私の、少女マンガのための小さな革命は、『風と木の詩』を連載させることだった(竹宮惠子「少年の名はジルベール」より)
著者にとって「風と木の詩」と「地球へ…」の2作により昭和54年度の小学館漫画賞(少年少女部門)を受賞したことが革命の勝利だったのだと、具体的にひしひしと伝わってくるノンフィクション。そこに至るまでの新進漫画家としての10年間の出逢い・苦悩・奮闘を描いた青春記です。
創作について述べられた箇所を、下に引用します。
あなたに、「つらい」という感情があったときに、「大丈夫? どうしたの? 元気出して」と、誰かあなたの友達が励ましてくれたとしよう。気にしてくれたのは嬉しい、でも何かが違うと感じないだろうか。その少ないやりとりには含まれない、もやもやとした大きなものが心のどこかにあって、むしろこちらのほうが大きいという落差に気が付く瞬間。そもそも私は「つらい」のだろうか……とそこさえも疑い、のみ込んでいる状態かもしれない。しかし、このもやもやを突き止めない限り、なんだか一歩も前へ進めない……。その霧のような塊のベールをはぐように、絵にしたり、文字にしたり、セリフにしたりといった作業が創作の原動力の一つなのではないか。はぎとってみて、目の前にその形が見えるものとして現れたときに、作ったのは自分なのに、自分で驚いてしまったり、ショックを受けてしまったり、不思議と癒されたり、全然違うと思ったり。めんどくさいといえば、非常にめんどくさい作業だ。でもこれをしないと心が前に向かない。そして、その私にとってのもやもやの正体が、読者にとっても、突き止めたかった感情の大きな部分であったということもあるのだろう。たぶんそれが、「伝わる」ということなのかもしれない。
著者にとって「風と木の詩」と「地球へ…」の2作により昭和54年度の小学館漫画賞(少年少女部門)を受賞したことが革命の勝利だったのだと、具体的にひしひしと伝わってくるノンフィクション。そこに至るまでの新進漫画家としての10年間の出逢い・苦悩・奮闘を描いた青春記です。
創作について述べられた箇所を、下に引用します。
あなたに、「つらい」という感情があったときに、「大丈夫? どうしたの? 元気出して」と、誰かあなたの友達が励ましてくれたとしよう。気にしてくれたのは嬉しい、でも何かが違うと感じないだろうか。その少ないやりとりには含まれない、もやもやとした大きなものが心のどこかにあって、むしろこちらのほうが大きいという落差に気が付く瞬間。そもそも私は「つらい」のだろうか……とそこさえも疑い、のみ込んでいる状態かもしれない。しかし、このもやもやを突き止めない限り、なんだか一歩も前へ進めない……。その霧のような塊のベールをはぐように、絵にしたり、文字にしたり、セリフにしたりといった作業が創作の原動力の一つなのではないか。はぎとってみて、目の前にその形が見えるものとして現れたときに、作ったのは自分なのに、自分で驚いてしまったり、ショックを受けてしまったり、不思議と癒されたり、全然違うと思ったり。めんどくさいといえば、非常にめんどくさい作業だ。でもこれをしないと心が前に向かない。そして、その私にとってのもやもやの正体が、読者にとっても、突き止めたかった感情の大きな部分であったということもあるのだろう。たぶんそれが、「伝わる」ということなのかもしれない。