細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

協働

2010-11-14 10:22:49 | 研究のこと
11/12(金)は田村隆弘先生とともに,八戸を訪れ,八戸工業大学の主催のシンポジウムで200人の聴衆を前に講演をしてきました。阿波先生のコーディネートでした。

ひび割れ抑制対策と,ひび割れ抑制と表層品質の向上,というテーマで二人で講演をしました。が,本質は「マネジメント」です。

この取組みに関与し始めて1年半ちょっと経過しましたが,本質が見えてきました。これは決してひび割れだけの問題でもなく,コンクリート工事だけの問題でもなく,建設だけの問題でもなく,社会全体にまで及ぶ問題であり,マネジメントである,と確信し始めています。

社会活動が細分化され,それぞれの竪穴での専門性は高度化しているのでしょうが,横の連携が取りたくても取れない状況になってきている。また,大政奉還後,平等な社会が構築されてきましたが,現在は決して平等ではなく,「官」が大きな権力を持っており,また身分も保障されている。そのような硬直した社会で,皆が生き生きと活動できず,かつ意味のない仕事が増え,結果も出なくなってきている。成長戦略を描くリーダーも数えるほどしか出てこない。

そこで「協働」です。山口県の二宮さんは自分達のプロジェクトを高杉晋作の「奇兵隊」に例えておられます。「協働」だからです。(田村先生が吉田松陰,私は坂本竜馬かな,と身内で盛り上がってます)

これは非常に大きな流れで,ある意味では「革命」に当たるかもしれません。発注者(官)が性能発注という形で,もしくは責任施工という形で,施工者に丸投げするような流れが見られましたが,山口県の取組みは,昔のように発注者に技術力と責任を戻す動きのように見えるかもしれませんが,そう単純ではありません。「協働」し,それぞれのやるべき役割をしっかりと行うことで,自然と結果がよくなる仕組み。それぞれが生き生きとクリエイティブに活動することが,全体がよくなる方向につながる仕組み。まさに明治維新の頃に必要とされた仕組みの再構築が今求められています。山口県の取組みは,建設という社会経済活動のやり方の再構築,です。

もう一つのキーワードは「データベース」です。データベースが核にあるので,自分達の取組みが毎回検証され,次につながっていきます。技術規準類へのフィードバックがなされる仕組みもいずれ構築されるでしょう。例えば総合評価方式は,提案された技術がきちんと検証されていますか?そうでないとすれば何のための仕組みなのでしょうか。

我々は,「データベース」を核とした,ひび割れ抑制対策,維持管理システムを各地で立ち上げ,技術規準類へフィードバックしていく仕組みを構築します。それらを日本全国で展開し,コーディネートするチーム(例えばJCIの常置委員会のようなもの)を立ち上げ,マネジメントします。そうすれば,各地域の研究者,実務者などの取組みが連携され,頑張れば頑張るほど構造物も良くなり,規準類も高度化していく。

夢が広がります。もはや夢とも思っていませんので,実現に向けてしかるべき手を着実に「協働」で打っていきます。

次は12/21(火)に我が横浜国立大学で研究会を開催します。テーマはまさにこの記事に書いたこと。火を付けるつもりで頑張ります。東大の小澤一雅先生にも来ていただき,アドバイスをいただく予定です。

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2 コメント

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ぜひぜひどうぞ (細田(管理者))
2010-11-17 09:22:27
八工大缶助様

ぜひぜひご紹介いただければと思います。八戸,魚がおいしかったです。お酒も。今後も何度も訪問させていただくと思います。
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LCAフォーラムお疲れ様でした (缶助)
2010-11-14 17:21:02
私は,八戸工業大学機械情報技術学科で教員をしています.
さらに,入試部というところで月永先生と一緒に学生募集の仕事をしています.

御ページの記事を私のブログで紹介させてください.
私のブログでのハンドネームは「八工大缶助」です.
よろしくお願いします.
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