作者の千香子さん。「長母寺の山門わきに関東大震災を記録した石碑があり、石碑の間から木が何本か生えています。かなり大きい石碑です。5メートルくらいにもなる椎の木も石の間から生えてきて、茂っています、それを詠みたいと前から思っていました。」とのことでした。
猛暑の中、後日この写真を撮りに行ってくださいました。
「向って右側に
大正十二年九月一日午前拾時五十八分
左側に
死亡者九萬八千人」
と掘ってあったそうです。
この句が、長母寺で出来た句だことを亜子さんにお伝えすると、先日、亜子さんからお手紙が届きました。「長母寺」とはなんと懐かしい響きかと胸がいっぱいになったそうです。小学校4年から東区で暮らした亜子さんにとって、東区の有名なお寺としての長母寺はいつか訪れてみたいお寺として心にインプットされていたそうです。改めて地図で場所を確かめられたとのこと。機会があればいつか行ってみたいとのことでした。そして、どうして名古屋の東区のお寺にこの関東大震災の石碑が建てられたのか知りたいとのことでした。
★★★
写真を拝見して改めて植物のたくましさに驚きました。100年経つとこんなに大きくなるのですね。石を割って出てきた椎の木。その大きさに関東大震災からの年月を感じました。この句を読んだだけでは関東大震災とは思わず、「石碑に生えて」という表現が読み切れずいました。このあたりが写生句の難しいところですね。 麗子