企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

地域間格差の話題 納得はいかないが所得の面から

2007年10月28日 | 企業の一般的な話
住宅・土地統計調査という調査があります。これは各地の住まいの状況について、世帯人数や、持ち家か否か、世帯年収などの条件で切って、世帯数がどうなっているかみているものです。
現在、格差格差と言われていますが、確かにそういう側面はないとは思わないです。ただ、給与所得格差ではなく資産を前提としての所得格差が進んでいるのでは?と思っていることは、以前の記事にも掲載したところです。
ただ、そうしたことをずばり見える形にした統計は、なかなかないようです。家計調査もありますが、標本世帯の偏りで、だいぶ数字がずれてきてしまうので、推移を見るには難しいんですね。
今日の記事は、そういう意味で推移を見ようとか、資産状況をみようとか言っているものではないです。結果としてのさまざまな形での年収というものについて、上記調査データでもって都道府県を比較してみたということです。
見てみると、地域による差というのが明確に存在するんだなぁ、ということがわかってきました。こういうのは東洋経済なんかのランキングでも出てくるのかな?そんな気もするけれど。。
以下のデータは、それぞれの年収別の世帯数を、全世帯数で割った比率の数字です。ただ、年収不詳の世帯数も少なくない都道府県もあり、その世帯については考慮しないで年収がわかっている世帯のみで比率を出してあります。
数字は左から、300万未満の比率、700万以上の比率、1000万以上の比率です。
300万未満が多い順番に並び換えてあります。
こうしてみると、地域間の差が激しいですよね。これに、先日発表された学力テストのランキングを並べてみても面白いかもしれません。親が金持ちの方が成績がいい、とは限らないデータになるんじゃないか、と思うのですが。(確か、東北の学力がたかかったですよね)

沖縄 59.8% , 5.7% , 3.3%
鹿児島 51.1% , 6.3% , 3.6%
高知 49.1% , 9.7% , 5.6%
宮崎 48.4% , 7.5% , 4.3%
大分 43.6% , 9.2% , 5.2%
長崎 43.4% , 8.2% , 4.6%
青森 43.2% , 8.8% , 5.0%
熊本 42.9% , 10.0% , 5.8%
和歌山 42.8% , 10.6% , 6.1%
徳島 42.7% , 12.4% , 7.1%
愛媛 42.5% , 8.2% , 4.7%
福岡 41.1% , 10.9% , 6.3%
北海道 40.6% , 8.9% , 5.1%
京都 39.9% , 13.8% , 8.0%
秋田 39.6% , 9.6% , 5.5%
岩手 39.2% , 9.7% , 5.5%
山口 38.9% , 11.0% , 6.2%
大阪 38.7% , 13.1% , 7.6%
佐賀 37.7% , 11.9% , 6.7%
宮城 35.9% , 12.8% , 7.2%
福島 35.9% , 11.0% , 6.2%
鳥取 34.9% , 13.1% , 7.3%
広島 34.8% , 13.1% , 7.4%
岡山 34.8% , 13.1% , 7.4%
島根 34.4% , 14.1% , 7.9%
香川 34.3% , 13.8% , 7.8%
山梨 34.2% , 12.4% , 7.1%
兵庫 33.1% , 15.8% , 9.1%
石川 32.6% , 16.3% , 9.2%
群馬 32.4% , 13.2% , 7.5%
山形 32.1% , 13.5% , 7.7%
東京 31.6% , 21.1% , 12.7%
新潟 31.3% , 14.8% , 8.3%
三重 31.2% , 15.6% , 8.8%
茨城 30.7% , 16.2% , 9.1%
栃木 30.1% , 15.5% , 8.8%
奈良 29.6% , 18.5% , 10.6%
長野 29.5% , 14.5% , 8.2%
岐阜 29.2% , 15.9% , 9.1%
福井 28.3% , 18.1% , 10.4%
愛知 28.0% , 18.3% , 10.6%
静岡 27.6% , 17.6% , 10.0%
富山 27.2% , 17.7% , 10.1%
滋賀 26.9% , 18.6% , 10.4%
埼玉 26.5% , 18.5% , 10.6%
千葉 26.2% , 20.6% , 11.7%
神奈川 25.6% , 21.4% , 12.3%
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タイトルは過激ですが、内容はかなり的を射ているのでは?

