日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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焼き味噌をせむと朴の葉拾ひけり

2011年12月01日 16時27分51秒 | 日記
朴葉とは言うまでもなくホオノキの葉である。

 ホオノキは日本全国の広葉樹林に普通に見られるモクレン科の落葉高木で樹高三〇メートル、幹周りは直径一メートル以上にもなる。ホオノキの材は比較的堅く割れにくいので朴歯下駄や版木、和庖丁の柄、俎板、刀の鞘などに利用される。

 ホオノキの葉は大きく、長さ20センチ以上、時には40センチにもなり幅も広い。色は明るい緑で、裏面は白い粉を吹く。このため風で裏返ると白く見えるので遠くからでもホオノキの存在が判るのである。

 ホオノキを語るときに最も特筆すべきはアレロパシー(他感作用)であろう。アレロパシーとは、ある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出したり、或いは動物や微生物を防いだり、逆に引き寄せたりすることを言う。ホオノキの樹冠下では、他の植物が生えることは少ない。これは、落葉や根などから分泌される他感物質(アレロケミカル)によって他の植物の発芽や、発芽した植物の生育が強く抑制されるためである。このためホオノキの樹冠下では下草が少なく落葉の堆積が目立つことになる。

 朴葉は大きくて表面がすべすべ滑らかであるため古代から食器代わりに使われてきた。また芳香があり、殺菌作用があるため食材を包んで朴葉寿司や朴葉餅に利用されている。

 私のふるさと静岡では端午の節句を柏餅の代わりに朴葉餅で祝ったから子供の頃には毎年のように山へ朴葉を取りにいったものである。我が家では今でも来客のもてなし料理の青掻敷として朴葉を使うことがある。一貫一〇五円の安い持ち帰り鮨でも朴の青葉に盛り付ければちょいと洒落た一品になる。また、朴葉の端を楊枝で綴じれば簡単に舟形の器も作れる。

 これからの季節は朴の落葉を使った朴葉味噌焼きがお奨めである。

飛騨コンロに豆炭を熾し、赤味噌を味醂や酒で溶いたものに刻み葱や椎茸やシメジや野菜或いは肉などを絡めて枯朴葉に載せて焼くといったシンプルな料理であるが酒の肴にもご飯にもよく合う素朴な一品となる。

火にかける枯朴葉はあらかじめ水に浸して置くことをお忘れなく。