最近見直しもしない、文章校正もしない適当ネタが増えてきました・・更新をいそぐあまり
ソニー・ウオッチャーとして、久しぶりにソニーネタを。
日経ビジネス2010年3月1日号
「ソニーのジレンマ アップル・サムスン包囲網を崩せるか」
週刊ダイヤモンド2010年2月27日号
「ソニー・パナソニックvsサムスン」
を読んだ。
まず、日経ビジネスの記事について。
ソニーの経営幹部に直接インタビューをするための交換条件だと思うが、特に偏ってはいないが基本的にソニーに好意的な記事。
経営幹部の発言についての評価を避けており、雑誌としての格調というか、体裁を整えるために無駄なインタビューをつけた感じすらある。
読んでも薬にも毒にもならない内容で、ここから得るものは何もない。
(日経ビジネスがつまらないのは、何の役にも立たない情報が多すぎるからだ。)
日経ビジネスは発行部数30万超で経済誌として国内断トツ1位であるが、たった30万である。
優良顧客であるであろうソニーグループを礼賛するのは仕方もないのであろう。
あと、私が愕然とするのは、ソニーの経営幹部から主張される戦略がここ10年以上進歩していない点だ。
「ネットワーク化によってアップルのような専門店に対して、総合百貨店の強みが出せる。」
こういうフレーズを聞き続けて10年は経つが、その強みが何なのか、いい加減説明してくれないだろうか。
結局、時代に振り回されているような印象しか受けない。
週刊ダイヤモンドの方は、サムスンを礼賛して日本人の危機感を煽る内容。
(終盤にアップルを持ってきて、少し中長期的な観点も述べているのでサムスン礼賛とまではいえないかもしれないが)
記事を書くにあたって事実ベースに成らざるを得ないから、どうしても統計などの数値をベースとした内容に偏り勝ちになる。
専門的に研究する余裕があるわけではないので、公開情報の垂れ流し気味になるのも仕方がない。
ただ、もう少し企業研究の専門家(がどこにいる?という問いもあるが・・)の意見を載せるなりすればよかった。
当Blogでも紹介した「ソニーvsサムスン」の内容を超えるものは特になく、単に新しい情報が掲載されているというだけに過ぎない。
TV事業だけがやたらクローズアップされているのだが、今日ソニーから新製品がプレスリリースされたのでリンクする。
臨場感あふれる3Dに対応した機種やシンプルで美しいモノリシックデザインを採用した機種など
液晶テレビ〈ブラビア〉新シリーズ発売 (プレスリリース)
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/201003/10-0309/
液晶テレビ〈ブラビア〉などホームエンタテインメント機器に共通の新たなデザインテーマであるモノリシックデザインを採用。華美な装飾を省いたシンプルなデザインの機器を組み合わせることで、美しい空間を演出します。
サムスンにデザインで圧倒的に負けて、今更デザインで勝負してきた感もあるが、少しやり方を変えてきたところは評価できると思う。
しかし、出井政権末期からそうであったが、最近のソニーは小手先の技術で奇をてらうものばかりになった。
ちょこちょこ早すぎる中途半端な商品やサービスをやっては引っ込めやって引っ込める。
少しソニー視点に立ってみれば、「他との違いを出さねばならぬ」というジレンマに苦しめられている。
他と同じことをやっても「ソニーらしくない」といわれてしまうからだ。
ただ、そういう後ろ向きな発想では新しいコンセプトを導き出すことは難しいだろう。
他者との違いを出そうとすると、他者を動静に注意がいき、視点が狭まり、自ずと後追いになる。
他者をフォローすることを自ずと課してしまうので、独自の方向性を打ち出しても、他者が打ち出した他の方向性に分がありそうになるとすぐ諦める。
もちろん、逆に行き過ぎると問題で、これはトレードオフなのだが、最近のソニーはあまりにも業界動向や他社動向を気にしすぎて、完全に振り回されているように見える。
もはや市場を牽引するプレーヤーとして見なされなくなってしまった。
大きな組織を維持するためには、どうしても官僚的組織が効率がよいから、官僚的構造に蝕まれてしまう。
そうなると、組織が硬直化して新しい発想を育てにくくなるのだ。
では、サムスンはどうか。
まず、サムスンと日系企業を単純比較してはいけない。
事業ポートフォリオが違うとか、そういうことは前にも述べたが、今日は違う視点から述べる。
まず、韓国の名目GDPが約100兆円で、サムスンの売上高、時価総額ともに10兆円程度。
サムスンの時価総額が韓国株式市場全体に占める割合は約10%。
日本のGDPが約500兆円だとすると、韓国の経済規模の大きさは1/5。
二乗で効いてくるかもしれないが、単純に倍数で考えると、韓国におけるサムスンのプレゼンスは、日本に換算するとその5倍になる。
最近落ちたがトヨタ自動車の時価総額が高いときで30兆円程度だから、それよりも大きいことになる。
単純比較はできないが、GDP100兆円の国で売上高10兆規模の会社ということは、日本にとってみると売上高50兆円規模の前人未到の領域になるわけ。
