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心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

デイケアでのワークショップ

2013-07-25 | 書の話
                           「笑」


日々なんだか忙しくて、なかなか毎日展レポートができずに 

今日は、思いがけずご縁を頂き、世田谷区にあるデイケアセンターで、
書のワークショップをやらせて頂きました 

今までいろんなワークショップをやってきましたが、デイケアは初めての経験、
先月からあれこれ構想を練ったりして。

今日は29人と大人数、90代まで、年令、体調も色々で、どうなることやらと思いましたが、
なんとか無事、皆さまの笑顔を拝見することができました。

今回は「笑」の文字を、今、自分がどんな風に笑いたいとか、「笑う」をイメージして、
まずは声に出して笑ってみて、それから書いてみましょう、と 

まずは私が、大きな声で「あははっ~」って腕を大きく回しながら笑ってみる。
そうすると皆さま、しばし沈黙、目が点。
でもめげずに、じゃ、今の笑いを書いてみます、と半紙に大きな「笑」の文字を。

「どんな笑いが聞こえますか?」
「おおお~笑ってるね、あははは~って」
「じゃ、今度は皆さまが、書いてみてくださ~い」

半紙が配られると、皆さまからは「そんなのむずかしくて書けないわ」。

「書くんじゃなくて、まずは笑ってみてくださ~い」
「・・・・」

そう、なかなか急には人前で可笑しくもないのに笑えないものです。
ましては身振り手振りも添えてなんていうと、恥かしいし。

「じゃ、心の中で笑ってみてから、書いてみてください」

お一人お一人、手をとって一緒に書いたり、横で、す~、えいっ、べ~んとか
掛け声をかけたりして、まずは半紙に練習。

「これ、お習字じゃなくて何ていうの?」
「う~ん、絵のような書だから絵書?」
「好きに書いていいのね」
「じゃ、こんなのどうかしら」
「う~ん、どれも楽しいですね!」


左下の作品、笑の下にくるくるがあるのは、「コロコロと笑っている様子」だそうで、
皆さまと、なるほど~と拍手。



初めは表情がなかった方も、筆を持って力強く線を書いて下さったり、
枠だけの消しゴムはんこを作って行ったので、その中に名前の一字を書き入れて作品に押すと
なかなかどうしていいでないの~と、それぞれに自分の作品をしみじみと眺めていたり 

初めはちょっと難しかったかなぁ・・と思ったけど、そんな表情を見つけると嬉しくなります。


漢字には意味があるので、その意味を紙の色、形、線で絵のように表現するというお遊びは、
脳にも気持ちにも、たくさん刺激と興奮を届けると思います 

と、お一方から、ひらがなで書くにはどうしたら?とリクエストがあり。
えっと~ 「わ」を大きくしてこんな感じではどうでせう 
あら、いいわね、とお褒めの言葉を頂き、私も記念写真をば。


とても美人な方なのに、残念ながらお顔は隠して 

約1時間、あちこち走り周りながらも、楽しく充実したひと時でした 

最後に、事務長さんとスタッフの方から、ほぼ全員が参加したというのは初めてです、と
嬉しいお言葉を頂き、ここ数日の緊張もほぐれて、ほっとしました 

そして私自身、これから関ってみたいと思っていた世界なので、とても勉強になりました。
この機会を下さった方々にも感謝致しつつ、こうしたひとつひとつの経験を大事に
私なりにできること、やりたいことを形にしていきたいと思っています。

事務長さん、スタッフの皆さま、今日はありがとうございました。
とっても楽しかったです 

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初心に

2013-05-07 | 書の話
                    

GWはあっという間に過ぎ去ってしまい~。
大掃除はまだ途中のまま日常が戻ってきて、それでもちいとリフレッシュできたかな 


今日の画像は、先日の蘭秀会書展でのワークショップの時、のぼるさんが撮ってくれた写真の一部。
「櫻」という文字を書いてるところでして。

筆は細め・硬めの筆。あ、私ってこういう線書くんだったなぁ・・って、ふと

私は、幸い母が書を学んでいたので、少しは書の世界を見聞きしており、
また母は私の性格やらも知っているが故に、母とは違う系統の師に学びまして。

私は恵まれていたなぁと、今更ながら思うのでして。

師の「線」「空間」「呼吸」「思想」の先のとてつもなく奥深い世界を、十数年間、
間近で体感させて頂けたこと、そしてまたそこに、深い尊敬と憧憬を抱き、
学ぶことができたことに感謝の気持ちが沸々と。

