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杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

私は貝になりたい  

2007年08月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年8月24日 日本テレビ放送

同名の1958年のTVドラマと翌年の映画は、脚本家・映画監督である橋本忍氏のオリジナルストーリーとして発表されたものですが、後に遺書部分の原作は加藤哲太郎氏が「志村郁夫」名義で発表した『狂える戦犯死刑囚』だとされ、現在は題名·遺書の原作は加藤哲太郎とクレジットされるようになっているそうです。

今日の放送では本の原作者である加藤氏を主人公にした伝記ドラマとしての内容となっており、フランキー堺主演の版との大きな相違になっています。

加藤(中村獅童)は小説家の父(森本レオ)を持ち、慶応大卒、召集で陸軍中尉として敗戦時は新潟の東京捕虜収容所第五分所長となっています。逃げ出した捕虜を射殺した部下を庇って自分が罪を被り逃亡したために、自らがBC級戦犯として裁かれることになるのです。
逃亡中に妻となる女性(飯島直子)と出会い、一女をもうけることや、助命嘆願の効あって減刑になり、出所後は人生をまっとうする点も異なっています。

ちなみにフランキー堺版では、妻と息子と暮らす平凡な理髪店主が、召集され、上官の命令で捕虜を殺そうとした罪で裁かれ、絞首刑になるという内容で、死刑台に上る前に書いた手紙がドラマを有名にしたのですよね。

「生まれ代わることが 出来るのならもう人間になんかなりたくありません。・・牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。そうだ、貝がいい。深い海の底の岩にへばりついているから、何の心配もありません。兵隊にとられることもない。戦争もない。どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい・・」

というこの手紙は、獅童版でも一番の見所となっていますが、こちらは減刑され、生への希望を持った加藤が描かれている分、ややインパクトに欠けたきらいもあるかな。どちらもフィクションなのですが、今夜のドラマはより真実に近い内容だということです。

いずれにせよ、戦争が人間に及ぼす影響の大きさに思いを馳せずにいられません。
自らの過ちに対峙し反省出来ない人間はまた同じ過ちを繰り返すというセリフが胸に深く刺さってきました。

加藤役の中村獅童はさすがに上手い!!(途中で入るCMが竹内結子なのが微妙)
来年の映画化では中居正広主演。「白い影」や「砂の器」で見せた影のあるシリアスな演技をしてくれたら、絶対良い作品になる筈。役者としての正念場です。

妹(優香)、捕虜役の一人にパックン、囚人役にカンニング・竹山や中村雅俊、他にも山本圭、寺島しのぶや草笛光子、市原悦子など、豪華な共演陣でした。

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