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杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

Diner ダイナー

2019年07月05日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2019年7月5日公開 117分

元殺し屋の天才シェフ、ボンベロ(藤原竜也)が店主をつとめる殺し屋専用の食堂「ダイナー」。日給30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に身売りされてしまった少女オオバカナコ(玉城ティナ)は、ウェイトレスとしてボンベロの下へやってくる。ボンベロが「王」として君臨するダイナーには、全身傷だらけの孤高の殺し屋スキン(窪田正孝)や、子どものような姿をしたサイコキラーのキッド(本郷奏多)、不気味なスペイン語を操る筋肉自慢の荒くれ者のブロ(武田真治)ら、ひと癖もふた癖もある殺し屋たちが次々とやって来て……。(映画.comより)

 

平山夢明の小説「ダイナー」の映画化で、藤原竜也と蜷川実花監督が初タッグを組んだことでも話題となっていますが、もちろん私のお目当ては窪田君

大勢登場するという殺し屋たちの一人なので、あまり出番は多くないのかな~とか、殺し屋の話だから血なまぐさいのかな~とか、ちょっと不安もあったのですが、これは見事に(良い意味で)裏切られました それにしても、あんな派手な身なりの殺し屋たちが街を歩いてたらそれだけでめちゃ目立つでしょ 

冒頭で、幼い頃に母に捨てられた(離婚で母は姉だけを連れて出て行き、祖母の下に預けられて育ったという設定)カナコが、以来誰も信じられず誰からも必要とされずに生きてきた状況をモノトーンで描写していますが、ダイナーに売られてきた途端、眩暈を起こしそうなほどに溢れ出る豊かな色彩に圧倒されることになります この美的感覚は「さくらん」「ヘルタースケルター」における監督の世界観とも共通していますね 殺しのシーン自体も具体的な描写はほぼなかったのでグロくもなかったのは嬉しい誤算でした。ハードボイルドな画を期待する向きには合わない作品ですが

無気力なカナコですが、やはり命は惜しい! ボンベロに散々脅されながらも、彼が大事に金庫(暗証番号わかりやす過ぎ)にしまっていた美しい装飾が施された瓶(中身は一億円以上の価値がある“ディーヴァ・ウォッカ”)を人質にとるんですね 絶対見つけられない隠し場所の答えはわかってみればなるほどなぁと 実は組織のボス・デルモニコ(肖像画は監督の亡き父である蜷川幸雄)が一年前に事故死していて、忌明け後に新しいトップを決めることになっていて、その時にこのウォッカを提供しなきゃなので、ボンベロもカナコを簡単に用済みにできないというわけです。

ダイナーにやってくる客(殺し屋)たちの中で、一番まともなのがスキン そう!窪田君演じる全身傷だらけ(の割には美しすぎるんですけど~~)のスキンです

優し気で儚げで、カナコにも優しい。彼の望みは母が作ってくれた「完全なスフレ」を味わうこと。ボンベロをボンと呼ぶ仲ですが、何故かボンベロはスフレに異物を混入させて不完全なものを提供しています。母親への思いという共通点がスキンとカナコを繋いでいきますが、勝手な思い込みで「完全なスフレ」を提供したことで、悲しい結末が訪れてしまいます。

怪我をしたスキンをボンベロが手当する場面や、スキンのために灯されたであろうキャンドルの場面など、女の子目線全開の撮り方が、ファンとしてはたまりません

「2」があったとしても、スキンの出番は永久にないのが悲しいよ~~ 

組織には東のマテバ(小栗旬)、西のマリア(土屋アンナ)、北の無礼図(真矢ミキ)、南のコフィ(奥田瑛二)という4人の幹部がいます。ボスの死に疑問を持つマテバと部下のスキンは探りを入れますが犯人の返り討ちに遭うんですね。え~~小栗君も出てるんだぁ~と思ったらほんの数カットで消えてしまいました。スケジュールの関係かしら 同じく斎藤工さんも冒頭だけであっさり退場。豪華な俳優陣ですが数が多い分、見せ場は少なくなりますね。そんな中でもキッドやブロはスキンに次いでフィーチャーされてたかな 

オオバカナコとカタカナになると「大馬鹿な子」と読めるのにも意味があるようで。怪しいバイトに手をだしたばかりにダイナーに売られる羽目になり、キッドが形態模写を得意としていたことを知っていたのに罠にはまったり、スキンに不完全なスフレを出すボンベロの意図を読めずに独善的な思い込みをしたりと、まさに想像力のない人間、無知は罪だとボンベロに罵倒されてもしかたないカナコですが、ダイナーで働くうちに彼女は自分の居場所や生きる目的を見出していくんですね。腹を決めた女は強いんです このあたりからボンベロとカナコの関係も変化していきます。そもそも、ボンベロは口で言うほどカナコを見下しているわけじゃなく、キッドに狙われた彼女を助けるために仕事放り出して戻ってきたり、組織の争いの果てにカナコが消されそうになると命がけで助けたりと、これはもう愛ですな

幹部同士の争いは、そもそもマテバはあっさり殺されてるし、コフィの悪事もバレバレ感半端ないし、マリアも活躍なしで、これは真矢さんの独り勝ち!というか、ここからは宝塚観てるんだっけ?と思うような画になっていきます。スキンは登場しないからもう勝手にやって~~という目線で見てました。でもキッチンでのボンベロとカナコのやりとりは「そんな悠長な会話してる時間あんのかよ!」的な恋愛映画かよ!と突っ込んでみたくなりましたけど。

カナコは自由とお金を手に入れて、最初の目的地で「ダイナー」を開きます。ラストは店に現れた菊千代(ボンベロの愛犬)を連れた人物に駆け寄るカナコ・・・おいおい!瀕死の傷を負って派手に爆発させたのにそれはないだろ ま、い~~んです、こんな現実離れしたお話なんだからハッピーエンドだって文句ありません

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