陽だまりのねごと

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司馬遼太郎『鬼某の人』

2006-04-06 07:50:07 | 
さらさら趣味でないタイプの小説だけど、息子が読んで見ろと言った。
司馬遼太郎の人斬り以蔵の中に入っている短編。

しかも、アスペルガーを認めない息子が
主人公の大村益次郎は
典型的なアスペルガーだと言う。

読んでみれば、確かに。
物事はすべて理詰めで考える。
人の気持も機微を考えることがない。
人の気持を汲むこともない。
自分が思うことは位の上の人であっても頓着なく、自分の意見を言う。

合理的である事が第一で、人の目をいっさい気にしない。

骨董が趣味だと言うが、買う金額を1両と決めている。
それ以上の値が張るものは見向きもしない。

戦の指揮を執る時も『夜は寝るものだ』と夜襲はしない。

おかずは来客があっても、自分が滋養があると信じる豆腐のみ。
失礼なと怒る人物にも頓着ない。

着るものも人からオカシイと言われようと
合理的、自分が楽と思うもの着用。

京都での下宿先では、無駄口をたたかず、
むっつり部屋にこもり
世話係の娘に名を聞いてから、
『その名の女は京都に何人いるか?』
と問うたと言う。
妻と同じ名だったのだ。

描かれている大村益次郎像は、
息子そっくりに私には見えたが、

当人は
『オレとちがうな』
と、言って本を渡した。

寸部たがわわないこと=同じ
ちょっとでもちがう=まったく違う

息子のアスペルガー的思考では『ちがう』が正解なのだろう。

しかし、きっと似ているとは思ったにちがいない。
気になって、私に読んでみろと言ったんだと思うけどなぁ~