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杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

東京喰種

2017年08月04日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年7月29日公開 119分

人の姿をしながら人を喰らう怪人・喰種(グール)が潜む東京。平凡な大学生カネキ(窪田正孝)は、ある事件に遭い、嘉納医師(岩松了)から喰種のリゼ(蒼井優)の臓器を移植されたことで半喰種になってしまう。苦悩するカネキは、喰種が集まる喫茶店「あんていく」で働き始め、そこで女子高生トーカ(清水富美加)らと出会い、喰種にも人間と同じように、守るべき家族や大切な友人がいて、愛する気持ちや哀しみ、憎しみといった感情があると知る。一方喰種を駆逐すべく、人間側の捜査官・真戸(大泉洋)、亜門(鈴木伸之)が現れ、熾烈な戦いに巻き込まれていく。人の命を奪い、喰い生き永らえる喰種の存在に疑問と葛藤を抱きつつ、あるべき世界の姿を模索する青年の未来は??(チラシより)

 

石田スイ原作コミック「東京喰種トーキョーグール」の実写映画化です。普段なら関心も持たないだろうジャンルの作品ですが、主演が窪田君ですから、もうそれだけで観たいという気持ちになります。清水富美加の騒動で一時は公開も危ぶまれましたが、無事公開されてほんと良かったです 主題歌は、RADWIMPSのソロ・プロジェクトillionの書き下ろしで、切ない旋律と歌詞が心に響いてきます。

 密かに憧れていたリゼに誘われ有頂天でデートに応じたカネキ。ここまでは当然ながらごく普通の本好きのシャイな大学生です。本性を露わに襲い掛かるリゼ(蒼井優さんのこの演技も凄い!)に向ける恐怖の表情から一転、病室で目を覚ました彼が、自分の体の異変に気付き慄く様子がリアルです。今まで当たり前に食べられたものを体が全く受け付けなくなって強烈な飢餓に襲われのたうち回る様子や、街を彷徨い行き交う人々の剥き出しの腕や足を凝視するカネキの様子は鬼気迫るものがあります。これを演じられるのはやはり窪田君しかいない!!と思わせるさすがの演技力です。喰種たちが集まる喫茶店・あんていくでマスター(村井國夫)から差し出された一杯の珈琲を前にして、カップに恐る恐る口をつけたカネキが「美味しい」と漏らす一言に、何を口にしても嘔吐する状況からやっと一筋の光を見出した安堵感が滲んでいました。

あんていくで働くようになったカネキは、この喫茶店が20区に暮らす喰種を取りまとめ管理していることを知ります。喰種の食材となる人間の遺体の調達をする四方(柳俊太郎)のような喰種もいれば、自ら人を狩れない笛口母子(相田翔子、桜田ひより)のような喰種もいるのです。人間だった頃にも店に入り浸っていたカネキは、ヒデを相手に呑気に喰種をバケモノ扱いした会話を交わしていたんですよねでも立場が変われば見方も変わるということが示される場面です。

さて、カネキが最初にその能力を解放したのは、喰種のニシキ(白石隼也)に襲われた親友ヒデ(小笠原海)を助けようとする場面です。この時はまだ自身を制御できず暴走してしまった未熟なカネキですが、四方の指導の下トーカと格闘訓練に励み、絶壁から落とされたりする過激な訓練を経て、徐々に戦い方を学んでいくのです

トーカはドライな性格に見えますが、親友(人間)が差し入れした料理を、その気持ちを思い遣って(後で嘔吐に苦しむことを承知で)食べる優しさもあります。義に篤いキャラですね。後に雛実の母・笛口リョーコが真戸たちに殺されたことを知ると復讐のために彼らを襲い、そのことで窮地に陥るのですが

雛実は引っ込み思案な女の子ですがカネキも愛読する作家・高槻泉の本を通して打ち解け、兄のように慕うようになります。母親のリョーコは攻撃より防御型の喰種で、真戸に追い詰められて出した赫子はさながら蝶の羽のようですが、よく見ると内臓のようにも見えてグロテスクでもあります。真戸の武器クインケは駆逐した喰種(リョーコの夫のもの)の赫包を元に作られていて、それを見たリョーコの「それだけは止めて」といった悲痛な叫びが胸に痛かったです。雛実も戦力外かと思われていましたが、両親の仇を打つ際に出した赫子(父の攻撃力と母の防御力を兼ね備えています)で真戸を倒すパワーがありました。とどめを刺したのはトーカですけど

カネキは4区のマスク屋でウタ(坂東巳之助)に喰種のマスクを作ってもらいます。喰種は人間を捕食する時や戦闘の際に目が赤くなるので、それを隠すためにマスクを着けるのですが、ウタは逆に赫眼を出すマスクを提供しました。

亜門は20区担当の捜査官・草場(前野朋哉)と少し距離が縮まった矢先、襲ってきたトーカから亜門を庇って殺されてしまいます。真戸や亜門は喰種を人間として見てはいなくて、夫婦関係をつがいと言い放ち、彼らを「駆逐」と、まるで害虫駆除するように言いますが、同じ人間である同僚の死には怒り悲しむのですね。それは喰種側でも同じであり、彼らも感情を持つことには思い至らないようですが・・・自分の正義しか見えない双方の間に軋轢や衝突が起こるのは思えば当然かもしれません。

カネキと亜門の戦いはワイヤーアクションとCG(赫子)を駆使したスタイリッシュでスピード感溢れる激しいものになっていて見どころの一つでもあります。でも亜門のクインケは個人的には「たんぽ:綿などを丸めて皮や布で包んだもの」にしか見えず、ちょっとダサい感が残念原作コミック通りなのかしらん?

壮絶な戦いの末、亜門を追い詰めるカネキですが、寸でのところで理性が人間性を呼び戻します。「殺したくない」というカネキの悲痛な叫びと赤い涙が印象的で胸を打ちました。真戸にとどめを刺したトーカと、ただ亜門を足止めした半喰種のカネキ。その戦い方はやはり少し違うようです。原作ではまだ序盤にしか過ぎないらしいので、この先、カネキがどう成長していくのかが気になります。ぜひぜひシリーズ化して最後まで見せて欲しいと思いました。


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