企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

下手な鉄砲は撃ってもあたらない

2007年01月25日 | 本の紹介(ビジネス)
金融業界、そして金融商品についての認識を検めさせられた本。今、プロでもなかなか業績を上げにくいのはなぜか?ということを、とても分かりやすく説いている。金融に批判的な人に言わせれば、世の中、プロでもなかなか好業績を続けられないのだから、素人がやっても無理、もしくは、プロがやっても素人がやっても成果はそんなに変わらない、というだろう。だが、そういうことではない、というのだ。
考えてみれば簡単な話だ。プロが少なく、素人が多いマーケットでは、プロが確実に勝ちを重ねるだろう。正確には、勝負の回数が多くなればなるほど、プロの勝率が高まる、ということではないか?一方、プロばかりの戦いでは、皆がそこそこの勝率に落ち着く中、ずっと継続して勝ち続けられる人が減ってくる、というもの。
市場全体の動きを誰もカンペキには予測し得ない不完全情報のゲームであることから、たとえて言えば麻雀なんかが理解しやすいのだと思う。
一度の勝負では、プロを負かすことがあっても、回数を重ねれば、プロには勝てない。まぁ、これは技術や精神力をもって戦うスポーツにしても同じことが言える。スポーツは市場に比べると情報が多い(というか打ち手がルールで制限されることが多いこと、また参画しているプレイヤーが見える範囲の数である)ため、強いプロが確実に星を重ねることができる。
一方、マーケットは、とにかくバリエーションも豊富で、人も多い。全体を見通して、常に最適な運用ができる、なんてことはない、と言って良いのだと思う。極端な話、運がよい人をみつけて追いかけ続けている、とも言えそうなくらい。
もちろん、素人で運が良いのではなく、基本的なことは全て分かっているプロにおける運の良さ、なんだけれど。

で、この本の結論は・・本書を見て欲しいところだけれど。
☆ 投資は、自分で取れるリスクを考えてやれ
☆ ただし、商品的にはインデックス系で十分
☆ ほかは、信託報酬が大きかったり、運用フィーの部分(スプレッドもそうか。。)が大きいから損する可能性高い
☆ 生命保険は入る必要ない
☆ 博打は確実に損をする

という話し。結論は、他の投資本に近く、新たな発見はそんなにはないかな?でも、流れがとても分かりやすい。あと、金融業界(とくに、運用するところ)に興味のある人は読んでみるといいだろう。

なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方

ダイヤモンド社

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共感できる部分もあるが・・・皆の意見が聞きたい

2007年01月25日 | 本の紹介(ビジネス)
今、ちょこっと話題の本「東大脳の作り方」を読んだ。ブログを見ていると、半分以上の人が絶賛系の記事かな、と感じた。Gooでちゃちゃっと調べただけなんだが。。どの本でもそうであるように、共感できる部分もあれば、そうでない部分がある。この本では、本人の姿勢については、なるほど!そうだよなぁ、と思えた一方で、いや、違うんじゃないか?と思ったところもあった。
現役東大生の本だけに、批判すると、「ひがみ」「ねたみ」「負け惜しみ」という表現で叩かれるのかもしれない。東大理III、そして医学部ってすごい、のだとは思う。でも、その中の一人の学生の考えについて、東大卒でない人が批判をしていけない、なんてことはないだろう。だめ?

そもそも、このタイトルと帯から、何を期待したか?それは、塾に行かなくても東大に合格する程度の学力はつけられる!ということだった。ちょうど、教育再生会議で、そんな話しも出ていたこともあって、ほぉぉぉ、と思って読もうと思ったわけだ。地方の公立高校出身の私としては、確かに、理科三類ではないものの、塾に行かずに東大(京大)に入った奴がいたなぁ、と思い出してね。
自分も塾には行かず、自分で勉強法を考えて私立には入ったのだが、まぁ、東大とは次元が違うのかもしれないのでそれはおいておく。
で、そういう工夫して、余計なコストもかけずに自分で考えてどうすればいいのか?また、参考にした書籍や、考え方が何だったか?ということが書かれている!と期待したわけだったのに。。
どう読んでも、小さい頃からしっかりした教育方針のある学校に入れなければならない!としか読めないんだよ~。親の視点についても語られていたけれど、結局成功した例の一つとしか読めず・・・。
この本を読んでも、時既に遅しって人、とっても多いと思う。また、地方で生まれ育ち、経済面でも決して裕福ではない家庭では、この本の話は、参考程度になるかどうか?(だって、相当小さい頃から、教育投資しなきゃならん、って感じのストーリーなんだもの)

とまぁぐちってみているが、読んでいて、決して嫌で投げ出したいと思うような文章ではなかった。何かこの先に、ヒントが隠れているのでは?と思い、読み進めたのだった。
ぜひ、このBlogをみてくださっている方に、本書を読んでもらって感想を聞かせていただきたいと思う。