2007年10月23日 | 本の紹介(ビジネス)
すごいタイトルですよね。正直なところ、金持ちにはもっと社会的責任を果たしてもらいたいと思っているので、タイトルだけを見ると、なんだか嫌な感じをもってしまいました。ですが、読んでみるとそうじゃない。金持ちには二つのタイプがあり、リスクを取ってもうけている金持ちと、リスクを取らずにため込んでいる金持ち、とがいるということ。前者はいじめちゃいけないよ、ってことを言っていました。
それなら、確かに話は分かるなぁ、と思い読み進めると。。。日本人は死ぬときに最もたくさんお金を持っているとのこと。諸外国では、そうではない。日本は、どうせ一部分をお国にもっていかれるにせよ、できるだけたくさん子孫に残したいのだそうで。
市中に出回る現金が78兆円くらいあるのだけれど、旧一万円札(ホログラムがはいっていない)が26兆円あるそうです。それらは、現金のまま相続されていくということなんでしょうね。一億人で割ったとしても、一人当たり26枚あるってこと。それが事実なんでしょうが、そうだとするともっとお金に困っている人のために使ってほしいものです。
それから、証券投資などへの税率についても、通常の利子への課税2割に対して、現在半分は減免?されて1割なんですが、これを「金持ち優遇」と言うことはおかしいとも指摘しています。ビジネスと同様に証券投資はリスクをとっているわけで、そういう意味で、決して優遇なんかじゃない、ってことを訴えています。
著者は、ルールを破って儲けている人については、厳しい一方で、ルールを守ってリスクを取っている人にまで、優遇する、という視点で騒ぎ立てることをいけない、と言っているわけで、納得のいく内容でした。
金融資産ピラミッドは、いろんな本でも紹介されるようになりましたからご存じの方も多いと思います。自身にしても、一番下からそう簡単に抜け出せることもなく、オータムジャンボなんて買っちゃいましたけれど、ほんと上の階層の人に、ため込むだけじゃなくてしっかり使ってもらいたいなぁ、と感じましたね。
それから、日本における寄付に関する制度の不整備は、早急に改善して欲しいものですね。詳しくは本書をご覧ください。

金持ちいじめは国を滅ぼす (講談社+α新書)
三原 淳雄
講談社

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ムダな(新人)研修と、自分探し症候群

2007年10月21日 | 企業の一般的な話
この2冊、企業の人事および教育担当者にあわせて読んでもらいたい本です。一方は研修について、どういうことを行わなければならないか、またどんなことがムダか、というもの。もう一方は、最近の若者(こういう表現は好きじゃないが)に見られるという「自分探し」についての本。
研修が必要な状態も、自分探しと言いながら何事にもチャレンジをしない人についても、どちらも今の社会が作り出してきたのだと思う。というかずっと昔からそういう人、状態ってあったのだと思うけどね。
思うに、やっぱり企業間の競争が激化してきているということがあるんじゃないかと。もっと裏側には、国際競争が更に激化してきているということ、なんかな、と思ってしまう。
日本が、貯蓄奨励で重厚長大産業シフトをした結果、まぁのんびりとバケーションをとってきた欧州を経済では抜き去り、アメリカに迫った時代。その頃は、企業にも余裕があったし、貿易黒字もあって国内にも余力があったのでしょう。国の財政赤字も少なかったし、赤字国債だって発行していなかったはず。
時代が変わって、官主導では、世界の競争に勝てなくなってきてしまった。アジアの国々やその他振興と言われる工業国に、だいぶ追いつかれて来てしまう。加えて金融ビッグバン、規制緩和で諸外国との自由競争がかなり広まったため、企業はあまり余裕がなくなってきた。
以前はもうかった人、企業から税金をとってくれば、なんとか財政もやりくりできたのだけれど。どうやら国際競争が厳しくなってきた時期に、官が政と一部の国内需要型業界と一緒に、権力と既得維持に走ってしまったんでしょうね。
いつのまにか官の優秀な人がかなり民に流出し、また、民での短期間でのサクセスストーリーなんかが知られるようになると、優秀な人が官より民を志向しだしたのもあるでしょう。官の一部では腐敗ともいえる状態になってしまったのは、多くの人が知っている通り。
また、優秀な人は、オーナー色が強かったり、老舗すぎて改革する風土がないような企業には入らず、もしくは入っても転職して・・・、なんて結果、赤福やミートホープみたいに、姑息な手段で利益をあげるのを止められなかった。
政治は、もうけてお金さえ払ってくれれば(税金と政治献金、裏金)、奨励し、誉め、そして守ろうとしたのも、二社について報道されたことを見れば分かるとおり。

なんて、背景については、いっさいこの2冊には書かれていません(笑)
えらい、話が飛んでしまいましたね。ま、仕方なく、「やりがい探し」をする人に対して、一歩踏み出してもらえるようにしなければならない状況にあることは、否定しようがないわけです。
企業にとっては、選択は二つ。しっかりと研修してモチベーションをあげる。または、そうした人を採用しない&解雇する。労使環境によっては後者は取れないことも多いから、だいたいは研修することになるんでしょうね。
だから、研修のROIをあげなきゃならないわけですよ。なのに、ムダばかりやってるわけだ。。多くの企業、そして行政も含めた組織は。。。

持論で恐縮ですが、日々勉強を続けていくこと。。なんじゃないかな?と思うのです。親が家で本を読んでいれば、子供も勉強するようになるし、見識が広がれば広がるほど、頭でっかちじゃなく、実践を志向するようになる。そのためにも、ROIの高い研修、生涯教育(これは長い目でみて日本の国際競争力を高めるものと思います。文化も含めて)をどう実現していくか?ってことが重要になってきますよね。

