企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

呉服業界・・別に業界がなくなるわけでもないし、もっと長期視点をもって欲しいなと

2007年06月09日 | 和の話(呉服業界など)
仕事柄、中規模(正社員数で100-1000人程度)の企業の人々とお付き合いをすることが多いのだが、そういった企業で働く人は、大企業で働く人と何かが異なるか?と言われると、正直、現場管理職レベルではなんら異なることが無いな、と感じている。しかし、現場となると、たいていは人材の育成が行き届いていないことが多い。では、更に小さな企業ではどうか?というと、これはもう千差万別、会社によって全然異なっていると思う。それは仕方ないことだ。
呉服という業界について書こうとは思うが、メーカーや商社、銀行などとも比較して、どう異なっているのか?と見てみると、さほど変わらないな、と感じる。というか、経営方針さえしっかりしていれば、もっと活躍できるのにな、ということをより思うのだ。
会社というものは、やはり営利の存在であり、利益を出し続けていくことが求められるものだと思う。で、利益を出すためにどうしたらいい、ということが明確にわかっている企業がどれだけあるか?というと、案外少ないのではないか?と感じるのだ。政策的に赤字を出している企業があるだろうが、TKCによれば、日本の法人企業約297万7千社のうち赤字企業の割合は68.1%なんだそうで。
黒字すなわち利益を出すために、組織としてどう動くか、また個々人がどう動くか?ということがきれいに繋がっていないのが、少なくない企業における状態ではないだろうか?


そして、呉服業界においても、それが当てはまる。破綻したある大手チェーンでは、利益を出すための理論は明確に存在した。ただ、その手法自体が、継続的に顧客を維持、成長させていくモデルではなかったことが問題だったのだろう。多かれ少なかれ、多くの大型チェーンでは、同様のモデルを追求してきていたので、今、方向転換が求められているのだと思う。

そのモデルというのは何か。業界関係者は、わかっていて言わない。要は、高い粗利をとっているという話なんだけれど、その粗利を獲得するために、いろんな手を使っているということ。お店で40万円で買取で仕入れて、普通に売れば50万円で売ることができるきものを、メーカーや問屋から借りてきて、ちょっと離れた場所にある観光地やホテルなどで展示会を開き、足代、食費、時には観劇をつけて販売すると、100万円になるという話し。
40万円の仕入原価のものが、買う場所によって値段が違うというだけなんだが、これが、たまたま単価が高いものだから、業界関係者も口を閉ざしてしまうのだが、世の中には同様のものはいくらでも存在している、ということを彼らは知っているのか知らないのか?
コンビニで買っているミネラルウォーター。例えば、ミナクアが130円する。これが、ホテルで買えば150円とか250円とかになるし、スーパーなら98円や105円になる。仕入値は、一本55円から80円くらいかと思う(物流によって異なる)。では、メーカーでの原価は、というとボトル、キャップ、ラベルなどで20円-25円。製造ラインの償却をいれても30円程度。もちろん、水は、ほとんどの場合コストがかかっていない。
また、ドリンク剤(ユンケルやゼナ)などは、販売額と原価は全然比例していない。効能は異なるかもしれないが、原価は1000円と3000円の商品を比べて、3倍になったりはしていない。いたるところにそういう商売が存在しているのだけれども、自分たちの商売(実は、以前はもうちょっと真っ当な商売をしていたらしい)について、どうも口を閉ざがちだ。
まぁ、大手の中でも、より普通の商売へと転換しつつある会社もあるのだから、この業界は関心をひく。あまり報道されないものの、業界として転換期に来ていると思うから。
そこで、考えなければならないこと、催事ビジネスと店頭販売とで、どれほどに求められる人材が異なるか?ということ。
催事といっても、店頭でやっている催事(余計なコストを払い、単価を上げたりはしないもの)は、店頭商売と位置づける。要は、本当にお客様に納得していただける付加価値をつけられるか?という視点で捉えなければならない。
粗利30%の商売と、70%の商売とでは、人材の育て方、また活用の仕方は全く異なるといってよい。まったくモデルが異なるわけだ。そこのところをわかっていないで、二兎をおわせている経営者がなんと多いことか?そして、一人あたり人件費はというと、多少粗利70%のビジネスの方が高い程度。なぜなら、一人あたりの限界利益があまり変わらないから、なんだろう。
粗利70%ビジネスであっても、変動費である販売促進関係のコストが多くかかっており、実質、直接販売コストを引くと、残る本当の粗利はあまり変わらなかったりするから、でもある。
では、どんな人材を育成すればいいのだろう?また採用すればいいのだろう?業界の規模からすれば、それなりの人材も採用は可能だとは思う。また、既存の人材を見る限り、育成していくことは十分可能だろう。しかし、その方向性が見つかっていない。

あらためて、呉服関係を見ていると、勝ちパターンを見つけられていない企業が多いのだ。10年先まで継続して利益を出し続けられるモデルがあるか?またそのパターンを継続するために、従業員に、何をどうさせるか、まで明確に落とし込めている企業があるか?残念ながら、そういう企業が限りなく少ない、と感じるのだ。
たいてい、組織内で足のひっぱりあいをしてしまっている。
長期的で利益に基づいた視点に立ちかえって経営を見直すこと、産元、問屋、小売業とも、それが足りない。そのための、人材育成は何か?などもっとつっこんで話をしてみたいものだ。
大きな投資が必要ない業界だからなんかもしれないが、利益意識は他の業界に比べると低い。経費を外部に出しながら、売上だけを大きくしていく形のチェーン店は、そう長くないじゃないか?
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