ちなみに、参考にはならないと思うけれど、自分の経験。私は、大学受験にせよ、その後のいろんなテストについても、また、自分が身につけたいスキルについても、どうすれば効率よく学習できるか?ってことを結構真剣に考えて勉強をはじめてきました。(そういう癖が、大学受験の頃からついてきたのだと思う)
人それぞれ、最適な勉強法は違うと思いますが、自分に合った勉強法を考える(また情報も適度に収集する)ということをしないと、なかなか習熟のスピードってあがらないんじゃないか?と思います。
いや、受験のように、問題もある程度想定され、また正解が決まっているものについては、自分で考えなくても、それなりに万人むけのソリューションが、塾や予備校で提供されているので、それが合う人もそれなりの人数いるでしょう。
でも、そこから先の勉強については、自分で調べ、考えなきゃどうにもならないと思う。開成や早大学院なんかは、いわゆる勉強よりも、そういう考える方法について、教え、また考えさせるということをしているんじゃなかったっけ?

最後に一言、本気で子供を東大に入れたかったら、とりあえず本書よりも和田秀樹氏の本の方が参考になるように思います。東大を出た後、どう成長するかということも含めてね。

しかし、勝てば官軍、か。ビジネスの世界もそうだけれどさ・・


東大脳の作り方

平凡社

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片山晋呉、そういう力を持った人もいるのか・・

2007年01月23日 | 本の紹介(ビジネス)
日頃、このブログを見ている人にとっては、なんだか意外な感じがすることだろう。片山晋呉、ここ数年、日本のゴルフ界でもっとも熱い男なんだと思う。3年連続賞金王、プロゴルファーの層が厚くなって来ているとも言われる?日本の今のゴルフ界で、快進撃を続けている。
この人の本を手にすることになったのは、たまたま、近所の武蔵書店で目に付いたからだった。私にとって、賞金王とは、武豊であり羽生善治であったから、片山晋呉氏については正直詳しいところを知らなかった。
だが、まぁこうして本を手にして、読んでみることで、多少は知ることができたのはよかったのではないか。この本、ある種の成功哲学本みたいな感じかな?常に、上を目指していて、その目指している達成するイメージを強く持って、というのはあらゆる成功哲学書に書かれている類の話ではある。
椎間板ヘルニアになりながら、手術をし、そして賞金王になるということ。肉体的なハンデがありながらも、意識の力でトッププロとしてやれていること。また、メンタルトレーニングの世界に行かないと、今後の更なる成長がない?かもしれないと感じていること。飽くなき上昇への志向が感じられる本であった。
読み始めて、2時間強で読み終えてしまったが、もう一度以上読みたいと思ってる。なんか、イチローの考えとかヒデの考えに似ているなぁ、というのは気のせいかな?調子が悪いときは、自分に必ず非があって、修正しなければならない。とか、調子がいいときこそ、更に別のことを試してみる、とか。将棋の羽生さんにも通じているなぁ。
勉強になったことの一つに、ゴルフの場合4日で戦って、最後のラウンドの、終り10ホールの段階で、最高のパワーレベルを維持していればいい。そして、最終ホールが終わった段階で、パワーを使い果たしていればよい、という考えがある。F1レースで走り終えた段階に、燃料が尽きる!というイメージであると言う。
こういう事が言えるのは、コンスタントにハイレベルを達成できているから、なんだと思う。自分を振り返ると、そこまでのレベルには達していないかもしれない。でも、完全燃焼している自分、ちょっと長いこと忘れているような感じもする。(時に、限られたMtgの中で、頭をフル回転させることもあるけれど。頭が汗をかく状態、たまにはあるかなぁ。)
小さな目標に対してでもよいから、完全燃焼を味わえるよう、自らを律していきたいものだ、と感じたのだった。


賞金王 片山晋呉―「勝ち戦」からしか本当の勝ち方は学べない

池田書店

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単に低価格で市場獲得を狙うだけでは・・・

2007年01月21日 | 本の紹介(ビジネス)
タイトルに惹かれて買ってしまったこの本。それなりに的を射ていると思うのだけれど、新しい発見があったかと言われるとそうでもない気がした。消費者心理については、BCGよりも、ひょっとしたら日本のマーケターの方が先を行っているのかな?なんて感じたものだ。
もっとも、日本のマーケターの場合は概念としては先を行っていても、きちんと数字で裏付けをとっているか?というとそうでもないとは思う。本書は、成功企業に学ぶ一方で、消費者の行動、そして心理を、インタビューを通じて浮き彫りにさせた本であり、BCG流のファクトを重視し、背景にあるロジックに注目するアプローチが感じられる。
ただ、消費者のインタビューが続くことで、なんだかSPAの特集を見ているような感じになってしまうのが、ちょっともったいない。また、LGの話しなんかは、エピソードとして添えられてはいるものの、本書で言いたいことの本質へのつながりが、ちょっと分かりづらい(So What?って思ってしまった)。
Amazon流に星をつけると、★★★★☆というところ。大絶賛するほどの本ではない。とはいえ、この本で出てきたアプローチを、自分の市場にいる顧客について当てはめて考えてみよう、という人にとってはとてもよい指針になると思う。

