杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ネコナデ

2009年01月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年6月28日公開

IT企業デジタルドラゴンの人事部長・鬼塚太郎(大杉漣)は、冷酷なリストラ業務で社内の嫌われ者になっていた。また中途採用者の研修でも厳しさを発揮して反感を買う。そんなある夜、持病となっている胃痛の薬を一人公園のベンチで飲んでいた鬼塚は捨てられた子ねこを見つける。翌日も残っていた子ねこをどうしてもそのままに出来ず、こっそり研修社員用に借りたウィークリーマンションの空き室で飼うのだが・・・。

社内では冷酷なやり手の人事部長という評価を得ている鬼塚だが、実は真面目で融通の利かない自分の性格を持て余し気味で、神経性の胃痛に悩まされているという側面を持っている。

社長命令で5年計画のリストラを進め、ようやくそれも終わろうとしている頃に、公園に捨てられていた子猫と目が合い、気付いたら胸に抱えて家の前に立っている。この時の鬼塚の心境描写は物足りないのだけれど、愛くるしい子猫の動作を見ていると、そんなことはどうでも良くなってしまう。

つい前日に娘に「生き物を飼うには責任が必要」と厳しく注意したばかりの彼は、家に連れ帰ることも出来ずに、余っていた研修用の部屋にこっそり子猫を連れてくるのだ。ここでも泣き声や物音、部長である彼の出入りの姿が絶対周囲にばれてしまうのではと余計な心配をしてしまうのだが・・・会社の開発品を子猫のモニターに使うのも含め、公私混同も甚だしいその行動は、後日やはり何人かの知るところとなる。

もう一つ気になったのは、研修プログラムの内容。今時あんなことをさせたら、即人権侵害で問題になりそうなんですが(^^;それとも、いまだにあんな研修は存在しているのだろうか?大手企業に就職経験などない私には想像も出来ないです。

可愛い子猫の所作はもちろん和むし癒されるのだけど、この映画の主人公はやはり部長なのね。堅物の彼が子猫を飼う事で、心境に変化が生じ、リストラと研修が終わる二週間後に、彼は辞職を社長に告げるのだけど、「本当は貴方が嫌いでした」という、その言葉は紛れもない彼の本音。

本音で生きるという彼の選択が正しいか間違っているかはわからないけれど、晴れやかな表情で子猫を胸に家の前に立つ彼の胃痛は消えていたのでした。

一匹では寂しかろうと慣れないネット通販で詐欺に遭い、でぶでぶの年寄り猫を押し付けられるエピソードが可笑しかったです。その相手役はもたいまさこさん、いかにもな名演技でした。

このDVDにはTVドラマ版の第一話が収録されているのだけれど、こちらは役者もがらりと変わって、主人公の家族構成も違います。全体的にコミカル要素が増えていて、カラリとしているかも。

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