ということで、企業の人事担当だけじゃなくて、教育に従事する人、親という立場を含めて様々な指導者の方々に、この2冊に目を通してもらいたいな、と思ったまで。

あかん、文章が破綻しつつあるのでここでやめます。また、数日後に書き直そう♪

ムダ!な研修
福嶋 覚
日本実業出版社

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やりがい論―「自分探し症候群」から抜け出すために
田中 和彦
大和書房

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物の見方・・・意識しないとなにも見えてこない

2007年10月19日 | 本の紹介(ビジネス)
読んで爽快。新書判みたいなのに1000円って高いなぁ、なんて思いながら買ってきたのですが、いや、内容はほんまええでっせ♪偽装の外食食べるくらいやったら、家で、信頼できる米屋で買ってきたお米でごはんを炊いて、卵掛けごはんくらい食べてすごして・・・、で、この本を買って読んでもらいたいくらい。
意識しないと、見えてこないんですよね。何事も。じゃ、意識するってどういうことかというと、なんらかの仮説をもって見るということじゃないか、と思います。数字の羅列にしても、気がついていないだけでいろんなヒントが詰まっている。以前それを暗黙知の一類系としてカウントしたら、袋叩き(大げさ)にあいましたが、そういうのって、一部の人は経験的に気がついていることが多くて、やっぱり暗黙知なんじゃないか?と今も思っていたりします。
できるリーダーは、発見力がすごい。そうだなぁ、と思える指摘。この人できる!って思う人は、物事に対する視点がものすごくたくさんある。頭やわらかいなぁ、って感じます。僕もそうなりたいと思っているのですが。。。
セブンイレブンの最後のnなんて、知らない人はずっと知らないままなんでしょうね、きっと。そういう小さなことってどうでもよいようで、そうじゃない。その考えに大賛成です。たまたまですが、私も、出張先でたまに買う雑誌Newsweek日本語版の話とか出てきて、同意!しまくってしまいました。

そういえば、このブログもタイトルは「気づき」だった(笑)。もっと発見について、記事をアップしなければ(汗)

ビジネスマンのための「発見力」養成講座
小宮 一慶
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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ということで、今日の発見の一つ。前働いていた会社が入居していたビルを通りがかったのですよ。日比谷国際ビル(日比谷シティ)なんですが。一階の生活彩家、地下のスタバ、マクドなんかは、変わりなかったのですけれど、なんか空きテナントが増えているように感じました。
広場のそばには、ドラッグストアができている一方で、書店はジュンク堂だけになってしまったのかな?中にあった医者も、場所が変わったような気がします。ぷらぷらと通っただけですが、なんとなく、活気がなくなっているような雰囲気。大分、企業が抜けていったんじゃないかなぁ、と思うのですが。。。相変わらず家賃は高いままなんでしょうかね?
東京はオフィスビル過剰なんて結構騒がれていましたが、中堅ビルだけじゃなくて、あれだけのビルでも空きが出てくるとしたら、相当な地域(都市部内)格差があるんじゃないか?と。
サンシャインとかランドマークとかってどうなんでしょうね。それから新宿西口周辺も。
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ちょっと怖い話。食の偽装・・・なんとここまで

2007年10月19日 | 本の紹介(ビジネス)
ここまで書いてしまっていいのだろうか?と業界の外側からみても、かなり突っ込んだことが書いてあるのがわかるような内容です。老舗旅館の話とか、もう聞いてられない。私自身、あちこちでだまされたんだろうなぁ。
思い出してみて、外食した後に、胃に不快感があって体調壊すことが年に何度かあるんですが。。。特に、もともと体調が悪かったときとかじゃないのですよ。普通にしてたはずなのに、食べてからちょっとして、ゲップがでまくって胃がきもちわるくなって、たいてい便秘になってしまう。
まぁ、そういう時って、食事しながらもなんか味が変だなぁ、とか思っているわけです。過去にも記事にしたかもしれませんが、なんでもレストランのハンバーグとか、なんでもレストランのシャケ定食とかの鮭。ぱさぱさして味がしないなぁ、なんて思ってはいましたが。。。なるほど、単に古いだけじゃなくて、そもそも食材が偽装ものなんですね。
前、ハンバーグで気持ち悪くなったのは、今思えばミートホープだったんだろうと(他の会社かもしれませんが)。
そういえば、赤福が話題になっていますが、ここも製造日の不正があっただけじゃなくて、原材料表示をごまかしていたようですね。もともと、原価は安い商品なんだろうなぁ、とは思っていましたが、作り置きの冷凍物となれば、更に安くできたのでしょう。
地元では、さほど厳しい声が聞かれない、なんてことも言われていますが、優良企業(=税金たくさんはらっている)ということで、みんなで隠していたってことなんでしょうか?
この本は、赤福の話こそ出てきませんが、回転寿司とか結構すごい話が出てきます。代用魚なんかは、材料名を表示してくれればそれで良いと思うのですけれどね。フードマイルなんて言われても、個人的には、新たな食材を食べている!と言う方が面白くて♪
○○産のナイルパーチのムニエル、なんて普通食べたことないはず。でも食べているわけでしょ。そんなのは、正直に出してもらっても全くかまわないと思うのですけれど。(というか、その方が、食欲がそそられる)
一方、牛肉に鳥や豚、カンガルー、猪豚などが混ざっているという話は、別の問題がありそうですね。アレルギー表示がやかましい時代ですが、これも適切な原材料表示があるからこそ、限られた品目のアレルギー表示で済まされているはず。原材料に嘘があったら、アレルギーだっていろいろ問題あるはず。

