振れないようなコレクションラインがあり、また上には上があって、個人でオーダーしたりもしている人もいることだろう。でも、ある程度の価格のものならば、誰だってショップに行けば見ることができる。絵ならば、バブルの頃ほど騒がれないにしても、オークションなどのカタログを取り寄せれば、だいたいの価格もわかるし、現物も見ることができる。だが、きものは、一般の人には、ほとんどの場合、工芸会の作家のものですら目に触れない。
私なんかは、工芸会作家のきものを、欧米のオークションに出してみたらどうか?なんて思うくらいだ。え?オークションで取り扱ってすらもらえない?確かに、そのための下準備も必要だろう。誰かが買ってくれなくてもいい。一度、オークションに出品するということだけでも、大きな話題になるだろう。また、買う人が現れれば、値段が付くわけで、付いた値段の情報とともに、きものに興味を持つ人も出てくることと思う。千總とか川島織物あたりで、やってもらえんだろうか?業界の人は、頭が固いから無理かな?
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