雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

愛そのもの

2012-07-22 01:20:59 | 勇気...映画/音楽
舞台はイタリア、地中海に浮かぶシチリア島の小さな村。
見渡す限り、海と畑以外何も見えないような所。
そんな村に生まれた主人公のトトは、
幼い頃から村でただ一つの映画館の仕事を手伝いながら育ちます。
その手伝いを続ける中で育まれた彼の映画への憧れは、
大人に成ると
「映画を創る!」
という大きな夢に変わり、トトは都会へと旅立ちます。



言わずと知れた
「ニューシネマパラダイス=Nuovo Cinema Paradiso」
というイタリア映画のワンシーン。



その旅立ちの日。
青年となったトトが乗り込む列車の駅のホーム。
小さな駅のホームに屋根は無く、
シチリアの明るい陽光が降り注ぎます。
その駅のベンチには、
旅立つトトを見送るために座っている老人が一人。

それがアルフレード。

彼は村で唯一の映画館の映写技師。
トトに映画の素晴らしさを教えてきた師でもあります。
父親のいないトトにとっては小さな頃から父親代りの人であって、
良き友人でもあり続けた人。
駅のベンチに座る彼は老齢から足腰も弱り、
とある事故により目も見えなくなっていました。
それでも、幼い頃から我が子の様に可愛がっていたトトのため、
彼は駅までトトを見送りに来ます。
駅のベンチに腰掛けたままのアルフレードは、
同じく見送りに来たトトの家族に聞こえない様に、
夢に向かい旅立つトトを強く自分の顔に引寄せ、
小さく、でも強い声で......こういいます。



「帰ってくるな。
私たちを忘れろ。
手紙も書くな。
ノスタルジーに惑わされるな。全てを忘れろ。
我慢出来ずに帰って来ても私の家には入れてやらない。
わかったな」



そして、最後にこう言います。



「自分のすることを愛しなさい」



僕は利根川にほど近い、
畑以外は何もないような埼玉県の片隅に生まれ育ちました。
海が無いこと以外は、
この映画の舞台にどこか似ている片田舎です。
幼く、モノ心ついた頃から高校生ぐらいまでは、

「自分のやりたい仕事や夢を叶えるには、
ここにいてはダメなんだ。
出来ないんだ......」

そんな気持ちを強く募らせていました。
ソコには故郷に対する嫌気などはまったく無かったのですが、
表現しがたい焦り、絶望、
見知らぬ土地や未来への期待などが入り交じった
複雑な感情ではありました。

そして、この映画の主人公トトと同じ様に、
僕は夢を抱えて18才で家を出ます。
それから何を手に入れて、何を失ったか......
はよくわかりません。

勿論、歳月を重ねる毎に自分の故郷が如何に豊かであって、
かけがえのない場所であるのかという思いは
痛切に深められてきました。
そして、そんな自分と重ねて見てしまう部分も含めて、
この映画は今まで見たどの映画よりも心に残り、
いまだ、見る度に涙が溢れてしまいます。



見るととても辛いのに、たまに見てみたくなります。



馬鹿ですね。。



名画との評価も高いこの映画は様々な人に、
様々な角度から語られる作品でもありますが、
大抵はアカデミー賞を獲るほど有名になった
ラストシーンが話題の中心になります。
勿論、それには賛成で、
異論などまったくありませんが、個人的には......
僕は上に記した駅のシーンと台詞が「痛いほど好き」です。
目を背けたくなるのに、大好きです。



「自分のすることを愛しなさい」



この映画の監督、脚本を手がけたジュゼッペ・トルナトーレは
後に自らこんな言葉を寄せています。



「私が表現したのは、
私自身の子供時代を思い出させる一つの歴史......
(省略)
......トトは映画を選ぶ事によって人生に傷をつけてしまったのだが、
私の考えでは、人生の方が映画より大切だと心から思っている」



「自分のすることを愛する」という事は、
自分が心から愛せない様な事は決してしてはいけない、
という事かもしれません。
いや、もしかしたら、
どんなに酷い事をしたと思っても、
決して自分の事を嫌いにはならない様に......
という事なのかもしれません。

どのみち、
その意味には受け取る人の数だけの多様性があり、
深く、広い言葉だと思います。
ただ、この映画のストーリーラインの中で
ハッキリと確信出来るのは、
この言葉は広大無辺な「愛そのもの」なんだと僕は思っています。

もし、今、
自己嫌悪に陥っている人がいましたら、
お試しでこの映画を見てみて下さい。
そして、難しいことかも知れませんが、
どうか自分のしてきたこと、
これからしようと思っている事の全てを愛してみて下さい。

どうか、大切なものを傷つけませんように。


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2 コメント

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ソフラン (イソフラボン)
2019-11-01 11:33:25
uzmetさんこんにちは(^-^)

自分のすることを愛してみます。
お姉さんのブログとuzmetさんのブログに
出会えて良かったと思っています。

ありがとうございましたm(__)m
返信する
イソフラボンさんへ。 (amenouzmet)
2019-11-01 12:49:32
この記事は、大切な記事なのです(^^)
ありがとうございます。
返信する

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