ただ、一方で気になるのは、適正な商品を仕入れて商売している飲食店、スーパーだってあるということ。そうしたお店までもが、一部の偽装店舗のために、不利益を被っているということについては、もっともっと追及していかなければならないのじゃないか?と思います。正直者が損をして、かつ、社会にも貢献できない、なんてやっぱおかしいと思いますもの。


鯛という名のマンボウ アナゴという名のウミヘビ 食品偽装の最前線――魚・肉・野菜・米 (晋遊舎ブラック新書 3)
吾妻 博勝
晋遊舎

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スピリチュアル再考・・・

2007年10月17日 | 本の紹介(ビジネス)
先日は、香山リカ氏の本について記事を載せた。といってもある種、一方的な判断もあるのじゃないか?と思い、もう一方から、すなわち江原氏の側の声についても見てみようと思い、最近の本「日本のオーラ」を手に取ってみた。
過去、一、二冊だったか、スピリチュアル系の文庫は手にとって読んだことはあったのだが、その時の印象は「道徳」のような、それでいて、自分は自分のままで「ありのまま」でいてよいよ、というような雰囲気を感じたのだったが・・・。この本は、ちょっとタイプが違っている。文中にもあるが、「スピリチュアリズム」という哲学から見た社会問題への対応についての本であった。
正直なところ、本書を読む限りでは、かかる哲学の根底にどういう考えがあるのか、がわからなかったのだが、ごく一部の叙述にあるオーラの色を除き、真っ当なことを伝えたいのだなぁ、ということは分かった気がする。
そうだよなぁ、と思った行は・・例えば、
○「社会全体に子どもの存在を受け入れる雰囲気が足りないような感じ」・・「ある企業のCMで、赤ちゃんが産湯につかっている映像を流したら、『自分の家にはこどもがいないのに、あんな映像は見たくない』と講義があって、うちきりになった」とかの事例など・・・まぁ子供に限らず、自分の価値観は絶対である。。という人が増えているようなことを懸念しているところ。
○「国語の勉強で、『たけくらべ』の著者は誰かを暗記しても、それは本当の教養とは言えない」、「『たけくらべ』を読んで、感動すること。そこに『愛』や『真善美』を見いだせたときに、本人の教養となる」というあたりもそう。
第18章(最終章)には、著者から丁寧にも、「スピリチュアル」「たましい」「霊的真理」という言葉への抵抗はあるかもしれないが、言っていることはまともだろう?という問いかけがある。いや、その通りで・・。

で、結論として。。日本でもそれなりに影響力がある人なんだろう。そう思って本を読んでみたところ、一部理解が及ばないところはあるが、まともなことを書いていた。
先日の香山氏の指摘もわからないではないが、これって受ける側の問題なんじゃないか?と。少なくとも、江原氏のこの本では、個人の幸せを追求せよ、なんてことは出てこないばかりか、逆に、そうした個人主義を諌めている。
同じ教典を読んでも行動が違う人がいるように、今の日本でも、例えば江原氏の言葉を聞いても、都合のよいところだけ咀嚼して理解したつもりになって、自己満足に浸っているような人がいるんだろう。香山氏はそういう人のことを、スピリチュアルにはまる人、と表現して・・ちょっとまずいんじゃない?って言っていたのだろうな。
そういう意味では、自らの発信した言葉が、時として都合よく使われてしまう江原氏も、残念に思っていることがあるんじゃなかろうか? その意味では、香山氏と江原氏による対談なんてのを見てみたいと思ってしまった。

なんだか、いつも以上にまとまりがない文章になってしまったが、この話については、また時間がたって考え直してみることにしようっと。いくつか、宗教家の人の本も読んだりはしているが(瀬戸内さんとか玄侑さんとか、あと荒修行の話など)、そのどれもが、別に熱心に宗教へ勧誘しているようなものではなくて、ある視点からのものの見方を説いている程度であるように思う。江原氏についても、この本は、そうした本の類書のように感じてしまったのだが。。。違うだろうか?

日本のオーラ 天国からの視点
江原啓之
新潮社

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こういうクイズで、本当に適性を測れるかな?

