中国では、貧富の差拡大や官僚腐敗などのへの不満から昨年は暴動を含めて16万件に及び、5年前の2倍にあたるという。最近の反日暴動もそうした背景から拡大したようだ。
かつての日本のように中間層が育たず、国民全体の民生の向上につながっていない。それを今まで高度成長で雇用を促してなんとか不満を押さえつけてきた。しかしそろそろ限界点に近づいてきている。もはや二桁の経済成長は望めず、今年7%台、来年はさらに下がると予想されている。
そうした中で、中国は日本政府の尖閣諸島国有化に反発して、いろいろ経済制裁を行っている。しかし中国問題評論家のなかには、制裁が逆に跳ね返って中国に端を発した経済恐慌が発生するのではないか危惧する声も少なくない。したがって中国にとり制裁などしている余裕などなくなってくる。国内企業は大打撃を受け、国民の不満も爆発するだろう。そうなると共産党一党支配も突き崩されることになる。
今中国政府内で胡錦濤と習近平、それぞれのグループが政治路線をめぐり暗闘しているという。比較的日本には好意的な胡錦濤は、一度は退任すると思われた党軍事主席の職にしばらく留まるともいわれている。その行方も注目されるが、何よりも今後予想される困難な状況から中国政府は逃れられず、厳しい政権運営を強いいられることは間違いない。我々日本人は中国政府の表立った対日強硬姿勢に振り回されることなく、中国の実態を冷徹な目で見るべきだろう。