マジシャンの様な手さばき
手を抜いているとは言わないけれど、どこか真剣さが足りない。
新日本プロレスは地方大会を甘く見ているのかな、漠然とそう感じたのは私だけ
では無かった様です。
毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題して、当時生観戦した
試合を振り返っています。
今週は1985年10月の長野県佐久市での観戦記です。
大した盛り上がりも無いままに試合は進み、次はセミファイナルです。
リングに登場した選手を、お馴染ケロちゃんこと田中アナウンサーがコールします。
あれ?
何か変だぞ、田中アナの振る舞いに違和感がありました。
通常リングアナウンサーはリングに上がって選手をコールします。
ところが本部席から億劫そうに立ち上がった田中アナは、コーナー下に立つとその場
でコールを始めたのでした。
しかもただコールするのではありません。
近くにいた若手選手の掌をマットに押し付け、指の間に右手で持ったボールペンを
突き刺し始めたのです。
親指と人差し指の間にズブリ、小指と薬指の間にブスリ、人差し指と中指の間にバスリ、
次々とペン先を刺していきます。
左手に持ったマイクで「本日のセミファイナル~60分3本勝負を~」を叫ぶ一方で、
どんどん動きを早めるペン先は決して指には触れずに正確にマットを突き刺します。
まさに完成された芸の域です。
凄い物を見せてもらったと感謝する気持ちが無い分けでは無いけれど、ちょっと待てよ。
テレビ中継がある会場だったらこんな事はしていないよね、田中アナ。
メインの試合はお約束通り
メインの試合が始まりました。
ケビン・フォン・エリックと藤波がそれぞれパートナーを従えての1本勝負です。
いきなり両者の場外乱闘が始まりました。
客席になだれ込んだ二人はスチール椅子を奪い取り、それを頭上に振りかぶって威嚇
し合います。
次の瞬間、力一杯振り下ろされる椅子。
ガッチャーン!
派手な金属音に混じって激しくぶつかった個所から火の粉が飛び散りました。
凄い迫力!
次はどうなる!
期待にあふれる観客を尻目に、一度椅子をぶつけ合って満足した二人はさっさとリング
に戻ります。
お約束の場外乱闘もしたし、怪我の無いようにほどほどにせめぎ合いもした、何の
盛り上がりも無いけどもう終わりにするよ、そんな風に試合は終了しました。
椅子の衝撃音と火の粉には驚いたけれど、高い料金を払って丈夫な椅子を見に来た
分けでは無いんだよね。
週刊プロレスが「新日本は地方大会で手を抜いている」と記事にしたのは翌1986年の事。
痛い所を突かれた新日は取材拒否を宣言し、それを契機にそれまで滑らかに刻まれていた
団体とマスコミとファンの歯車が狂い始めました。
我が世の春を謳歌していた新日本プロレスは、ここから長い冬の時代に突入するのでした。
手を抜いているとは言わないけれど、どこか真剣さが足りない。
新日本プロレスは地方大会を甘く見ているのかな、漠然とそう感じたのは私だけ
では無かった様です。
毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題して、当時生観戦した
試合を振り返っています。
今週は1985年10月の長野県佐久市での観戦記です。
大した盛り上がりも無いままに試合は進み、次はセミファイナルです。
リングに登場した選手を、お馴染ケロちゃんこと田中アナウンサーがコールします。
あれ?
何か変だぞ、田中アナの振る舞いに違和感がありました。
通常リングアナウンサーはリングに上がって選手をコールします。
ところが本部席から億劫そうに立ち上がった田中アナは、コーナー下に立つとその場
でコールを始めたのでした。
しかもただコールするのではありません。
近くにいた若手選手の掌をマットに押し付け、指の間に右手で持ったボールペンを
突き刺し始めたのです。
親指と人差し指の間にズブリ、小指と薬指の間にブスリ、人差し指と中指の間にバスリ、
次々とペン先を刺していきます。
左手に持ったマイクで「本日のセミファイナル~60分3本勝負を~」を叫ぶ一方で、
どんどん動きを早めるペン先は決して指には触れずに正確にマットを突き刺します。
まさに完成された芸の域です。
凄い物を見せてもらったと感謝する気持ちが無い分けでは無いけれど、ちょっと待てよ。
テレビ中継がある会場だったらこんな事はしていないよね、田中アナ。
メインの試合はお約束通り
メインの試合が始まりました。
ケビン・フォン・エリックと藤波がそれぞれパートナーを従えての1本勝負です。
いきなり両者の場外乱闘が始まりました。
客席になだれ込んだ二人はスチール椅子を奪い取り、それを頭上に振りかぶって威嚇
し合います。
次の瞬間、力一杯振り下ろされる椅子。
ガッチャーン!
派手な金属音に混じって激しくぶつかった個所から火の粉が飛び散りました。
凄い迫力!
次はどうなる!
期待にあふれる観客を尻目に、一度椅子をぶつけ合って満足した二人はさっさとリング
に戻ります。
お約束の場外乱闘もしたし、怪我の無いようにほどほどにせめぎ合いもした、何の
盛り上がりも無いけどもう終わりにするよ、そんな風に試合は終了しました。
椅子の衝撃音と火の粉には驚いたけれど、高い料金を払って丈夫な椅子を見に来た
分けでは無いんだよね。
週刊プロレスが「新日本は地方大会で手を抜いている」と記事にしたのは翌1986年の事。
痛い所を突かれた新日は取材拒否を宣言し、それを契機にそれまで滑らかに刻まれていた
団体とマスコミとファンの歯車が狂い始めました。
我が世の春を謳歌していた新日本プロレスは、ここから長い冬の時代に突入するのでした。
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