2007年10月15日 | 本の紹介(ビジネス)
外資系企業を中心に、この本で紹介されているようなクイズが、採用試験で使われることが多いのだそうだ。だいぶ前に、「ビル・ゲイツの面接試験」という本があったが、それに近い内容。というよりは、問題自体を多く紹介し、開設している本となっている。ビル・ゲイツの方は、もうちょっと現実的に考えなければならない問題も紹介されていたと思うが(富士山の話や、調律師の数)、こちらでは、頭の体操的な問題も少なくない。
表紙には、1m四方の立方体1000個で構成される10m四方の立方体のうち、表面上に見えている立方体の数はいくつか?というもの。まぁ、この問題くらいはネタバレまずいかな?見えていない数を数える方が簡単って・・・・答えなんだけれど。
実は、この問題の答えについては、疑問を持っている。10mの立方体が、宇宙空間で浮いているのならまだしも、通常地上では、底の部分は見えないはず。現実的には、底で周りから見えていない64個についても、引いてあげる必要があるんじゃないかな?と思うのだよね。
と、突っ込み入れがいのある設問もあったりして、楽しめるのだけれど。ま、これからそういった外資系企業の採用試験を受けてみようと思う人は、読んでおいて損はないと思う。
しかし、こういうパズル問題を採用で用いるということはどうなんだろう?って思ってしまうのだが。。市場規模の推測とか、そういう論理的思考と業界知識のチェックとかならまだしも、これじゃ本当に頭の体操に過ぎない。頭の体操自体は、暇つぶしにもなるし、徹底して考えるという意味ではとても価値があると思う。でも、仕事で、いったいどこまで一人で真剣に考え抜く必要性があるだろうか?
そうした企業で活躍してきたという触れ込みの人を少なくない数見てきたけれど、仕事の内容によってはかならずしも活躍できるわけではないなぁ、と思ったこともある。まして、投資銀行、ハイテク企業、戦略ファーム、って言ったら仕事のスタイルも異なっているわけで、各社が同じようなパズルばかり使っているとしたら、なんか大いなる間違いをおかしているんじゃないか?なんて思うのだけれどね。

いや、自分がこの問題をあまりできなかったから、ちょっと突っ込みをいれているだけなのが、なんとも情けないけれど。。この問題を使うとしたら、面接の段階よりも手前じゃないかな?と思ったわけで。
せっかくの面接の時間を、こういうパズルですごしてしまうなんて本当にもったいない。答えだけ聞けば終わりというか、正解、不正解だけで判断できるような設問は、なんとなく面接では使って欲しくないなぁと。

・・そういえば、適性と書くべきを適正としてしまった。。間違い、間違い(汗)

外資系企業がほしがる脳ミソ―採用試験の定番! 問題解決力を試す60問
キラン・スリニヴァス,辻谷 一美,外資系企業研究会
ダイヤモンド社

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早く続きが読みたい♪そんな漫画でした

2007年10月14日 | 本の紹介(ビジネス)
少し風邪をひいたのか体調が悪かったのですが、夕方大分持ち直してきて、池袋東武へ行ってきました。帰り道、ちょっと芳林堂へ寄って、面白げな本や漫画などないか?と見ていたら、なんだか見たことのある顔が。。哭きの龍、月下の棋士の顔でした。タイトルはアレルヤ。バイオリンを弾いている絵。
のだめのおかげか、クラシック音楽系漫画が見直されているのでしょうか?さそうあきら氏の漫画などぱらぱらと出てもいますが、能條氏の漫画があったとは。3巻出てるだけ購入して帰ってきて、読み通してしまいました。
ヴァイオリン弾けたらいいなぁ、とか自分でも思うのですが、左の小指が微妙に固く、ギター等弦楽器は全然だめな私です。妹はリュートの演奏家(アマ)なのにね。ま、話を戻して・・。能條氏の漫画ということは、かなりハイレベルな戦い!が見られることは期待できますよね。バイオリンの演奏において、人生いろいろ、人情いろいろ、そして演奏技術までいろいろでてくるようなストーリーが展開されるんだろう、って読む前から期待してしまいました。
それで、読み終えての感想(といっても、まだ完結は全然していませんが)は、当然のように期待を裏切らず、とっても楽しめて読めました。モーツァルトの5番については、読み終えてしっかりと聴き始めてしまったほど。
のだめの時もそうでしたが、聴いたことのある曲はそれで楽しめるし、聴いたことがない(もしくは、あまり覚えていない曲)についても、手元にあればCDを取り出し、なければネットで探して聴いてみれる、楽しい時代になりましたね。
能條氏のファンは、またけったいなジャンルを!なんて思っているのかもしれませんし、そうでない人にとっては、見向きすることもない漫画かもしれませんが、この漫画に限らず、氏の漫画には、人の暖かさを感じさせる部分が少なくないと思います。
ビジネスには直接関係ないけれど、どんな人も少なくない感情と思考をもっているということを忘れないようにしたいですね。

アレルヤ 1 (1) (ビッグコミックス)
能條 純一
小学館

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アレルヤ 2 (2) (ビッグコミックス)
能條 純一
小学館

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アレルヤ 3 (3) (ビッグコミックス)
能條 純一
小学館

