陽だまりのねごと

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『自閉症だったわたしへ』読みました

2006-12-09 08:45:15 | 
Blogを開いていなかったら、読むことのなかった一冊だ。
稚記事にコメントを置いてくださった方々のおかげ。

 どうもありがとうございました

題名から私は大きな誤解をしていた。
本屋にも並んでいて見知ってした本でもあった。
『自閉症だった』とはもう過去の事で
世に多くある
『病気克服本』だとカン違いしてしまっていた。

読んでわかった。
『自閉症だとわかって自分を書き付けたわたしへの手紙』
を簡略に
『自閉症だったわたしへ』
と訳本名になったのだ。

原題は

 ”NOBODY NOWHERE”

英語は苦手だからあとがきの訳に頼ると

 自分は誰と言うわけでもなく、
 どこに居るというわけでもない、
 名前も居場所もない幻の人間

と書いてある。
最初の詩にある言葉だ。

 ひとつも窓のない部屋で、影たちだけに囲まれて
 君がじっと立っている・・・
 ・・・
 きみはあたかも、名前も居場所もない幻の人間

なんと哀しい表現だろう。
実体のある生身の人間である自分を『幻の人間』なんて。

作者ドナは虐待を受けて育ち、
働ける年齢になったら自活自立生活をはじめている。
現実にあったとは思えない
まるで自閉症者のサクセスストーリー。
途中、うっかり小説を読み進んでいるような気持もなった。

しかし
心身からあたたかな鮮血が飛び散ってくるようで
簡単にすすすっとは読みとばせなかった。

自閉症者であるがゆえの
物の感じ方、受け取り方、対処の仕方には
マーカーしながら
同じ箇所をくりかえし、くりかえし読み返し、
立ち止まりつつ読みすすんだ。

要所要所で不思議に
本人は救いだとは思って居られないかもしれないけれど
良い出会いのある人にも思えた。

 大学で学ぼうと思うきっかけを作ってくれた精神科医のメアリー
 26年間の軌跡を書き綴った原稿を出版へと導いた児童精神科医

息子を見ていて
時にラッキーボーイだと思うことがある。
あれだけの不敵合部分を持って
たしかに傷ついて、苦しんで日々過ごしているけれども
大きな詐欺にもあわず、大きな暴力にさらされることもなく
なんとかここまで来た。

学校生活は順風満帆ではなかったけれど
見捨てない教師にもであった。
ひとり暮らしの大学生活をなんとか支えてくれたのは
大学のカウンセリングルームや事務の厚生部。
24時間直通電話対応のあった町の精神科。
終電で見知らぬ町に降りて110番通報して
パトカーで助けてもらった警察。
戻ってくる落し物の数々…

不運も幸運も同じだけ人には与えられて『生』があるのかな?

ドナが自分のために、
自分は精神分裂症じゃないと、自分自身を書き付けた
文章がこうして、日本語しか理解しない私に届いて
私の心をざわめかしている不思議。

  けっして幻の人間ではない証拠だろう。

この先、彼女がどう言う人生を送ったのか、気になって
『自閉症だったわたしへ2』『自閉症だったわたしへ3』
をさっそくAmazon購入。

我が息子を理解するためにも、彼に近づくためにも
そして
自分が大きな誤解を生じやすい、
キメツケと思わないキメツケをしている駄人間である事を忘れないためにも
手元に置いておきたい本になりそう。

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