2019年12月27日公開 スペイン 118分 G
バスケットボールのプロリーグでコーチを務めるマルコ(ハビエル・グティエレス)は、短気な性格が災いして問題を起こし、チームを解雇されてしまう。知的障害者のバスケットボールチーム「アミーゴス」を指導することになった彼は、選手たちの自由すぎる言動に困惑しながらも、彼らの純粋さや情熱、豊かなユーモアに触れて一念発起。全国大会でまさかの快進撃を見せる。(映画.comより)
ハンディキャップを持つ選手たちによるバスケットボールチームと人生迷走中なコーチの出会いと絆を描いたドラマです。「アミーゴス」のメンバー10人は、実際に障害を持つ600人の中からオーディションで選ばれたそう。
マルコは“負ける”ことが大嫌い。試合中にコーチと喧嘩、その後で飲酒運転で事故を起こした彼は、コーチをクビになり、判事から社会奉仕活動を命じられます。妻のソニア(アテネア・マタ)とは、子供を欲しがる彼女と見解の相違から溝が出来て別居していて実家に転がり込んでいるんですね。40男が出戻ってきたら、そりゃ~母親としては鬱陶しいことこの上ない早くよりを戻して出て行って欲しい空気感をバンバン出してきます このドライ感がスペインっぽいなぁ~~
知的障がい者たちのバスケットボール・チーム“アミーゴス”を指導するはめになり渋々向かったマルコ。運営側のフリオ(フアン・マルガージョ)から説明を聞いた彼は、この奉仕活動をできるだけ短時間で済まそうとしますが、判事にバレて回数と時間を増やされてしまいます。アミーゴスの面々の自由過ぎる言動や行動にあっけにとられるマルコでしたが、彼らの純粋さや直向きな情熱、豊かなユーモアに触れて次第にやる気を出していくんですね。(冒頭、短気さをいかんなく発揮して駐車違反の切符を切ろうとした男に嫌味を浴びせたマルコでしたが、その彼もチームの一人でした。)
初めはパスやランニングすら「普通」に出来なかった彼らがどんどんバスケの選手らしくなっていく姿がです。これはまさにマルコがコーチとして優秀な証拠ですね おそらく健常者相手だったらキレまくっていただろうマルコですが、アミーゴス相手にはまるで勝手が違っていて怒るに怒れない状態。それが双方に良い結果をもたらしたのでしょう。
アミーゴスのメンバーは以下の通り(公式HPより)
・セルヒオ(セルヒオ・オルモス)善人
・パキート(フラン・フエンテス)盛り上げ役
・ロマン(ロベルト・チンチージャ)アスリート
・フアンマ(ホセ・デ・ルナ)アーティスト
・マヌエル(ステファン・ロペス) 芸達者
・ファビアン(フリオ・フェルナンデス)愛されキャラ
・マリン(ヘスス・ヴィダル)クリエィティブ
・ヘスス(ヘスス・ラゴ・ソリス)外見はハッピー中身は傷心
・ベニート(アルベルト・ニエト)吃音症
・ジャンティス(グロリア・ラモス)果てしない自信家
彼らはとても誠実で自然です。何にも誰にも偏見を抱かず、率直に思っていることをそのまま口に出すのは、いっそ清々しく羨ましいくらいです。ユーモアたっぷりに描かれる彼らとマルコの交流を見ているうちに、どちらが障がいを持っているのかわからなくなってくるほど。ベニートが職場で馬鹿にされ意地悪な仕打ちを受けている場面が何度も登場して嫌な気持ちになりますが、それを知ったマルコがソニアと一計を案じて警察官を装って反撃し、全国大会の決勝戦への旅費を出させるエピソードに思わず拍手でした。
決勝戦でアミーゴスは僅差で敗れてしまいます。でも彼らは試合終了直後、相手チームと健闘を称え合いハグしあってとても楽しそう!初めは負けて悔しそうな顔をしたマルコも、そんな彼らを見てハッピーになります。勝ち負けなんて彼らには二の次で、楽しむことこそが大事なのです。
実際に障がいを持った10人が演じていることも作品に真実味を与え、コメディという枠を飛び出して心に温かい余韻を残してくれます。障がいを負っている彼らの方が、実は生きることの熟練者であり哲学者なのです。
マルコは人の親になることを避けてきましたが、彼らと関わったことで変わっていきます。バスケを教えて彼らに感謝されたマルコですが、彼の方こそ人間として成長させてもらったわけですね
軽快な音楽もコミカルな内容をより明るく盛り上げてくれています。