なお、自分自身を振り返ってみて、お金の使い方を見ると。。。
○ 住居はそこそこ高水準(世間一般から見てであり、六本木とかに比べると普通なんだろうなぁ)
○ 食および家庭用消耗品は普通(別に家で居るときは外食が多いわけでもなく、普通のスーパーで置いてある食材を食べ(近くにベイシアがあれば日頃から利用しているかも?)、ドラッグストアで売っている程度の洗剤を使う)
○ 家電製品はほどほど?(テレビこそ新築祝で50インチを貰ったが、他はレンタルで済ましているし、エアコンはLG。冷蔵庫も大きさの割りに低価格帯)
○ 車は、5年以上乗っている、新車で200万程度のもの。世間的には中クラスかな?
○ 時計やメガネは、スウォッチやOwnDaysなど安物
○ 衣服は、百貨店のセール品
○ もっぱら本と音楽CDにお金を使っている。。。
という意味では、確かに低くても良いものは低クラスのものを使っている部類に入るのだろう。
よく飲むミネラルウォーターは、ボルヴィックとクリスタルガイザーがあれば、クリスタルガイザーを買っている。でも、コストコへは行かなくなった。高速代が無駄だから。。
自分の価値観を振り返ってみるのにも、この本を読んで、なんとなく整理されたような気がしないでもない。


なぜ安くしても売れないのか―一人二極化消費の真実

ダイヤモンド社

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納豆データ捏造の話し

2007年01月20日 | 過去の不満たらたら記事
このところ、スーパーの店頭では納豆の品切れが続いていた、一部の納豆業者では、工場の運行時間を増やしたりして、稼働率を上げ対応などしていたという。中には、投資の検討をはじめた企業もあったかもしれない。
事は、あっけなく終わったと言うか・・・、今後、今回ほどのブームが起きるのかどうか?ただ、消費者は、今後、テレビに対して相当懐疑的になるのではなかろうか?
テレビ番組の中で、ある情報に対するソースがテレビである、とすると失笑される場面があるが、テレビ業界の人は、結局一部のニュース番組を除いて、それがエンターテインメントである、ということを分かっているのだろうなぁ。
たとえ、情報源がニュースであったり、権威ある学者の言葉であったとしても、またベストセラーの本であったとしても、時に間違いがあったり、論理矛盾があったりするものだと思う。だから、ことさらテレビだけを悪者にしたいと思うものでもない。
とは言うものの、社会への影響(それも庶民が動き、憤慨した)という意味では、今回の事件は、報道のあり方を相当考えさせられる話であると思われる。
まぁ、データが架空でも、効果は本当はあるかもしれない。また、将来的に、効果は認めながらも、食い合わせなどで副作用(それも悪いもの)が出てくるかもしれない。
国民の多くが、健康に関心をよせている現在、いいかげんな情報による報道はできるだけ避けるべきだと思う。今回のような、データの裏付けがないものを、捏造するなんてもってのほか。
これを教訓に、今後、テレビ側や視聴者がどういう対応をしていくべきか、考えた方がよいのだろうな、と感じるものだ。


「納豆でやせる」データ架空…「あるある大事典」陳謝(読売新聞) - goo ニュース

関西テレビは20日、フジテレビ系列で今月7日に放映した「発掘!あるある大事典(2)」の中でデータのねつ造があったとして、千種宗一郎社長(62)が記者会見を開いて陳謝。
 21日分から、しばらく番組の放送を中止する方針を明らかにした。
 同局によると、ねつ造が発覚したのは、7日放送の「食べてヤセる!!! 食材Xの新事実」。アメリカの最新研究を基に、「納豆にはダイエット効果がある」をテーマに、男女8人を対象に実験を行う内容だった。
 しかし実際には、番組中で表示された「血中DHEA量」、「血中イソフラボン」などのデータの測定をしておらず、数値は架空のものだった。
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企業における分析、についての本

2007年01月18日 | 本の紹介(ビジネス)
タイトルを見て敬遠する人もいることだろうが、意外とこの本はいいかもしれない。自分的には、分析について、もっともっと指標をどう使うか、という話しが出てくることを期待したのだが、いい意味で期待を裏切られたと言える。
内容は、分析という機能が、どう企業によって位置づけられているか?ということを、個人レベル、部・課単位、企業単位、などと大きな単位で分析というものが仕組みに取り込まれていっている状態を解説。そして上のステップに行くにはどうしていけばよいか?ということがステップ毎にまとめられている。
いろいろな情報を経営に活かすということが、実は、進んだ企業では収益力の大いなる源泉になっている。組織として、そして戦略的に、情報をどう分析して、活用していくのか。これは本来は経営マターであるべきなんだ、ということがよーくわかる。
CIOという言葉があるが、Chief Information Officerじゃなくて、Chief Intelligence Officerなんだろうな、と感じる。Informationには違いないが、活用される段になれば企業の知になっている。。。そんな気がする。


分析力のマネジメント―「情報進化モデル」が意思決定プロセスの革新をもたらす

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