それでもって、サムスンはすごいドメスティック経営の会社なので、彼らは韓国を代表しているといっていいくらいの規模の企業なのである。
日本で換算すると、日本の総合電機企業を全て集めたくらい、それ以上のプレゼンスがある。
これは少し戦略論的な話になるが、韓国は「敵の弱いところに戦力を集中して戦う」を実践しているのである。
日系総合電機だってもっと集約して「ヒト、モノ、カネ」を集中すれば、サムスンと余裕で戦えると思うけれど、そうできないところが「日本としての弱さ」なわけだ。
要は、「日本という国は総合力では勝るが、戦闘ではことごとく負ける」のである。
「政策」もなければ「戦略」もないからである。
日系企業は個別の戦闘で苦心して、それこそ素晴らしいパフォーマンスを発揮するが、いかんせん全体の戦略がないものだから、戦争には負ける。
同様の理由でスポーツも負け続けているのだ。
これは、太平洋戦争で見られた日本軍と同じである。
精神論は取り払えないし、陸軍と海軍の組織の壁は埋まらないし、とにかく場当たり的戦闘が繰り返されるばかりである。
陸軍と海軍を統合するために大本営本部を作っても機能せず、大局を見誤って泥沼化、最後は行くところまで負けを認めなかったために、負け過ぎる結末を招いた。
私にはこれと同じに見える。
メンツや既得権に縛られて企業合併は進まず、ヒト、モノ、カネを集中できない。
負け戦なのにも関わらず、それを認識せずに無駄に戦力を浪費し続け、多くのヒトやモノを犠牲にするのだ。
「総合力で勝る日本が、なぜ、韓国に負けるのか」、それは日本人の精神性に深く起因している。
というところは内田樹の「日本辺境論」を基に私的日本論で繰り返し述べてきたので、ここでは繰り返さない。
後日またまとめたい。
[追記]
[経済]「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」(日経社説)に反論する~韓国経済の抱えている大きな問題点に触れていない(木走日記)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100309/1268116441
いかん、日経と内容がカブってしまったらしい。
しかし当Blogでは「韓国企業に学ぼう」などというつもりは全くない。
韓国企業にしても、韓国という国にしても、学べないところは多い。
当Blogの問題意識は、日本論であって、韓国にあるのではない。
ソニー・ウオッチャーとして、久しぶりにソニーネタを。
日経ビジネス2010年3月1日号
「ソニーのジレンマ アップル・サムスン包囲網を崩せるか」
週刊ダイヤモンド2010年2月27日号
「ソニー・パナソニックvsサムスン」
を読んだ。
まず、日経ビジネスの記事について。
ソニーの経営幹部に直接インタビューをするための交換条件だと思うが、特に偏ってはいないが基本的にソニーに好意的な記事。
経営幹部の発言についての評価を避けており、雑誌としての格調というか、体裁を整えるために無駄なインタビューをつけた感じすらある。
読んでも薬にも毒にもならない内容で、ここから得るものは何もない。
(日経ビジネスがつまらないのは、何の役にも立たない情報が多すぎるからだ。)
日経ビジネスは発行部数30万超で経済誌として国内断トツ1位であるが、たった30万である。
優良顧客であるであろうソニーグループを礼賛するのは仕方もないのであろう。
あと、私が愕然とするのは、ソニーの経営幹部から主張される戦略がここ10年以上進歩していない点だ。
「ネットワーク化によってアップルのような専門店に対して、総合百貨店の強みが出せる。」
こういうフレーズを聞き続けて10年は経つが、その強みが何なのか、いい加減説明してくれないだろうか。
結局、時代に振り回されているような印象しか受けない。
週刊ダイヤモンドの方は、サムスンを礼賛して日本人の危機感を煽る内容。
(終盤にアップルを持ってきて、少し中長期的な観点も述べているのでサムスン礼賛とまではいえないかもしれないが)
記事を書くにあたって事実ベースに成らざるを得ないから、どうしても統計などの数値をベースとした内容に偏り勝ちになる。
専門的に研究する余裕があるわけではないので、公開情報の垂れ流し気味になるのも仕方がない。
ただ、もう少し企業研究の専門家(がどこにいる?という問いもあるが・・)の意見を載せるなりすればよかった。
当Blogでも紹介した「ソニーvsサムスン」の内容を超えるものは特になく、単に新しい情報が掲載されているというだけに過ぎない。
TV事業だけがやたらクローズアップされているのだが、今日ソニーから新製品がプレスリリースされたのでリンクする。
臨場感あふれる3Dに対応した機種やシンプルで美しいモノリシックデザインを採用した機種など
液晶テレビ〈ブラビア〉新シリーズ発売 (プレスリリース)
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/201003/10-0309/
