組織にガバナンスを効かすのに有効な方法は、外部との競争です。
宗教的支配のような絶対的基準によるガバナンスを除いて、競争以外の方法でガバナンスの正当性を主張することは難しいです。
ナチスのユダヤ人迫害にしても、日本の鬼畜米英にしても、教室のいじめにしても、全て自分達の外に競争相手を作り出し、内部に統制を効かせるわけですね。
なぜ、外部に競争相手がいるとガバナンスが効くのか、答えは価値基準にあります。
この相対的な宇宙では、全ての価値観は相対的に成らざるを得ません。
(いつもの話をここでももう一度)
「東京タワーは高いか低いか」の答えは相対的です。
「富士山よりも低いが、ランドマークタワーよりも高い。」となります。
組織の中でも同様です。
何かを決断する時、何を基準にして考えるか、まず第一に、基本理念、政策の目的、そして戦略上の合理性となるでしょうけれど、どれに従っても判断できない場合があります。
往々にして、トップマネジメントが決断することを求められますし、ゆえに決断力のあるトップマネジメントというのも求められガチでもあります。
しかし、全てのことについてトップマネジメントが判断していたのでは、トップマネジメントの身体が持ちません。
よって、たいていは、シニア、ミドルマネジメントへ権限が委譲され、現場で判断できるものは現場でなされます。
しかしまた、各層のマネジメントに権限が委譲されても、現場でどう判断すればよいかわからない場面も出てきます。
こんな時です。
外部に競争相手がいると助かります。
競争相手に勝つという価値基準が判断を容易にするからです。
一人ひとりにとっての判断を容易にするというだけではなく、組織の構成員が共通の外敵を持つことで、意思決定の為の合意を得やすくなり、意思決定のスピードを向上させることができるのです。
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この話が、AKB48にどう適応できるか。
今のAKB48に対する批判の原因のほとんどは、AKB48の活動そのものをどう判断したらよいか、その価値基準が存在しないことによるものと考えます。
ここにライバルが現れることで、価値基準が明確になります。
ライバルとの競争によって、AKB48というものが、どういうものか形が明確になっていくということです。
外部からだけではなく、内部からも同様に明確になるのです。
何者であるかということと、進むべき道がはっきりしてくるのです。
これを異なる視点で考えて見ましょう。
もう一つの効果があります。
それはファンまで含めた広い意味でのガバナンスを高める効果を期待できます。
顧客に選択肢があるということが、顧客に自制を促せます。
これが非常に重要です。
今説明するのが面倒なので、また機会を見て語ることにします。
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上で、ライバルが現れることで、AKB48というものが、どういうものか明確になるとお話させて頂きましたが、この考え方に基づくと、ライバルはAKB48と同じタイプではよくありません。
ここは完全に私見ですが、もし仮に私の考えるように乃木坂46がAKB48のライバルとして外部からガバナンスを効かすために存在するのだとすれば、乃木坂46はAB48よりもマス指向の強いアイドルになるはずです。
というより、むしろAKB48がマス方面に拡大路線を展開してしまったことは基本コンセプトを逸脱する戦略上の失敗という認識の下、AKB48はより一層ソーシャルを強める方向へと舵を切り、乃木坂46はマスを強める方向で住み分けをしたいと考えているのではないでしょうか。
場合によっては、AKB48⇔乃木坂46の適材適所での人材交流も視野に入れながら、マスとソーシャルで住み分ける。
とにかく、AKB48としてマスを抑えながらソーシャルもというのは二律背反の問題で、非常に難しく、今後の発展を維持することも不可能と考えます。
これが、私が総選挙前から考えていた今後のAKB48の青写真です。
で、tuneさんから教えてもらったのですが、『AKB48劇場の向かいに「マップ劇場」誕生』というニュースを見ると、余計に確信するものです。
相手がAKB48に照準を定めて攻撃してきている時に、次の手を打ったわけです。
二正面作戦を維持するのは大変なので、AKB48はソーシャルに専念させる。
そして乃木坂46にマスを取らせる。
乃木坂46を一気にマス的存在にするためにAKB48を使う。
どちらでも勝つ。
おそらく、これが戦略。
実に面白い。
新しい情報が入り次第、さらに語っていきたいと思います。