粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

手堅い安倍政権

2013-03-25 13:30:20 | 国内政治

安倍政権の支持率が今も上昇している。どこの世論調査でも70%前後であり、普通の感覚では大多数の国民が支持しているいえる。やはりアベノミックスといわれる経済成長戦略が、国民に歓迎されているためだろう。株価もずっと上昇し続けている。実体経済はともかくこうした期待度が、さらに国民の士気を高める。その好循環こそ必要である。結果的にはそれが実体経済の上昇へと結びつく。

安倍政権の政策も慎重で手堅く、少しづつ成果を見せ始めている。原発政策の見直しもTPP交渉参加表明も当初懸念したような混乱も少なく、世論の多くが支持している。最近の沖縄普天間基地移転問題でも、なかなか首尾よく計算されたやり方をしている。

辺野古海岸の埋立て申請に関して、防衛省職員が反対派が妨害に出る前を狙って県の事務所を訪れた。おそらく、時期が遅れたら大混乱になり書類提出が出来なかったり、果たせても警察が強制的に排除したりしただろう。そうなれば、この様子がメディアで大々的に報道(それも政府非難一色で)されて、世論特に沖縄県の拒否反応が必要以上に強まったに違いない。

安倍政権が表明した「普天間基地の固定化を許さない。」といった物言いも、見方を変えれば基地移転反対派への強烈な嫌みといえるだろう。実際、反対派が辺野古移転を拒んでいるために普天間固定が続いているからだ。これをいわれるとかれらもその舌鋒がそがれてしまう。

同時に首相は、嘉手納基地以南の基地施設の返還を打ち出し、地域振興に強い意欲を同時に示したことも抜かりがない。その辺りも県民を配慮した心憎いやり方だ。その間に、書類提出という既成事実は確実につくっていく。オスプレイ配備も粛々と進めていきこれまた既成事実を固めていく。

これは、当面仲井真沖縄県知事の軟化を目論んでいるのだと思う。知事は基地移転反対派の大合唱に動きが取れない状態になっている。もともと知事は辺野古移転を容認していたが、民主党政権の失策で急激に高まった反対運動に図らずも移転反対を表明せざると得なくなった。

安倍政権は先の既成事実化と地域振興策で県民の意識を沈静化し、過激反対派を分離させて、知事が移転容認する環境をつくっていこうと考えているのだろう。なかなか如才のないやり方だが、おそらく安倍首相本人ではなく周りのブレインの助言が働いていると思う。聞くところによると、かつて小泉元首相秘書で現在首相参与の飯島勲氏がいろいろとアドバイスしているという。

安倍第1次政権のお友達内閣と違い、現在の政権は飯島氏のような長老がバランスよく関わっていて、政権が手堅く執行されているようだ。これに実体経済が動き出せばさらに政権は安定していくと思われる。

少なくとも参議院選挙までは、内閣の高い支持は続くだろう。それにしても他の野党が元気がない。民主党は相変わらず党員離党に歯止めが利かず、日本維新の会も内紛が絶えない。野党が共闘を組む気配が見られない。石原慎太郎氏は病気療養中らしいが、当初期待したような活動が見られないことが残念だ。

安倍政権のマイナス材料を挙げるとすれば、党全体が慢心することだ。それが奢りとなり、暴走することもなくはない。デフレ脱却策が逆に過剰なインフレを亢進させることもありうる。そういう点でも一定勢力をもった健全な野党が必要だと思う。