液晶テレビ〈ブラビア〉などホームエンタテインメント機器に共通の新たなデザインテーマであるモノリシックデザインを採用。華美な装飾を省いたシンプルなデザインの機器を組み合わせることで、美しい空間を演出します。
サムスンにデザインで圧倒的に負けて、今更デザインで勝負してきた感もあるが、少しやり方を変えてきたところは評価できると思う。
しかし、出井政権末期からそうであったが、最近のソニーは小手先の技術で奇をてらうものばかりになった。
ちょこちょこ早すぎる中途半端な商品やサービスをやっては引っ込めやって引っ込める。
少しソニー視点に立ってみれば、「他との違いを出さねばならぬ」というジレンマに苦しめられている。
他と同じことをやっても「ソニーらしくない」といわれてしまうからだ。
ただ、そういう後ろ向きな発想では新しいコンセプトを導き出すことは難しいだろう。
他者との違いを出そうとすると、他者を動静に注意がいき、視点が狭まり、自ずと後追いになる。
他者をフォローすることを自ずと課してしまうので、独自の方向性を打ち出しても、他者が打ち出した他の方向性に分がありそうになるとすぐ諦める。
もちろん、逆に行き過ぎると問題で、これはトレードオフなのだが、最近のソニーはあまりにも業界動向や他社動向を気にしすぎて、完全に振り回されているように見える。
もはや市場を牽引するプレーヤーとして見なされなくなってしまった。
大きな組織を維持するためには、どうしても官僚的組織が効率がよいから、官僚的構造に蝕まれてしまう。
そうなると、組織が硬直化して新しい発想を育てにくくなるのだ。
では、サムスンはどうか。
まず、サムスンと日系企業を単純比較してはいけない。
事業ポートフォリオが違うとか、そういうことは前にも述べたが、今日は違う視点から述べる。
まず、韓国の名目GDPが約100兆円で、サムスンの売上高、時価総額ともに10兆円程度。
サムスンの時価総額が韓国株式市場全体に占める割合は約10%。
日本のGDPが約500兆円だとすると、韓国の経済規模の大きさは1/5。
二乗で効いてくるかもしれないが、単純に倍数で考えると、韓国におけるサムスンのプレゼンスは、日本に換算するとその5倍になる。
最近落ちたがトヨタ自動車の時価総額が高いときで30兆円程度だから、それよりも大きいことになる。
単純比較はできないが、GDP100兆円の国で売上高10兆規模の会社ということは、日本にとってみると売上高50兆円規模の前人未到の領域になるわけ。
それでもって、サムスンはすごいドメスティック経営の会社なので、彼らは韓国を代表しているといっていいくらいの規模の企業なのである。
日本で換算すると、日本の総合電機企業を全て集めたくらい、それ以上のプレゼンスがある。
これは少し戦略論的な話になるが、韓国は「敵の弱いところに戦力を集中して戦う」を実践しているのである。
日系総合電機だってもっと集約して「ヒト、モノ、カネ」を集中すれば、サムスンと余裕で戦えると思うけれど、そうできないところが「日本としての弱さ」なわけだ。
要は、「日本という国は総合力では勝るが、戦闘ではことごとく負ける」のである。
「政策」もなければ「戦略」もないからである。
日系企業は個別の戦闘で苦心して、それこそ素晴らしいパフォーマンスを発揮するが、いかんせん全体の戦略がないものだから、戦争には負ける。
同様の理由でスポーツも負け続けているのだ。
これは、太平洋戦争で見られた日本軍と同じである。
精神論は取り払えないし、陸軍と海軍の組織の壁は埋まらないし、とにかく場当たり的戦闘が繰り返されるばかりである。
陸軍と海軍を統合するために大本営本部を作っても機能せず、大局を見誤って泥沼化、最後は行くところまで負けを認めなかったために、負け過ぎる結末を招いた。
私にはこれと同じに見える。
メンツや既得権に縛られて企業合併は進まず、ヒト、モノ、カネを集中できない。
負け戦なのにも関わらず、それを認識せずに無駄に戦力を浪費し続け、多くのヒトやモノを犠牲にするのだ。
「総合力で勝る日本が、なぜ、韓国に負けるのか」、それは日本人の精神性に深く起因している。
というところは内田樹の「日本辺境論」を基に私的日本論で繰り返し述べてきたので、ここでは繰り返さない。
後日またまとめたい。
[追記]
[経済]「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」(日経社説)に反論する~韓国経済の抱えている大きな問題点に触れていない(木走日記)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100309/1268116441
いかん、日経と内容がカブってしまったらしい。
しかし当Blogでは「韓国企業に学ぼう」などというつもりは全くない。
韓国企業にしても、韓国という国にしても、学べないところは多い。
当Blogの問題意識は、日本論であって、韓国にあるのではない。
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