旅する小林亜星

小林亜星情報満載

愚鈍

2008-04-12 23:55:44 | 大宮サンセット
会社に辞める意思を伝えたのは今年2月頭。

あたしの後任を準備するのに2ヶ月もあったはずなのに
連れてこられたドナドナは過去2つの現場にて顧客に駄目だしされたというK。

会社命令だからと机に頭をこすりつける、かわいい営業Tが
本音で話してくれたのであたしも本音で応戦。

「ほんとごめん、ほんとぶさいくで
 ほんと知ったかするけど、悪いやつじゃないんだよ」とT。

「何かあったらすぐに言って。
 今回駄目だし食らったら、クビだとKには言ってあるから」とT。

4月1日にKと面談、4月2日からKが勤務開始。

あ、ほんとぶさいくで
ほんと知ったかが鼻につく。
ぷーん。

最初の2日でPCの基本環境を作らせる。
今週5日で本格的説明開始。

あれ、あれれ?

1回目に教えたことを彼は理解したと言う。

次の日にその教えたことを聞くとすでに忘れているので
2回目に教え、メモを取らせる。

さらに次の日にその教えたことを聞くとまた忘れているので
ではメモを確認してと言うと、彼は一生懸命ノートをめくる。
メモしたところを読んでるのにメモしたところを見つけられない。

あたしが作った壮大なマニュアルで自分がわからないところがあったら
自分の言葉でメモをとり、それを自分なりにまとめなさいと言った。

あたしの脳裏にひらめいた言葉は「愚鈍」という表現だけだった。

それはUnixの経験があるとかないとかの次元ではなく
それは彼の能力を超えたレベルの仕事だったとかの次元ではなく

彼には何かを記憶して、それを整理して、それを応用するという能力が
根本的に欠落してるのだと思った。

彼がアメリカの大学に6年も通っていたのに
TOEICが650点というのはそういうことだと思った。

あたしは至極冷静だった。
けして感情的ではなかったと自信をもって言える。

かわいい営業Tにメールを送った。

「彼は救いようのないバカです。
 彼には何かを記憶するという機能がないのです。
 彼にはここで仕事するのは難しいでしょう。
 顧客からクレームが来る前に交代したほうがいいと思います。」

あたしはこの引継ぎを通して
この現場にいた2年分の自分の成長を確認しようと思っていたから
どんなやつが来ても育てあげようと思っていた。

同じ業務を過去2人に教えていたから
何かを教えるのが得意だとさえ思っていた。

入社1年足らずでうちの会社をクビになるかもしれないK。
それもあたしの判断をきっかけにして。

世の中にはいろんなひとがいる。

あたしは想像力は豊かだけれど
自分がけして頭が切れるほうだとは思わない。

いろんなひとに合わせて
会社の利益のために接し方をチューニングする必要がある。

あたしにはもちろん彼を愚鈍だと判断する権利はない。
だからあたしの能力の限界がそこにあった。

Kの不気味な笑顔が浮かぶ。

このひとでも生きてて楽しいことはあるのだろうか、
と余計なお世話まで頭を過ぎる。

後味、うんこ味。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 完結 | トップ | 矢井田瞳 COLOROCK LIVE 2008 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

大宮サンセット」カテゴリの最新記事