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スピリチュアル考

2007年10月13日 | 本の紹介(ビジネス)
精神科医の香山リカ氏が、ここ数年市民権を得てきたスピリチュアルについて想いを綴っている本。氏自身は、スピリチュアルにははまらない側の人であるそうだが、結局、この本を読んで、どういう性格(または他のタイプわけ)の人がはまり、はまらないのか。。は明確にはならなかった。私の理解力が足りなかったのかもしれない。
指摘として印象に残ったのは、少なくない宗教が「世界平和」であったり「民衆の幸福」を願っているのに対して、今のスピリチュアルが個人個人(もしくは身近な人)の幸福について解いているということ。
指摘されてみて、そうだなぁ、と思ったが。。。これだけ広く受けいれられるということは、それだけ個々人が自分で抱えきれないほどのストレスを持っているということなんじゃないか?と考えてしまう。
書店にも、個人の幸福、成功についての本が多く並んでおり、逆に言えばそういう視点で多くの人が悩んでいるということなんだろう。
ふと思ったのは、同様の話が日本国内だけで流行しているのかどうか、ということ。日本くらい宗教が多い割に、無宗教な国もないのは有名な話だが、スピリチュアルは、ちょっと宗教っぽくないムードを漂わせていると思う。細木数子の説く「生き方」であったり巷の処世訓に近いものでありながら、ある種、目に見えないものをよりどころとしている分、宗教っぽい話もあるのだが。。。
外国では、かなり宗教が社会に浸透しており、その世界観から見たときにスピリチュアルがどのように見えるのかな?とも思った。香山さんは精神科医の立場なわけで、例えば、仏教各宗派とかキリスト教、イスラム教、教徒の人の話を聞いてみたくもある。

え?私自身はどうか?結構流されやすい人で、根拠が怪しかったという「マイナスイオン」や「水」などの健康話にすぐ乗っかってしまう人なんで。その意味では、それはそれとして受け入れる素地はあると思います。でも、ハマルかと言われれば、そこまで時間的余裕がない、かなぁ。

最後に。「星の王子さま」では、こころの目で見ることが重要とされていたように思います。かんじんなことは目には見えないもの。前世については、よくわかりませんが、江原さんって心の目はとっても豊かなんじゃないでしょうか?


スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)
香山 リカ
幻冬舎

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常識、非常識? 考えること

2007年10月13日 | 本の紹介(ビジネス)
社会のいろいろな問題について、ビートたけしがその道のトップの場所にある(あった)人にいろいろと疑問を投げかけている、そんなインタビュー集とでも表現すれば適切だろうか?一部に、茶化したような表現もあるものの、ただただメディアで流れてくる情報を吸収していくだけでは思いつかないような視点で、様々な相手とかなりつっこんだ議論をしてしまうビートたけし。この人の本はいくつか目を通したことがあるが、いや本当にすごいと思ってしまう。
すごい、とは言っても、物事に天才的なひらめきで突っ込みをいれるのではなくて、いたって真っ当な方法で突っ込みをいれており、論理も明快、言外の情報ではなく、できるだけ説明的にまとめられていることもあり、よくわかる本になっているのではなかろうか?
映画監督としても、その実力を見せつけている「たけし」氏だが、ものすごくロジカルに考えることができる人なんだなぁ、と今は感じている。つねに壇上で、舞台で、テレビで、見られることを意識して言動しているのだろう。専門家のわかりにくさ、とは対極にあるように感じてならない。
日頃、テレビは見ないわたしではあるが、彼の番組については、気をつけて見てみようかと思い始めたのだった。
忙しくて、たけしなんて見てられない、本なんて読んでられない、という人も、気になる人との対談のところだけでも、ちょっと見てみてはどうだろう?文庫だし、かばんにポケットに入れておいてよい本ではないだろうか?

巨頭会談 (新潮文庫)
ビートたけし
新潮社

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ここまでは、さすがに本は読めないけれど・・・

2007年10月11日 | 本の紹介(ビジネス)
中島孝志氏と聞くと、いろいろなビジネス系ノウハウの本の著者であることを思い出す。なんと年に3000冊にも目を通しているのだそうで。同じようなタイトルの本に「レバレッジ・リーディング」という本があるけれど、この本も、自称多読人に向けて書かれた本なんだと思う。読まない人は、結局読まないからなぁ。
年3000冊、必要あって読んでいるとのことだが、外れが2400冊あるのだという。選んで買って当たりが2割(もちろん、ネット買いの2400冊を入れての数字だそうだが)。これだけのプロですらそうなんだから、当たり本を見つけるのが如何に難しいかってことか、と思ってしまった。
書店などで、じっくりと見て回る日もたまにはあるのだが、最近は特に、ぱっとしない本が増えているのかなぁ、なんて感じてしまう。できるだけ外れを買わないようにしなければ。。
仕事でいろいろ本を読まなければならない人、また、いろんな意味でスキルアップを目指している人にとって、ざっと目を通しておいて損はない本だと思うので、どこかで目にしたら、ぜひ中身をのぞいてみて欲しい。

蛇足だが・・。世の魅力ある女性たちが、もっともっといろんな本を読むようになったら、男ももっと本を読むようになるんじゃないかなぁ、なんて思った。本から得られるのは知識だけではないと思う。行動に移せないこともあるかもしれないが、どこかで役立つんではないか?
仮に余命が限られる(目に見える)立場になっても、名著と呼ばれる本を読んでいそうな自分としては、本を読まない(それも人生とは思うが)人を見て、そんなことを感じてしまう。

