共通テーマ「帽子」でFが書いた詩を投稿します。

帽子
シアトル・マリナースの野球帽が
五十年経って届いた
認知症を患って
クラス会にも出られないという奥さんの
あきらめにも似た
悲痛な叫びとは裏腹に
―おお、よく来た と
満面の笑みをたたえて出迎えてくれた彼
旧交を温めて二時間
辞して間もなく
奥さんからメールが飛んできた
―今来た人だぁれ?
―だれだったかなぁ
わが手には
新婚旅行で彼が買ってくれた
野球帽がしっかり握られている
共通テーマ「帽子」でFが書いた詩を投稿します。

帽子
シアトル・マリナースの野球帽が
五十年経って届いた
認知症を患って
クラス会にも出られないという奥さんの
あきらめにも似た
悲痛な叫びとは裏腹に
―おお、よく来た と
満面の笑みをたたえて出迎えてくれた彼
旧交を温めて二時間
辞して間もなく
奥さんからメールが飛んできた
―今来た人だぁれ?
―だれだったかなぁ
わが手には
新婚旅行で彼が買ってくれた
野球帽がしっかり握られている
共通テーマ「音」でEが書いた詩を投稿します。

頁の音
小春の一日
机上に本を置く
頁 ささやくが如し
寸刻 オシメ オシメ
少年の日も 同様
ささやきしならん
耳 ろうして聞えず
がぜん 時のみゆけり
落日 旦夕にせまり
呆然 敗残の身のみあり
未読の書を積み
むなしく が床となさんか
仮に 少年の日再び
現前すれば いかん
後生に一言あるか
ひたすら 涙するのみなるか
*「少年老い易く学成り難し」をモチーフに、漢文訓読風の文体で書いたものです。
共通テーマ「音」でYが書いた詩を投稿します。

かけらとゆりかご
重さのない真空の絶望
清き暗黒の片すみ
無数の星のかけらの
無数の激突が
苛烈と混沌のゆりかごを造った
母なる命の最初の一片は
どろりと混ざって吹っ飛んで
ゆりかごにしがみついた
あの日 音を聞いた
ダッダッダンダン ダーン
ティンパニをコーラの瓶で打ち鳴らしたか
街の上で轟く
野蛮なファンファーレ
一月の星のかけらが
青い命のシールドに突っ込んだ叫び
物言わぬかけらが息を吸った音
四角い空が並ぶ
土の湿り気もない街の上
木っ端微塵と突破した
無我の星屑たち
燃え尽きる前に
四十六億ゆりかごの
ほっぺたをぴんと弾いた
*1996年に体験したつくば隕石を題材にしました。
共通テーマ「帽子」でEが書いた詩を投稿します。

ヘジャブ
男は選ぶ性
女は選ばれる性
などともらすものなら
今日日通りも歩けない
よって以上以下は亡者の妄言
男は仕事で評価
ついた仕事が酒席の話題
女は亭主で評価
不出来な亭主は恥も同然
老妻は認知症
なのに一緒には歩かない
コノ人アナタノ旦那サン?
マア マア…
というわけ
イスラムの女性には
ヘジャブというかくれみのがあるらしい
わが日本の男性のソレがあったらネ
次回の湘南句会は次の通りです。
日時 2025年1月15日(水)15:00~
場所 逗子市民交流センター1階
兼題 餅 写真

来年もよろしくお願いします。
今日は逗子文化プラザさざなみホールで、第3回ビブリオバトルを観覧しました。
持ち時間5分で本を紹介し質疑応答を3分。観客がいちばん読みたくなった本に1人1票で投票。最も多く票が入った本がチャンプ本になります。
出場者の皆さん
第2部大人の部のバトラーは向かって左側の4人。私もエントリーすれば出場できたのか?? 出場したかったんだけど、推し本を1冊に絞り込めなかったんです

第2部チャンプ本の原田宗典著「おきざりにした悲しみは」を紹介した田幡智子さん。
写真の向かって右側にあるモニターに、ビブリオバトル専用タイマーが出ています。
本好きにはたまらないイベントです。
ナショナルサイクルルートのひとつビワイチでサイクリング。
琵琶湖大橋から
野洲のあやめ浜で紫式部の歌碑に遭遇。

おいつ島しまもる神やいさむらん浪もさわがぬわらわべの浦
父、藤原為時について行っていた越前から帰京する途中に、この場所で詠んだ歌だそうです。
昨日の「光る君へ」最終回、見応えありましたね!
共通テーマ「音」でAが書いた詩を投稿します。

呼吸
モチーフが置かれた台を囲む
皆それぞれがひとしきり
どこからどうやって描こうかと呟く
心が決まると鉛筆を動かし始める
下絵を描きながら初代さんが
最近のトピックを喋り出す
初代さんはいつも
息継ぎを忘れたように一気に喋る
ピラペラピラペラピラペララララ
初代さんに呼応するお喋りの輪が室内に広がっていく
サラスラペチャクチャ
ペチャクチャサッサ
そして突然
皆の下絵が佳境に入る
十人もいて誰も声を立てない室内
サラサラサラサラ
スラスラスラスラ
サラサラサラサラ
スラスラスラス
息が止まっているのに気づく
ラ
ハアー
絵の具を溶きながら見つめると
花瓶の薔薇はさっきより少し萎れている
皆のお喋りが花の呼吸を
少し止めてしまったのかもしれない
花弁が一枚 ハラリ
共通テーマ「帽子」でYが書いた詩を投稿します。

禁忌
山雀が鳴いている
隣人の咳が今日は酷い
午後三時半
冬至は近い
北の納戸の暮れは早い
無感の過去たちがぼやけて並ぶ
にぃと泣く抱き人形の横
サブレの缶には
枯色に褪せた白帽子
あの写真の白帽子
あの人が仕掛けた禁忌
燃えてしまえば
わたしが燃えてしまえば
わたしと燃えてしまえば
わたしの骨に塗してもらおう
わが子の肺にも入るよう
白帽子を引き受けて
望みどおり
元に戻すよ
あなたも山雀の声を聞いたでしょう
共通テーマ「音」でFが書いた詩を投稿します。

共鳴
師走に入ってからずっと
西空は茜に染まり
日ごとに雑木林は明るくなった
山歩きの人は減って
静寂を取り戻したはずの山並は
なぜかにぎやか
山の小道はどこを歩いても
カサコソ カサコソ
その音に我が耳も共鳴して
カサコソ カサコソ
いつ鳴り出したのか
記憶すら定かでない耳鳴りが
己の存在を主張している