いったいこのデモはなんだったのだろうと思う。毎週金曜日に行われる首相官邸前の脱原発デモ。最近テレビで取り上げる頻度も激減している。先週14日も行われていたようだが、動員数が伏せられるくらいマイナーな規模になってしまった。これは当初から自分が予想した通りだった。
自然発生的にも見える衝動は、潮が引くようにすぐに覚めることを今回も証明してしまった。「再稼働反対」の声を挙げることが、思えば一つのファッションでしかない。流行に敏感な若者や主婦たちは、少しでも時流の遅れを意識すると離れていく。
当然メディアも引いていくだろう。脱原発を標榜する毎日新聞だから少しは「義理立て」してこんな体裁のニュースにしているのだろう。毎日が参加者の言葉を借りて「脱原発を政府が明確に打ち出した意味は大きい」とデモの成果を強調しているが、そんな単純なものではないことは明らかだ。
野田首相が菅直人前首相を中心にした民主党内に元々いた脱原発グループと折衝し、総選挙を見据えた上で「玉虫決着」したのが今回の政府決定であろう。しかし、この決定は将来のエネルギー政策を考える上で大きな禍根を残すに違いない。
一連の官邸前デモの存在意義を今後十分検証する必要がある。おそらく官邸前デモは下火どころか消滅も時間の問題だろう。一時的なパッションから覚めて冷静に見つめ直す時期はそう遠くないはずだ。