キラー・リーディング 「仕事脳」が劇的に回り出す最強の読書法 (JBシリーズ)
中島 孝志
実業之日本社

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フサイチの馬主は、ただ者じゃないですね。。

2007年10月10日 | 本の紹介(ビジネス)
他の著書も以前紹介したことが会ったと思いますが、このリーダーシップ本、なかなかの出来上がりではないでしょうか?見た目と豪快さで、キワモノ扱いされそうな人ですが、人の使い方、そして戦略家としては、本当にすごい人なんだろうなぁ、と思います。
リーダーはどうあるべきという話(そんなにたくさんはないけれど)についても、肯きながら読みましたが、彼のようにしっかりと稼いだ人がお金を豪快に使うことについて、明確に記してあったのは納得でした。
所得格差よりも資産格差・・このブログでも何度かそういう話を取り上げていますが、資産のある人が使わないから、フロー経済が弱くなってしまう。だから更に格差が助長されるということ。。資産税みたいなのを、やっぱりやるべきなのかもしれませんね。
本書は、そんなに分厚くないし、全部を読むことも、そう苦ではないと思います。ただ、3章だけは、自伝的で、読み物的。1章・2章あたりはノウハウ本としても読めます。4章・5章が、著者からのメッセージであり、最悪、4,5章を立ち読みでも。
わたしにとっては、内容もそうですし価値はあったと思いますが、薄さからするとちょっと高いかもしれませんね、価格が。一冊一冊のコストは、たいていの読者にとっては数百円の差なんでしょうが、たくさん読み始めると結構な額になる。
大富豪らしく、大盤振る舞い・・なんてできなかったかなぁ♪と。いい本なんだし、読者が社会を変えていく!と考えたら、500円くらいの設定にして(笑) ただ売った書店には、著者から報奨金を出す。。みたいな。


豪快!リーダーシップ論 (ベスト新書 146)
関口 房朗
ベストセラーズ

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経営者、そしてリーダーの格差

2007年10月09日 | 本の紹介(ビジネス)
カネボウで「変われない」会社を見てきた著者が、格差について論じている。副題に「会社がワーキングプアを助長する」とあるように、企業の盛衰によって、図らずもワーキングプア側になってしまう人が、現在もそして将来も出てくることを論じている。
近年、自己責任という言葉がよく聞かれるようになったが、会社の場合どうかなぁ、と思ってしまう。寄らば大樹じゃないけれど、カネボウ、雪印、加ト吉、三菱自動車、言ってみれば世間では優良とされる企業が、おかしくなったり、粉飾をやったりしてしまう。ほとんどの従業員は、うちの会社おかしいんちゃうか?なんて考えたこともなかった(まぁ、業績が悪くてボーナスが出なくなると、考えることはあるでしょうが・・赤字でも賞与を出す会社たくさんありますからね)んじゃないか。
会社、そして組織は、リーダー次第でどうとでも変わる。これは、特に変革が必要な時期のことと思います。景気もよくて、業績も上り調子の時は、トップは何もしない方がよかったりもする。もちろん、先を見て、いろいろ新たな手は打つことはあるにせよ、好調時に大なたを振るう必要までは、あまりないだろう。
ただ、安定期が続いている会社では、なかなか変革が難しい。先行きが暗くなりはじめたことを敏感に感じ、また変革するにはトップの決断が不可欠だ。そのタイミングに、適切なトップを据えることができるか、できないか。これは従業員(および経営陣)と株主の責任なんだろうけれど、なかなかうまくいかないだろう。企業の寿命が30年と言われたのは、例えば景気の循環にあわせて変革できる会社がいかに少ないか、ということを示しているのではないか?
で、この本。変革・決断できない経営者が、格差社会の原因の一つではないか?と言っているのだけれど、言い得てるなぁと思ってしまう。業績が悪い状態が長く続いている会社のトップは、やっぱり決断できない人であるように感じるのだ。
また、これは会社という単位の話にとどまらない。もっと小さな単位、すなわち部や課、チームと言った単位でも同様のことが言えるのだろうとは思う。収入面での格差ではなくて、QOL(Quality of Life)の格差が確実に出てくるからだ。
何らかのリーダーである人は、一度この本を見てはどうだろう?じっくり読めばよいが、少しのエピソードを立ち読みするだけでもよいと思う。私自身も、反省しながら読み通したものだった(もちろん、反省だけじゃなく、あの社長はなぁ・・なんて考えながらだったけれど)。
ところで、この本ではワーキングプアという表現が使われている。最近は、金融資産の格差とかもいろいろ言われているが・・・。今の日本だと、やっぱり土地持ちやビル持ちなどの不動産リッチが、少なくない固定的な収入を得て、ゆったりすごしているように感じてならない。まぁ、そういう格差も含めて、政治家というトップを選んでいるのは国民なんだけれどね。(企業では社長は選挙で選ばれたりしないから、よりたちが悪いということは、上ではあえて書かなかったけれど・・・考えてはいます)
政治の透明性が叫ばれるようになって来たこの時代。企業(特に、上場の大企業なんか)でも、透明性がより求められてしかるべきかなぁ、なんて思ってしまう。密室で社長が決まる・・・そりゃ仕方ないのかもしれないが・・・。。総会で役員を選出して、その役員の中で社長が決められている、というような会社がどれだけあるかなぁ、なんて思ったりする・・。


