湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

沈黙の詩パート1

2016-03-12 13:45:52 | オリジナル
共通テーマ「沈黙」でAが書いた詩を投稿します。
 和賀江島
無言でいる

足踏みするばかりになったらその場で倒れる前に方向を変える
無恥の闘いで顰蹙を買ってでもつかえを取る
どのみち風評は風化する

あの日 
難題を解きほぐす願望だけを手一杯に抱え
硬く黒い道を進んでいた
君は共に歩んでくれた
追い詰められた私のあがきをよどみなく信じ
私の主張を肯定し口裏を合わせた

帰る道沿いのフェンスに陽光が反射していた
その向こうで葉が強く揺れ一瞬世界が前転し
濁った気体がふいと躰から出ていく気配がした

無言で手を握る君の体温を
よく見えぬ前へともがき続ける力にした
僅かな希望がひたひたと寄せ続ける朝を
初めて手にしたのはつい最近のことだ

もう言いたくないことは言わなくていい
言わないほうがいいことも言わない
もう君を巻き込んで嘘をついたり暴露したりはしない
私たちはフェンスを越えた場所にいて
心地よく忘れ去られている
コメント
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