けれども時には、師は師の世界があり、私には私の・・なぞとおこがましいことを
じたばたとする日もあったりして。

そんなのは億年早いっと、蹴飛ばされるに決まってるし、
そうは言っても蛙の子は何とやら、やっぱりそこが居心地がいいのだなぁと、改めて

気持ち新たに、初心にかえるなり 

久々に今日の1曲は、大好きなハナレグミの ♪さよならColor
う・・・イツキイテモ・・沁みるう



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裸の字

2013-03-19 | 書の話
                             (全紙・部分)


週末は家に籠もって、ずっと作品と向き合っておりましたが、
紙と墨を無駄にし、腰が痛くなるばかりで 

1日経って画仙紙の山を捲ってみるも、しっくりくるのが1枚もなく。。

ひゃあ・・ひゃひゃひゃのひゃ~  

今日は仕事から帰るなり、墨磨り機に一人で張り切ってもらっておりますです。
あの力強く回転する音と、墨の香りは、おっし!という気持ちにさせてくれるのでして。

とは言え、今回は、なかなかスイッチが入らなくて、そうなるともう全然閃かなくて
何枚書いても同じことの繰り返し、というスパイラルに。。

なので、今更ながら、何が書きたいのかえ? と自分に聞いてみたところ・・
「作為のないものが書きたいなぁ・・」と 

書を勉強したいと思うきっかけになった、中川一政の書の展覧会─「裸の字」。
あの瞬間の感激を思い出しながら、そこに帰りたいという思いを、
もっと強く持って、自分と向き合えたらなぁって思っています 

・・・って、ブログに書いちゃうと、それもまたプレッシャーなんですけどね~
自分で自分の首絞めて、私も阿呆やなぁ。

ま、あんなこと言ってら~くらいに聞き流してやって下さい 
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迷うより

2013-03-16 | 書の話
                          (全紙・部分)


早くも3月半ば。
来月4月18日~21日まで、町田市民ホールギャラリーで開催の、
蘭秀会書展の作品制作中でして。

色々と迷ってばかりで、全然前に進めなくて困っとります。

とりあえず全紙に書いてみた作品のアップ写真。
全体を見てたらそうでもないと思っていたけど、こうしてみると
やっぱりどこか師のにおいがするのでして

ここから抜けたいと思っているのに、どこかでここに帰りたいと思ったり。
変なものですね
というか、なんだかんだと言っても、もう沁みついているのでして。

母と最近、そんな話を。
母は母で、全く違う世界の私の書風を横目で見つつ、時に迷い、
私は私で、同じような思いもあり。

でも、お互い初心に返ろうって話になり。
迷うより、信じて、楽しみたいです 

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甲骨文の「順心」

2013-01-27 | 書の話
                         (半切1/2)


甲骨文の「順心」

角川書店の書道字典には「順」の甲骨文字が載っていなかったので、
旁は「頁」の甲骨文字から。

原本はこんな感じ↓


左3つの心臓のようなのが「心」、右の2つは「頁」


なんともかわいらしい「頁」の印象を生かしたくて
お茶目に~と思って書いてみました
でもって、「頁」の部分は、順の如くきちんと正座をしている風に。

こちらは更にピュア?で、すっとぼけた表情に 




力強い線で白を攻める書も好きだけど、細い線で白を生かすのも好き。
あれもこれも好きって思うから、これぞ私っていうのが
いつまでたっても見つけられないのでありんす 


さて、今日は休日ということで、こんな笑える動画をば。
かなり笑った~  何度見ても笑える。。
ヤギと議論するときは注意~みたいなコメントがついてました 



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臨書の捉え方

2013-01-21 | 書の話
                    「氷壺玉鑑」 (半紙)


杜甫の句。心が氷のように極めて漂白な形容。鑑は鏡。
(新修墨場必携(上) 法政大学出版局より)

羊毛・長鋒の沙月で。
何子貞(何紹基)の張遷碑臨書↓を臨書するときに、この筆を使っていて。



同じ古典の臨書でも、会派や師によって、捉え方、表現の仕方は様々。
私の師は、上田桑鳩の流れを汲んでいるから、粘っこく腕力を使って書く臨書でして。
それゆえ、素直なまっすぐな線ではなく、くっくっくとひっかかりのある揺らぎのある線で。

