今回WHOの報告書で福島原発事故での被曝による影響を公開しているが、各メディアにより報道にかなり違いあるようだ。朝日新聞では相変わらず「危険性」が強調されているが、どうも内容を曲解している誹りは免れない。
自分が特に注目したのは、CNNの報道だ。結論としては、健康被害は軽微であり、疾患の増加を「検出可能な水準以下にとどまる可能性が高い」というのがWHOの見解としている。ただ「心理的影響」を無視できないことを報告書から指摘している。
報告書ではさらに、被災者の恐怖、不安、うつといった心理的影響にも焦点を当て、心身症や精神疾患に至る可能性も指摘した。放射線は目に見えず、どの程度影響があるのかも分かりにくいことから、こうした症状は深刻化する恐れもあると解説。被災者が偏見の目で見られ、一層厳しい状況に追い込まれる可能性にも言及した。
こうした精神的ストレスはチェルノブイリ事故でも頻繁に指摘されていたことだ。事故の周辺国の人口減少もその影響が大きいとされている。そして今度の福島の事故もそうだ。出産でありもしないデマが福島の女性を悩ましたり、遠く離れた首都圏でも健康被害が誠しやかに囁かれ、無意味な移住を強いられたりする。あるいは、震災がれきの焼却で大阪や北九州市で訴訟沙汰になったりする。
あの山本太郎君も大阪の焼却でなんと母親を海外に渡航させたという。彼の昨日1日のツイートにこういうのがあった。
母は海外へ脱出。渡航し家探し付き合い、明日帰国。 海外で母1人にするのは辛いが自分にはやる事があるので仕方ない。 日本に帰ったら大阪を出て、西日本で新拠点探し。 原発さえなければ家族が離ればなれになる事もなかった。 同じ思いをしている人たちの気持ちを想像すると胸がいたむ。
他人の私的なことなので、もはやコメントするのも憚れる。ただ一言いわせてもらえば、彼にはお母さんの気持ちをよく汲んで、労ってほしいということだ。自分の主義主張で身内を考えてほしくない。なにかひどく切なく思うのは自分の思い過ごしだろうか。
CNNの報道に戻るが、福島の被曝の軽微なことをWHOの報告書での具体的数値を挙げて強調している。
事故発生から1年間の福島県の住民の被曝線量は、最も高かった地域で12~25ミリシーベルトと推計した。
米放射線医学会によると、これはCTスキャン(コンピューター断層撮影)検査を1回受けるのと同程度の線量だといい、たとえ25ミリシーベルトの線量を浴びたとしても、がんで死亡する確率が高まることはほとんどないとしている。
福島県内のそれ以外の地域では1年間で3~5ミリシーベルトと、X線検査を1回受けるのと同程度の線量だった。
ただ、世の中に100%安全とはいうものはない。
WHOは、報告書は徹底調査を行ってまとめたとしながらも、原発事故の最終的な影響は、ずっと後になってからでなれば分からないとしている。
自分は、原発事故での将来への影響には大方楽観的な見解を持っている。ただ、CNNの結びの警句を聞きいれる謙虚さは自分自身持ちたいと思う。