企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

失敗はゼロにはできない、か。

2006年07月23日 | 本の紹介(ビジネス)
失敗学の本は、最近はかなり多く見かけるようになった。この本は、失敗データベースの紹介や、失敗自体の原因究明もしているものの、特に注力しているのは、どう過去の失敗事例を、今後の予防に役立てるのか、ということだ。新書ながら、ものごとの見方として、とても参考になるものと思われる。
いくら、失敗のデータベースを作っても、それが見られなければ意味がない。整備されたデータがあっても読まれなければ無駄ということ。それから、仮に読まれたとしても、同種の失敗をしてしまってはだめ。また問題解決的なスキーマができている人ならば、類似した失敗についても予防できるだろうが、そうではない人の場合、全く同じ条件が揃わないと予防できないということにもなりうる。それでは、予防にならない。全く同じ条件が揃うような、再現性のある失敗というのは、そう多くないからだ。
そこで、実際どう失敗データベースが作られているのか、ということの簡単な説明がある。ウェブでの失敗知識データベースについても紹介があり、今後の色々な業界での取り組みを促すような話となっている。

私見だが、企業活動そして組織的な活動というのは、ほとんどが教育、そして学習に依存している、と考えている。失敗をしないための教育というものが独立しているのではなくて、ものごとの実現の仕方を教えながら、失敗もしないように学習してもらう、ということではなかろうか。
今後、日本企業での教育、学習というものが、これまで以上に重視されて来るのだろうな、と考えている。残念ながら、そうした研究や本は多くない。MBAが一つの形だ、と言われるかもしれないが、MBAの対象としている人は、相当ハイレベルな人であると思う。
各種のセミナー、そして社内での研修など、多くの学習のための体系が存在しているとは思うが、そのどれだけが、教育の視点、また認知、記憶、失敗の視点で体系づくられているものか。
結果さえ出せればよい、とは思うものの、それが人に依存していてはだめだろう。また、環境が変化することに対応していけるかもわからない。なんとなく、そうした視点で企業経営や組織運営について考えていく必要があるのだろうなぁ。

「失敗をゼロにする」のウソ

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