初めの頃は、その「ひっかかり」の感覚がわからず、ただゆらゆらと曲線にしていたら、
「波線を書くんじゃないんだから・・」と 

何度か師が臨書されている姿を拝見していると、その線には
静かに溜めながら吐く息(呼吸)を感じ、あぁ、そういうことか、と 

他の会の方が臨書されているのを拝見したこともあるけれど、
感じ方、表現の仕方は色々あるのだなぁと思いつつ、
蛙の子は蛙じゃないけど、刷り込みみたいなもので、
やっぱりいいなぁと思うのは、師の書かれる臨書なり 

今日のは墨が乾いて硬くなった筆で書いたとはいえ、
私のは、まだまだ波線の域でございますねぇ 
息が短い・・! 
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表現するという行為は

2012-07-02 | 書の話


最近、ダンスの動画をあれこれと。
今日はMats Ek and Sylvie Guillem による Smoke  をば。

ストーリーも大事だけど、それよりも、からだそのものの動きが
観る人を惹きつけるのかなって思いながら。
二人の肉体表現には、人間のあらゆる感情が、生き物のようにまつわりつき
映像という異次元の世界と共存することで、更にドラマチックに。。



表現するという行為は、
無のまま、肉体のまま、湧き出るままに、ほとばしるままに、
湧き出る感情を紡いでいくことなのかなと思った。

だから、作り手の作為が感じられた瞬間に、
美も、共感も、喜びも、憎しみも、感じなくなるというか。

目的や結論はどうでもいいこと、というかそれは結果であって
結果には本当の感激はないような気さえする。

書もひとつの表現であるならば、筆と墨と紙に力を借りながら
肉体と魂の奥深くから滲み出る線、空間を、吐き出してみたいものであ~る 

もちろん、鍛えられた肉体同様、線の鍛錬なくして為し得ないことではあるけれど。

なんか眠くてちょっと支離滅裂かもだけど、今日はこんなとこで 


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書が運んでくれたご縁に感謝

2012-06-21 | 書の話
                       (半紙)


今日午前中は書道教室。
今は、造像とかぶっとい線の古典を勉強されてる方がいなくて、
久々に、腹の据わった感じをイメージして書いてみたなり 
これは木簡、漢簡集字千字文から。

私の師は、同じ古典でも人によって臨書が全然違っていたのでして。
あんたはこんな感じが好きやろ、とか、
今あんたには、これが足りないからこんな風に勉強してみなさい、とか。

その横で正座しながら、ふ~ん、なるほど~って見比べたりしながら
育ってきた?のでして 

今日の教室で、「どうしたらそういう自由な発想ができるようになったんですか?」
みたいなことを聞かれて 

自由かどうか、それがいいのかどうかもわからないけれど、
たぶん、そんな風にご指導して下さった師のお蔭なんだと、改めて感謝。
私もいつも、同じように、その人らしい臨書を探しているのでして 

以前ご紹介した小坂奇石文集 に、臨書は、意臨より形臨をとの文言があり、
耳が痛い・・と思う部分もある。でも私はやっぱり、意臨を探したい 

言い訳だとわかってはいるけど・・私にとって書は目的ではなくて。

臨書をしていく中から、人と人、自然とのつながり方や、生きるヒントみたいなのを
たくさん気づかせてもらっていて、それを、もっと自由でおおらかな心でもって
表現したり、体験していく中で伝えていきたいんだなって思うのでして 

正しいことが全てじゃないって思うから。
ぶさいくだったり、情けなかったり、無器用だったり、それもまたよろしってね。
たぶん正しいことから逃げてるんだと思うけど、こんな風にしか生きられないのでして


さて今日は、60代でいらしてから、かれこれ20数年通って下さったMさんが、
残念ながら教室を去られることになり、昨夜書かれたという般若心経をお持ち下さり。

4年前、趙子昂行書千字文を半切に全臨された こともあるMさん、
今回もその集中力、根気、そして何よりも美しく凛とした書風は、お人柄そのものです。

いつもおっとりとした笑顔で、母や私のことも見守って下さっていたので
とても寂しく残念ですが、感謝の気持ちで一杯です 

書を通して頂いたご縁に感謝です。


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自分は自分の

2012-02-20 | 書の話

                  (半紙)

