goo blog サービス終了のお知らせ 

杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

太陽とボレロ

2022年06月03日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2022年6月3日公開 133分 G

花村理子(檀れい)は、奔走していた。アマチュアではあるが、18年の歴史を誇る、弥生交響楽団存続のために。急逝した父親の事業を継ぎ、ひとり残された母親(檀ふみ)の面倒を見るため、ピアニストになることを諦めて、故郷に帰った理子にとって、弥生交響楽団は、厳しい現実を支える、大切な夢だった。3年前から、大学時代の恩師・藤堂(水谷豊)を指揮者に迎えたものの、客足は年々遠のき、苦しい運営が続いていた。創立当時から、楽団を支援してきた鶴間(石丸幹二)とともに、役所や金融機関に掛け合うも、なかなか協力は得られない。そんな折、コンサートの最中に、藤堂が倒れてしまう。個性豊かな楽団員たちの心を、ひとつにまとめていた、おおきな存在を失くした弥生交響楽団に、不協和音が響きだす……。ついに理子は解散を決意するが、楽団のメンバーたちに、ラストコンサートを提案する。若き楽団員の圭介(町田啓太)やあかり(森マリア)も、音楽を愛する仲間の心を、いま一度合わせようと奮闘するが、バラバラになっていくメンバーの足並みは、なかなか揃わない。もはや修復不可能な状況に、皆がコンサートを諦めかけたとき、入院中の藤堂から、ビデオレターが届く。そして、ちいさな奇跡が起きた。燃え立つような太陽が西の空に消えて、マジックアワーを迎えるとき。「ボレロ」の力強いリズムにのせて、弥生交響楽団、最後の、そして最高のコンサートが始まる!(公式HPより)

 

水谷豊が長編映画のメガホンをとった監督第3作は、自ら脚本を執筆したオリジナル作品で、オーケストラを題材に音楽を愛する普通の人々が織り成す人間模様が描かれます。楽団員役には町田啓太、森マリアの他、田口浩正、田中要次、藤吉久美子、六平直政、河相我聞、原田龍二らが顔を揃え、指揮者役で水谷も出演しています。

世界的指揮者の西本智実(本作では音楽監督も務めています)指揮によるイルミナートフィルハーモニーオーケストラの演奏から始まる冒頭シーンから圧倒されます。クラシックに疎くても十分楽しめて、演奏に引き込まれました。

プロの演奏家たちは、ヴァイオリン、トランペット、コントラバス、ホルン、ファゴット、クラリネット、フルート、チェロ等の楽器演奏指導も担当したそうで、約1年の練習を経て、俳優たちが吹替えなしで挑んだラストの演奏シーンも素晴らしかったです。

ちなみに劇中で演奏されるのは以下の通り

  • ピョートル・チャイコフスキー作曲 バレエ「白鳥の湖」より“情景”
  • ジュール・マスネ作曲 タイスの瞑想曲
  • ピエトロ・マスカーニ作曲 歌劇「カヴァレリアルスティカーナ」より 前奏曲
  • ジョルジュ・ビゼー作曲 「アルルの女」より“ファランドール”
  • モーリス・ラヴェル作曲 ボレロ
  • L.V.ベートーヴェン作曲 交響曲第7番
  • ジョルジュ・ビゼー作曲 オペラ「カルメン」より ドン・ホセのアリア“花の歌”

豊かな自然に恵まれた、とある地方都市が舞台。何とか楽団を存続させようと、走り回ります。市役所文化振興課課長(カンニング竹山)に詰め寄るものの、木で鼻を括ったような返答にキレる姿も出てきますが、地方行政の台所事情と政治事情と役人体質あるあるだなぁと妙に納得も。

先代(父)からの従業員だった畑中(山中崇史)には援助を餌に言い寄られて、自分を納得させようとするものの、土壇場で逃げ出すエピソードも「白鳥の湖」をバックにコメディタッチで描かれます。 理子の母は脳梗塞で倒れて以来自宅で養生しているのですが、痴呆が始まっています。昔からいるしっかり者の家政婦(松金よね子)と一緒に介護をする理子ですが、時には心が折れそうになります。

そんな折、定期演奏会終了直後に藤堂が倒れてしまうんですね。病院に運ばれ、外科医(小市慢太郎)から手術をすることと天涯孤独と聞いていた藤堂に家族がいることを知らされる理子と鶴間です。

高校の先輩で楽団を支えてきてくれた鶴間も、経営する中古車販売センターが業績不振でこれ以上の支援は難しいとあって、理子は苦渋の決断を下し、楽団員たちに伝えてラストコンサートを計画します。

しかし、個性的なメンバーたちは一筋縄ではいかず、それぞれの思いで勝手に動き回り、衝突が生まれます。藤堂の穴を埋める指揮者の席を巡って激しく対立する与田(原田龍二)と片岡(河相我聞)は創立当時からのメンバーですが、彼らの因縁の理由は、実は異母兄弟だったという 

ボンボンでKYな片岡は団員たちに嫌われていますが、意に介さずにBBQの場に乱入したり、楽団員たちを懐柔しようとあの手この手で誘ったりするのがこれまたコメディタッチで描かれています。

オーボエの牧田(田口浩正)は、リストラされて楽団一本で打ち込もうとした矢先に希望を断たれたことを逆恨みして鶴間に損害を与えます。前歯のエピソードはコメディ要素が強かったけど、楽団の解散がメンバーに与えるショックの大きさを表してもいました。

バラバラになりかけた彼らを前に、ラストコンサートの無期延期を決めた理子でしたが、藤堂から思わぬ贈り物が!!彼の「家族」が誰なのかは、病室に見舞った後ろ姿だけでも一目瞭然ですが、この人殆どセリフないんですね

一気に盛り上がる楽団員たち。そしてクライマックスのラストコンサートの幕が上がります。

クラシック音楽をモチーフに終わりから生まれる始まりという人生賛歌を圧巻の演奏と共に味わえる作品です。

洋装店経営者の理子のファッションも見所の一つです。上品なデザインと上質な素材の服を着こなす檀れいさんはとっても綺麗です 

そういえば映画初主演作なんだそうですね。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 土竜の唄 FINAL | トップ | クライ・マッチョ »
最新の画像もっと見る

映画(劇場鑑賞・新作、試写会)」カテゴリの最新記事