陽だまりのねごと

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自閉っ子、自立への道を探る   服巻智子

2006-09-27 08:12:42 | 
自閉っ子、自立への道を探る

花風社

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全国の規範となる自閉症支援をしているNPO法人それいゆの服巻智子さんが
自立している成人当事者にインタビューの形でまとめられている。
当事者本でなく支援者サイドの目線であるところが
親の立場としては、いちいち納得がいった。

周りの人間としては
分かりたくて、分からない部分がいっぱいの自閉症者。
かなりな理解につながった。

いっぱいマーカーで印をつけて、
何度も反芻、反省してゆきたい。

結婚しておられる人は相手が『邪魔にならない存在』と言われる。
同居の親としても、その辺りは心得ておかなければと改めて思う。

親へのメッセージ

 『それ以上要求しないでいてあげてください』

いかに生きているだけで、努力と忍耐の中にいるかが伺える。

他の当事者本で衝撃だったのが、
感覚の過敏症だった。
個々に違いを持つ障害で一番分かりにくい。

ウチの息子は
水音と掃除機がダメ。
彼の居ない時をねらって片付けをすることにしている。

もうひとつ
体感温度が季節にうまく順応してゆかないらしい。
朝からもう暖房を入れている。

今朝は
母さんは暑くて気分が悪くなるからと
はっきり理由を言って
息子が着替えて出勤するまで
暖房の部屋を出ておいた。

出勤前に『暖房切ったよ』と声をかけてくれた。

この本の最後に当ブログでブックマークしている成澤達哉さんが登場する。
インタビューでは唯一の男性。
障害は男性の方が多いはずだが、当事者として本を出されている人も
彼を除いて、私の知る限りでは女性ばかり。
読んだ限り成澤達哉さんがウチの息子に一番近い。
たった二週間在職の会社社長に彼は激しい恨みを持っておられる。

服巻さんは否定がダメな彼に向いて
きっぱりと
恨みは公のお金を出して本を買う人に語るものではないと
繰り返される場面があった。

私は否定をされるとキレル息子と毎日、対峙しているから
大抵、オールYESできた。

暖房も初日はちょっと私の方がおどろいて
なにげに口にしたひとことから
ちょっと一悶着あったが、
彼には必要なのだろうと容認して、
自分が気分が悪くなる方は言わずにガマンしていた。

世の中にはいろんな人が居る訳で
母の気持はどうなのか、
キチンと話して、
息子と違う感覚を持っている事を理解させる方が
世の中と和合の道を探る点でも重要ではないかと
成澤達哉さんとのくだりで気が付いた。

成澤達哉さんはバイク便ライダーの仕事をされている。
息子はクビになったが、郵便配達の仕事を1年間続けた。
好きな仕事らしかった。
成澤達哉さんは仕事上の困難を感じた時点で
職場から困難を排除した配置替えの配慮があった。

息子は出来ない事を叱責され続け、
精神的にも相当まいっての1年であり、
精神不安がバイク事故も多発した。

自閉症者の就労は
ほんのちょっとした配慮で可能にも
逆に、
ちょっとした配慮のなさが命とりにもなるらしい。

成澤さんが恨みに思われる社長の熱血、社員叱咤激励ぶりは
我が上司にそっくりでもある。
定型の人間だってキツイ。
なぁなぁで聞き流す装置が定型にはあるので、
自分がこわれないで保たれているだけだ。

さて、熱血の配下へ出勤しよう。

この本は
何度も何度も読みかえしたい。

ひとつ気になった。
小学校教師と言う一番の難所で働き続けている
さきさんの22歳の息子さんのこと。
彼にも発達障害の疑いがありそうとだけしか触れられていない。
さきさんは離婚、再婚して、彼はひとり暮らしのようだが、
今、現在どうやって暮らしておられるのだろう?

その辺り続編が出ないかな~