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100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

エベレスト (神々の山嶺 夢枕獏)

2016年03月12日 | 空木宝剣
チョモランマ 色即是空 エベレスト

チョモランマという時代は、仰ぎ崇める神々の峰だったが、エベレストとなってから、ピッケルとアイゼンで踏破する登山の頂きとなった。
日本にも魔の山と称された谷川岳がある。
標高2000mに及ばない山が、北アルプスより畏れられるのは、モンスーン。
風が、生も死も運んでくる。
地球という星は死の世界。
大悲を受けた命は懸命に高みを目指す。
そこに山があるからといったのは、ヒラリーだと思っていたが、実はマロリーだったことに気付かされる。
ひょっとするとヒラリーよりも30年も前に、マロニーとアービンがエベレストを登頂していたかも知れない。
ところが物語は、そんなことは下界のことで、神々の頂きに抱かれた人間には何の値打ちもないことを示唆して終わる。
映画鑑賞者としては、それでもコダックのフィルムを持ち帰り、山岳史を塗り替える直前まで、頑張ってもらいたい物足りなさが残った。
昨日は、東日本大震災の日。
今日12日は、エベレストの頂きには、空しかないことを確認した日。
それにしても、ビートたけし似のカトマンズの爺さんが言った「泥棒すると、山に登れば落石に当たり、尾根を歩けば谷に落ちるぞ」のバチ漢がよろしかったようで。



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