
2022年7月15日公開 134分 G
紀元前、春秋戦国時代の秦。天下の大将軍を志す戦災孤児の少年・信(山崎賢人)は、弟のクーデターにより玉座を追われた若き王・嬴政(吉沢亮)と運命的な出会いを果たし、河了貂(かりょうてん:橋本環奈)や山の王・楊端和(ようたんわ:長澤まさみ)と協力しながら、嬴政の玉座奪還に成功する。半年後、隣国・魏が秦への侵攻を開始。秦は国王えい政の号令の下、蛇甘平原に軍を起こす。歩兵として戦場へ赴いた信は、同郷の尾兄弟や頼りない伍長・澤圭(たくけい:濱津隆之)、子どものような風貌に哀しい目をたたえた謎の人物・羌瘣(きょうかい:清野菜名)と共に、最弱の伍(五人組)を組むことに。戦略上有利とされる丘を魏軍に占拠され劣勢を強いられる中、信が配属された隊を指揮する縛虎申(ばくこしん:渋川清彦)は、無謀とも思える突撃命令を下す。(映画.comより)
原泰久の人気漫画を実写化した2019年公開の大ヒット映画「キングダム」の続編。
嬴政の部屋に暗殺者が現れる冒頭。窮地の嬴政を駆けつけた信と貂が救います。嬴政と貂のアクションシーンは今回はここだけ
死に際に伝説の暗殺者「蚩尤(しゆう)」の名を口にした暗殺者と彼らが王宮内部に侵入した事実から、嬴政は身近に反逆者がいると確信しますが、直後、隣国「魏」が国境を越え侵攻を始めたとの知らせが入ります。
信は一兵卒として初めての戦場へ向かいます。道中、五人一組の「伍」を組むよう命じられ、同郷のチンピラ兄弟の尾平(岡山天音)と尾到(三浦貴大)、誰とも絡もうとしない羌瘣、頼りない外見の伍長の澤圭と組むことになります。信たちを、「最弱の伍」と見下す沛浪(はいろう:真壁刀義)は百戦錬磨の伍長で、強者を集めますが、この二組の伍が生き残って大活躍となるのね~~
戦の天才と呼ばれる魏の総大将・呉慶(小沢征悦)は「蛇甘平原」の複数の丘に布陣して秦軍を待ち構えていました。
秦の総大将・麃公(豊川悦司)は、丘を守る魏の副将で軍師の宮元(高橋努)への突撃を歩兵隊に命じます。千人将の縛虎申(渋川清彦)から勝ち目のない突撃を命じられた信は、先頭に立って敵陣に飛び込み、その姿に勢いづいた歩兵隊は敵の第一陣を撤退させますが、直後に現れた装甲戦車隊に壊滅します。羌瘣の死体で防壁を作る策で辛うじて生き残ったのは信や沛浪の伍数十人でしたが、麃公は援軍を出しません。
しんがりで敵を撃退する信と羌瘣でしたが追い詰められて崖を飛び降り、追っ手を巻きます。羌瘣の顔の覆いが取れ、女性だと知った信は戦場にいる理由を訪ねます。「蚩尤」となるために育てられた彼女は、その座を争う戦いで姉と慕っていた羌象(きょうしょう:山本千尋)を謀殺した魏にいる現在の「蚩尤」に復讐しようと魏への道を知るために参戦したと答えます。復讐を遂げたあと死ぬ覚悟の彼女に、同様に大切な人を失った信は生きろと諭します。
膠着状態に痺れを切らした宮元が、全軍突撃を計画する中、事態を静観する麃公は生き残った歩兵隊に注視します。
隠れていた尾平たちと合流した信と羌瘣は、自分たちが宮元の兵と宮元の守備隊の間にいると気付き、本陣へ突撃を試みます。それを知った麃公は遂に全隊突撃を命じます。騎馬兵を率いる縛虎申がいち早く信たちと合流、追手の守備隊を羌瘣と歩兵隊の仲間たちに任せ、騎乗して縛虎申と共に宮元の陣へと向かう信。仲間や生きる意味を見つめ直した羌瘣は身を挺して尾平たちを救うため奮闘します。
宮元の陣に辿り着くも、弓兵により瀕死の重傷を負い、宮元に剣で貫かれた縛虎申でしたが、不用意に近づいた宮元の首を刺して見事討ちとります。縛虎申は「勇猛と無謀の違い」を信に伝え息を引き取りました。ただの猪突猛進武将かと思っていましたが、そうではなかったと知る場面で、信はまず彼から戦場での戦いを教えられたわけです。
丘を制し、窮地を脱したかに見えた信たちでしたが、呉慶は丘から軍を移動させ秦軍との正面対決に持ち込みます。唖然と見守る信たちの前に現れたのは王騎(大沢たかお)。たまたま通りかかっただけと嘯く王騎でしたが、彼を警戒する呉慶の動揺を誘います。その隙をつき、自ら敵陣を突破して呉慶のもとへ辿り着いた麃公の誘いを受け一騎打ちに応じる呉慶。金の兜と獅子の黄金の鬣然の麃公の姿はどうみても「ライオン丸」でちょっと笑えたけれど、二人の総大将の「決闘」は迫力を感じさせました。
呉慶を見事に討ち取った麃公に、魏は総崩れとなって撤退し、秦軍は防衛戦に勝利します。信は王騎から、戦が麃公と呉慶という二人の将軍の思惑に沿って動いていたことを教わり、自分の未熟さを痛感するのでした。
軍を離れて魏に向かう羌瘣と再会の約束を交わして別れて王都に戻った信に、貂は戦を学んで「軍師」となって彼を支える決意を伝えます。
嬴政は、暗殺者を差し向けた黒幕が丞相の呂不韋(佐藤浩市)と確信しますが、その政治権力故に手出しできないことに忸怩たる思いを抱えます。
戦の功を認められ、「百人将」に昇進した信は、王騎に教えを乞おうと彼の城に向かいます。
奴隷から身をおこし、河了貂や楊端和らを仲間に王座奪還に活躍した信ですが、「個の力」が要の前作の戦いとは異なり、今作では集団の戦いとなります。蛇甘平原で装甲戦車の集団に攻められ、初陣にして早くも死の淵に立たされる信。
5人が一丸となって助け合い戦う「伍」という秦の歩兵組織は理に叶った戦法でしょう。信の組は一見頼りない伍長でハズレ感がありますが、多くの戦場を生き残ってきた彼はその経験を生かして暴走しがちな信や、仲間に心を開かない羌瘣、初めての戦場に慄く尾兄弟をまとめていきます。ヘタレな兄の尾平が、弟の尾到を身を挺して守るエピソードもでした。
個人的には王騎の登場にテンション
大沢さん演じる王騎の高音ボイスの独特な話し方にです。出番は少なかったけれど存在感は半端ないぞ
初陣を経てまたまた成長した信の次の戦いは来年公開の「Ⅲ」で。楽しみです。