あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

寒かったー

2012-01-12 21:52:30 | Weblog
昨日の夜はかなり寒かった、前の晩は3時間ほどしか寝れなかったので、今日は早く寝ようと思って10時ごろに布団に入りましたが、5分とたたずに熟睡といければよかったのですが、5分で病院からAAA破裂の電話、いっちょう頑張るかと布団から這い出して、オペスタートへ、CTでは2Lぐらい出血しているかんじでしたが、後腹膜で止まっていて比較的安定していました。開腹歴があるようでしたが臍下だったので、大丈夫だろうとそのまま正中開腹でアプローチしたら、大網が骨盤腔にかけて小腸をすべて覆うように癒着しており、剥離は困難そうでしたので、小網腔から遮断することや、下行結腸を起こしてレトロにはいるか、考えましたが、なれない手技はやはり時間のロス、ショック状態が続いていましたので、最短距離で、結局、大網を横行結腸の下縁に沿って離断して後腹膜を出していつもの視野にもっていけました。後はいつもどおりに、中枢ネックを用手的に捕まえて、ストレートで置換してきました。5時間ほどで抜管あmでもっていけましたので大丈夫でしょう。
破裂のときは、たいがい、時間との勝負ですので、指でがーと剥離して、意外と早く終わるもので、止血剤も大量に使うので、そんでも意外と出血もせず、いつもの予定手術より早く終わってしますことも多いです。昨日は癒着で手惑いましたので150分とかかりましたが。
これまで、15例ぐらいはやらせていただいたと思うが、破裂で大事なのはやはり、ショック時間をいかに短くするかでしょうか、オペ室直入できれば最高ですが、夜間などはなかなかそうは行きませんので、とにかくオペ室準備できるまでに、ライン類はすべて確保して、オペ室では挿管するのみにしておいたほうがよいでしょうか、もちろん、それまでに挿管を余儀なくされてしまう場合も多いですが。そして血圧は高いよりは低いほうがいいですね、意識があるなら60ぐらいあれば、まず大丈夫ですね、昇圧剤など使って、あせって血圧を上げると再破裂を起こしますので、ボリュームを入れて、血圧はそこそこを保てばよしですね。
また、一番注意するのが、麻酔薬を投与して挿管のときでしょうか、麻酔によって出血により血管内脱水のうえ、末梢が広がりますし、痛みが取れるので、内因性のカテコラミンの分泌が減りますので、一気に血圧が下がります、そのまま心停止や、挿管の刺激で血圧が上がって再破裂してしまい、ばたばたになるという、お粗末な管理を何度か見ています。
なので、私のときは麻酔の導入はなるべくぎりぎりまで待ってもらい、ボリュームラインを確保して、アルブミンなどを落としながら、なるべくドレープして準備してからにするようにしています。始まってしまえば、だいたい10分ぐらいでネックはつかまりますので、血圧が少しあれば、助かることが多いです。なので、当たり前といえば当たり前ですが、破裂というのはオペが始まるまでが勝負かなと、これまでの色々な経験から感じます。