粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

天声人語の細川候補支持

2014-01-23 13:21:16 | 国内政治

朝日新聞に公平中立を望むのは、いまさら無理ということか。本日23日の天声人語を読むと、都知事選告示の当日にして誰を本音では支持したいかが自ずとわかる内容になっている。(以下引用、前半部分一部カット)

▼先の名護市長選では500億円の札束を見せ、推した候補が負けると直ちに手のひらを返した。カネで心を売れといわんばかり。人には誇りというものがある。みくびるなという反発が出て不思議はない▼かつて梶山氏は「国益なくして県益なし」といった。一方で、県益の最大限の尊重が最大の国益につながるとも。負担の沖縄への集中にもうしわけなさを感じていたことは間違いない。その痛みへの感度が、いまどれほどあるだろう▼地方選に国策の是非をからめるのはおかしいという議論がある。おかしいのはどちらか。沖縄以外の地域には米軍基地が少ない。その現実に各地域の民意が反映していないといえるだろうか。沖縄だけは民主主義抜きでやってくれというのだろうか▼東京都知事選で原発が争点になるのもおかしくはない。リスクを地方に押しつけているという点で基地と同じ構造である。しかも、ひとたび事故が起これば被害はどこにでも及びうる。基地と原発には、どの地域も当事者意識を持つべきなのだ。

「地方選に国策の是非をからめるのはおかしいという議論がある。おかしいのはどちらか。…東京都知事選で原発が争点になるのもおかしくはない。リスクを地方に押しつけているという点で基地と同じ構造である。」という箇所を読めば、昨日の出馬記者会見で相変わらず、「原発問題を最大の政策課題」にしている細川護煕候補を支援している、少なくとも支援したいことはあきらかだ。

日本の新聞は米国の新聞と違ってあからさまに特定の候補者を支持出来ない。選挙戦突入とあらばなおさらだ。しかし、テレビや新聞、あるいはネットで情報を得ている人であれば、「原発を争点にする」人物が誰であるかは常識的にわかる。天声人語もそれを知っていて、巧妙に細川支援へと誘導している。

さらにえげつないのは同時に沖縄名護市長選挙を絡めて展開していることだ。記事内容から、名護市長選挙で辺野古移設反対で現役市長が当選したことを歓迎していることがわかる。その余勢をかってでまさに天声人語が「どや顔」で都知事選へと駒を進めている。

それも辺野古への移設には「カネで心を売る」「リスクを地方に負わせる」という政府の手法が名護市住民の反発を呼んだと指摘し、原発立地地域も実態は同様だと見ている。しかし、どうも「カネを使ってリスクを負わせる」というのは、一面的で皮相的な見方だと思う。

沖縄でも開発が遅れている沖縄北部には辺野古移設を起爆剤に地域振興を進めようとう側面がある。まして、原発立地地域住民がまるで「リスクを地方に押し付けている」と負の部分だけを強調するのは非常に失礼な話だ。日本の経済でエネルギーという基幹部分で支えているという住民の自負はあったはずだ。

それはともかく、今回の知事選で「基地と原発には、どの地域も当事者意識を持つべきなのだ」として、天声人語は原発が都知事選の課題になることを肯定している。しかし、原発政策を唯一の課題にする理屈としては飛躍し過ぎて無理があると思う。

「当事者意識」をもつならば、基地政策も都政の課題に挙げてもいいはずだ。そこを天声人語は巧妙にスルーしている。「都政で原発問題が焦点」という論理の方便にまるで基地問題が利用されているとしか思えない。細川支援になんとかもっていきたいという意図がバレバレである。