 

 

 

今日は母の書をば。

裴迪(はいてき)の詩。「鹿柴」(ろくさい)

               

 日夕見寒山  日夕 寒山を見ては   日が暮れて寂しい山を見つけると
 便為独往客  便ち独往の客と為る   たまらず一人で山中へ分け入った
 不知松林事  知らず 松林の事    松林の奥には何があるのか
 但有麏鹿跡  但だ麏鹿の跡有るのみ   あるのはただ、鹿の残した足跡だけ

 

 

やっぱり母の師、中平南谿先生 の気配を感じるのでして。

 

母の書は、意外と潔くて、率直でさわやかな印象です。

「書は人なり」とはよく聞きますが、母は本来、そういう人なのだと思います

 

私は母の書に憧れつつ、でも母とはまた別の書に出会い、求めてきましたが、

結局行き着くところは、自分自身なのかな、と。

 

それはたぶん母も同じで、全く違う世界の書を、横目で見ているうちに

好みや興味も広がる部分もあったようですが、やっぱり自分は自分でしかない。

 

母は母の、母らしい世界を、私は私の、私らしい世界を

それぞれに信じて信じて、とことん自分と向き合っていけたら

まだまだ知らない自分に出会えるんじゃないかな、という期待も少々。

 

かく言う私は、いい年こいて、自信もなければ、迷い焦ってばかりでしたが、

ようやく、迷路を抜け出す扉を見つけられたような気がしています。

 

 

この1ヶ月、3月に 京都で二人展 をさせて頂くにあたり、

展覧会の作品について、私にとっては、禅問答のような命題をいくつか頂いて、

そのたびに、自分の中で混乱しては振り出しに戻り・・を繰り返し。

そのお蔭で、ふっきれたものもあり、気づいたものもあり

 

よい展覧会になるよう・・感謝を込めて。。

 

 

 

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あなたはどんな「途」?

2011-11-17 | 書の話

                  「途」  (半紙1/2

 

 

今日午前中は書道教室。先週と今日は、教室の体験教室をば。

嬉しいことに、先週と今日も数名の方がお仲間に

 

 

皆さま、とても熱心に半紙に向かわれて。

まずは、欧陽詢(おうよう じゅん)の楷書基本帖を、母が臨書したものをお手本に

点・横に一の字、縦線からスタート。

 

それから口・主・正・・と、点・線から成る文字、左右の払いのある文字とを

書いていき、自分で1冊の折り帖を完成させるのが、最初の目標。

 

今日、母の折り帖や、お稽古の模様の写真を撮ろうと思っていたのに

バタバタしていてすっかり忘れてしまったので、またの機会にでも。

 

新しい出会いに、私も母も刺激とパワーを頂き。 

 「書が好き」という同じ思いを重ねつつ、

人と人のつながりも大事にしていけたらなぁって思います。

 

皆さま、どうぞよろしくお願いします 

 

 

で。

いつもの宿題ってことで、今日のお題は「進」と山頭火の句。

久保田さんの「進」を写真に撮ってあったのに、間違えて消してしまい。

(久保田さ~ん、ごめんなさい。よかったらまた次回お持ち下さい

 

それは、半紙を横長の1/2にして、右側に「隹」を書いて、

しんにょうは左からずずいと右に伸ばして書いた作品で、それがとても素敵でした。

 

私だったら、「隹」は思い切り左で、しんにょうの長さを強調したくなるところだけど。

・・ってことで、今日の「途」。そうこんな感じにしたくなる。

 

皆さんそれぞれ、のんびり「進」や、軽やかだったり曲がりくねりながらの「進」やら。

何気ない一文字にも、その人の個性や人生が見えたりするのでして。

  

 

最初の「途」は・・しんにょうをぐっぐっぐ・・と、ふんばりんながらも着実に

歩いている「途」をイメージして。

↓は、力図よくあっけらかんと進む「途」って感じかな。

 

 

 

 

背景を変えることで、印象も変わることもあるわけで。

 

 

さて愈々、12月の展覧会の作品工作の道具が日曜日に整うので、頑張りま~す。 

え? まだだったの?って 

 

自主制作ゆえに見栄えに多少の心配もあるけれど、これも経験、勉強ってことで楽しみま~す

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