脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

雪こんこ

2014-10-25 21:07:17 | 私の思い 3
今日、今年初めて「雪こんこ」が飛ぶのを見た。
「雪虫」「雪んこ」「綿虫」「白ばんば」などの名を持つ小さな生き物。
こどものころ、この虫がとぶのは、かなり寒くなって
もうすぐ雪が降るころだったような気がする。
マッチ箱に綿を敷き詰め、そーっとつかまえても
すぐに死んでしまう、はかない虫だった。
最近は
なぜか、とても早い時期から飛ぶようになった気がする。
でも、
いまでもこの虫が飛ぶと
とてもさみしい気持ちになる。


週末、娘が帰ってきているときだけは
できるだけ笑顔で過ごすように努力している。
それでも
ふとしたことで
涙があふれてくる。
娘のほうが
よほど適応力があり
父親のいない生活を受け入れている。
時折
「お父さん~言ったんなあ」と夫の口癖をまねてくれる。
「お父さん~行ったんなあ」と夫と出かけた思い出を語ってくれる。
娘の心の中に
大切に残されている夫との思い出。
この子は、きっと
わたしがいなくなっても
こんなふうに
その現実を受け止め
楽しかった記憶を心の支えにして
生きていってくれるのではないかと思う。
親が思っている以上に
子どもはたくましいものなのではないかと。


この子を
残してゆかねばならないことへの
心配や不安は尽きない。
あのころ
夫もこんな気持ちでいたのだろうか、と思う。
表現する「ことば」をなくして
夫はどんなにつらかっただろうと思う。
あのころの夫の気持ちを思うたび
胸が張り裂けそうになる。