飯田

茅場で２年ぶりに再会した先輩、サダヲを
なんだかいいと思ってしまったので
早速飲みに行ってみる金曜19時飯田橋。

母親の体調不良が原因で
もしかしたらこの世に生まれないことになってたかもしれない結果のひとりっ子だったりとか
母親が山形出身だったりとか
B型だったりとか
変なことにこだわって要領が悪くて損してきたこととか
あたしと同じことが多くてシンクロ。

見れば見るほど彼は阿部サダヲに似てて
話せば話すほどどんなセックスをするんだろうと興味が湧いた。

23時にお店を出て飯田橋駅の改札に入って立ち話。
肌を重ねたいという気持ちが引き返せなくなったので
もう一度改札を出て、もう１軒行こうと提案。

あたしの終電まであと45分。
セックス、or帰宅。

次の日仕事なサダヲ、
女の子からセックスしたいと言われて断れないだろうサダヲ、
このまま先輩と後輩のいい関係のままのほうがいいかもしれないサダヲ、と
考えたらなかなか自分の気持ちを言い出せず。

終電まで10分をきったところで
「もしあたしが今日前に進みたいと言ったらどうする？」
と切り出した。

サダヲはにっこり笑っていいよと言った。

暗闇でキスした瞬間
サダヲが男の顔を露出した。

水道橋の笑っちゃうよなラブホテル。

寝っ転がって
サダヲはあたしの19人目になった。

あたしの唇も舌も前のカレシのペニスの形を覚えていて
どうしても前のカレシが好きだったよに舐めてしまう。

太さも長さも首の深さも違うことに違和感。

気持ちいいのに全く楽しくないセックスだった。

快楽に溺れて
時間をかけてオーラルに相手を知ろうとする前に
浅はかに短絡的なコミュニケーションの仕方を選んでしまった自業自得。

身体だけでなく気持ちを絡めようとするサダヲに
罪悪感を抱いてしまったあたし。

苦い朝陽。