脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

今ここに…

2012-06-21 00:21:36 | 私の思い 2
紫陽花の色を映して露の玉
君の思いはかくありなむか


ことばにはできぬ思いをあまた溜め
君の心はふさがれゆきぬ



なにゆえに真実つげるをためらいて
君の心に向き合わざりし



真夜(まよ)ひとり
眠れぬ時間過ごしつつ
あの頃の君の孤独を思う



今ここにあなたがいたらわたくしは
にぎりしめた手決してはなさじ

2012-06-18 05:45:10 | 私の思い 2
ああ、今日も目が覚めた、と思う。

夫の闘病中もそうだった。
でも、それ以前からもずっとそうだったことを思い出した。



夫は病気になる前、
休みの日にごろごろして無為に過ごすことが嫌いだった。
家の回りの小さな修繕などを
何かしらことこととしてくれた。
子どもたちの休みと重なることは少なかったけれど、
たまに同じ日に休みになると
思いついたように突然、ドライブに行こうと言った。
でも、いつも初めて行く行楽地に連れて行ってくれたから
きっと、前もって行き先など考えていたのだろうと思う。
誘い方が突然で、行き先も言わなかったのは
子どもたちを驚かせたかったからだろうか…


お休みが平日で
天気が悪いと
何もできないで一日が終わることがあった。
そんな時
夫は決まって
「今日は何もしなかったなぁ」と嘆いた。
どうして
あんなに
いつもいつも
何かをしていたがったのか…
今思うと、
自分の時間が少ないことを予感していたような気さえする。


夜、布団に入った夫が
「今日は何もしなかったなぁ」と嘆くと
私は
「何もできなくても、
こうやって夫婦揃って
あったかいお布団で寝られることが
何よりの幸せよ」と答えていたことを思い出した。


そうだったのだ……
あの頃の
あの平凡で平穏な時間こそが
貴重で
何より幸せな時間だったのだ……



最近になって
ようやく
夫が元気だった頃に交わした言葉などを
少しずつ思い出しつつある。


それは
ひとつひとつ
心を暖めてくれるものなのだけれど
同時に
心がえぐられるような思いもある。
あの頃、
あんなことを言いながらも、
本当に、
その貴重な時間を
大切に過ごしてきたのかと自分に問えば
どうだったのだろうか…


そして、今も
私は何をしているのだろう…


本当にやりたいこと、
やらなければならないこと……


無為に過ごすことをやめたい。
あの頃の夫の思いが
何となくわかるような気がして……


今日は何ができるだろうか…


何為すということもなき日々なれど
朝な夕なに君思いおり


君思う
ただそれだけの日々なれど
ただそれだけが今の幸せ

緑深く…

2012-06-16 22:56:15 | 私の思い 2
山々の緑はいよよ深まりて
君恋しいと鶯の鳴く



君恋し君恋しいと鳥啼けど
山のこだまも応え能わず



「ただいま 」と君帰り来る気がする夜
君の好物など作りたき



君はいない
ふいにそのこと思い出し
ぼうぼうと涙あふるる夜ふけ

今…

2012-06-14 23:10:41 | 私の思い 2
私たちのNPOの恩人が
急病で亡くなられた。
様々な役職をもたれ
お忙しい中で
私たちの思いに応えてくださった恩人。

私たちのいのちは
みんな
等しく
いつか終わりを迎えるのだと思い知らされる。
その終わりに向かって歩む
今という
この瞬間に
どれだけ誠実に
どれだけ懸命に
力の限り生きることができるのかを
自分自身に問わなければならないのだと思う。


後悔も
懺悔も
悲しみも
切なさも
どうしようもない
さまざまな思いも
みんな
生きてあればこその思いなのだ


人を愛し
愛された記憶だけが
人の心を暖かくしてくれる

生きているかぎり
人を愛し続けていこうと思う。
いつか
私がいなくなったとき
誰かが
私のことを
暖かな思いと共に思い出してくださったら
望外の喜びであろう。



いつまでも
君と一緒にいたかった
君の笑顔のぬくもり恋し