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100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

極楽往生

2008年01月16日 | 千伝。
実家での葬儀は、手順もよく分からずバタバタと失敗も多くあり、ほんとうに手作りのような葬式でした。

でも、お通夜に父の横に並んで一晩中過ごしたり、40年ぶりに会えた同年代のいとこも駆けつけてくれたり・・泣いたり笑ったり・・ほんとうにいい葬儀でした。

父は、昭和の初期の子供の頃に、大阪の安治川沿いで暮らしており、まだ護岸はなく砂浜があって、よくそこで遊んだようです。
その後、市岡第一小学校に入学しています。
その時、皆洋服姿だったのに、一人だけ草履に着物の出で立ち姿で恥ずかしい思いをしたと・・自伝に書いています。

それでも当時日本一の商都大阪は、極楽のように楽しい空間時間だったのでしょう。

そんなエピソードを思い出させるかのような・・

父に申し訳けなく、最後の最後まで、同じような辛い思いをさせてしまった最後の旅立ちでした。

お寺で講話を聞いて、火葬場で父の骨を拾って実家に戻ると・・
三途の川を渡るためのお金、数珠、魔よけ・・そして白装束一式の服が、この世にありました。

つまり、父を着替えさせないまま、何も持たせないまま、浴衣着のまま棺桶に入れて、我ら兄弟は、火葬場へ運び、あの世へ送ったのでした。

大失策でした。

三途の川で、独りだけ出で立ちの異なる格好をした父・・立ち往生しているであろう父に、ただただ・・申し訳なく、あの世での無事を大切に祈っています。

ごめん・・父さん。
がんばれ・・父さん。

でも、あの父のことです。

どんなことがあろうとも、あの世のどんな難事でも、きっとくぐり貫ける(生き抜ける)知恵と勇気と覇気とユーモアがあると信じています。

そんな父親でした。
アリガトウ・・お父さん。

合掌。