経営者格差 (PHP新書 483)
藤井 義彦
PHP研究所

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スタバだけじゃない。。身近な経済の話

2007年10月05日 | 本の紹介(ビジネス)
「スタバではグランデを買え!」このタイトルを見てどう思ったかというと、また、そういう刺激的なタイトルで売り込もうとしてるんだ、と思ってしまったのだった。まぁ、ざっとページをめくってみると、携帯電話の料金明細が分かりにくい理由とか、いろいろと面白げなことが記載されていたので、勝ってみたのだったが・・・。実に明解な本。経済でいうところの比較優位を、すごく分かりやすく説明している本であると同時に、卑近な話題で読む人に本を手放せなくさせるほどであった。(わたしだけ?)
特に、お勧めしたいのは・・・スタバの話、もちろん「グランデがお得」ではあるが、その裏でお店がもっと得をしているということ。コンサル時代は、仲間達とお店に入っては、利益構造を推測していたが、そういう話が紹介されている。あとは、第七章の経済格差の話と、第八章の子供の医療費無料の話。そして、最終章にある、ステーキ屋と焼肉屋、子供むけビジネスの話かな。
携帯電話の話は、興味深い話ではあるけれど、わかったからといって、すでにどこかのキャリアに囲い込まれている消費者としては、キャリアを変えるという判断がなかなか難しい。どのプランを選ぶかという意味では、最新の各社のプランをしっかり眺めたらいいのであろうと思う。電話機自体の使い勝手の問題もあるし、ほんと、携帯だけで一冊以上の本が書けそうなので、まぁ料金プランの説明を軽くしておいたのだろう。
子供の医療費無料については、本書の中で最も読まれて欲しい部分である。まぁ、その前の、経済格差のところを合わせて読まなきゃならないだろうけれど。資産リッチと、所得プチリッチ(共働き)、結局しんどいのは共働きになってしまうという話は、分かりやすかった。時間コストが高い人にとって、小さな額の無料化で、逆に負担すべきコストが増えるというのは、これまで見過ごされてきた議論だと思う。
機会費用(機会損失)について、もっと認識が高まれば日本の国ってまだまだ効率化できるし、住みやすくなる。そして、少子化にしてももっともっと軽度に進んでいくのじゃないかなぁ、と思ってしまう。政策が、見えるストックとフローばかり考えているうちは、それは難しいだろうけれど。。

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学
吉本 佳生
ダイヤモンド社

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少年Hを読んで・・・

2007年10月02日 | 企業の一般的な話
あまりにも有名な本ながら、ずっと積ん読してあった本を、出張かばんに入れて出た。上下巻を別々に持ち出して読んでみて、いや、もっと早くに読んでおいたらよかったと思ったものだ。
戦争を知る親から「よかったぞ」と言われたのは何年前のことだったか。自分では井上ひさしの「東京セブンローズ」を親に送っておきながら、この本については、今の今まで積ん読が続いてしまっていたのだった。そういえば、「祖父の戦争」なる本も読んだんだっけ。
このところ、ずっと出張中もパソコンとにらめっこが続いており、新幹線、ホテル問わずPCと格闘していたのだが、あまりに目が疲れてドライアイになったこともあり、重さも軽い文庫を持ち歩くことにした。必然的に、ビジネス書ではない本を選ぶことになる。(というのは、ビジネス系文庫でよさそうな本はたいてい読んでしまっていたから)
読み始めて、実は逆に睡眠不足になってしまったのだが、H少年の想いってなんだか分かるような気がするなぁ、と、いまも感じている。と同時に、戦争中、国を挙げて戦えたこの国が、今の世界経済戦争の中では、どうも足を引っ張り合っているような感じがしてならない。
いや、戦時中を知る人なら、陸軍と海軍は異なる考えであったとか、そういうことを指摘するのかもしれないが、はじめてしまった戦争である以上、なんとかしなけりゃならない、という思いは共通してもっていたのではあるまいか?
今の世界経済は、国家とか国民という枠を超越しているという考えは否定しない。企業は、国を越えて人を採用し、利益獲得のための戦いを続けているから。しかしながら、国家はそうした企業に対して課税や規制をする力を持っているわけであり、あからさまに自国企業を保護することだってできる。
世界を見渡してみると、日本は、経済力でアメリカ、EUに次いで3位と言っていられるのは、あと何年のことなんだろう?と感じてしまう。そのことに対して、明確な方向性を打ち出すことを、政治家の人に求めたいなぁ、と感じるのはいけないことなんだろうか?
なんか、将来が見えないと感じている若者は少なくないんだと想う。どうしたものか?
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