無意識日記
宇多田光 word:i_
 



その『宇多田ヒカル・ライナーボイス+』だが、こちらとしては「やっと来たか!」という感慨がある。8年前に『Kuma Power Hour with Utada Hikaru』を放送した時に、Inter FMというローカル局のみのオンエアでは全国の人が聴けないだろうから「ラジオDJCDボックス」にしてリリースしてはどうかと(この日記で勝手に)提案した事があった。その頃はまだストリーミングは殆ど普及してなかったからCDとしたが、現代ならプレイリストでバッチリだろう。よくぞ実現してくれたと拍手を送りたい気分である。今後は、このようなセルフライナーノーツは勿論のこと、『Kuma Power Hour』みたいな他人の曲をかける番組もプレイリストにしてくれると嬉しいな。

しかし、こうなってくると「Spotify独占」という点が引っ掛かってくる。有料サブスクリプションサービスでいえば、日本では最大手がAmazon Prime、2番手がSpotifyで3番手がApple Musicで…と幾多のプラットフォームが存在している。配信ライブは選びきれないくらい方々でチケット売ってるのにどうしてラジオ番組のプレイリストはSpotifyのみなんだと。他のサブスクでも簡単にできるだろ、と。

答えは恐らく至極単純、呆気ない話で、ヒカルの所属するSONYが前からSpotifyと提携しているからなのだろう。確かに、最近のヒカルはSpotifyのみでキャンヴァス動画を配信したり、新年1発目の壁紙プレゼントもSpotifyプレセーブキャンペーンだったりしてSpotifyづいている。Apple Music勢の私としては臍を噛む思いだが親会社には勝てないということか。

ならばなぜ配信ライブチケットは同じくSONY系列のStagecrowd独占にしなかったかというと、これは前も少し触れた通り、今回の配信ライブが来たるべき全国ツアーやワールドツアーに於ける配信チケット販売のリハーサルを兼ねているからだと読んでいる。ツアーともなるとチケット販売はレコード会社一社の手には負えないからね。ぴあやイープラスの協力を仰ぐのは既定路線だ。

しかしラジオ番組は別にそんな事する必要はないから提携先であるSpotify独占・限定にして問題ない訳だ。ただ、そういう傾向があんまり行き過ぎるとヒカルが思うようなプロモーションが出来ないぞと不満を口に出し始めるかもわからない。ヒカルが移籍するなんて言いだしたらコトなので、そこらへんはしっかりOKを貰っている事だろう。ヒカルも昔iTunesユーザーだったのでそのままApple Musicを利用している可能性もあるから、自分が利用出来ないとなると主義に悖ると憤るやもしれぬ。そこらへんは八方うまくやって欲しいもんですな。

あーあ、遂にあたしもSpotify使うことになんのか…勿論、Apple Musicは辞めないけどねっ。今まで積み上げてきたものが大き過ぎるのですよ…。

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そのヒカルのラジオ番組は「宇多田ヒカル Liner Voice+ (読み:うただひかる らいなーぼいすぷらす)」という。こういう読みの説明凄く大事! 例えば声優ネタでいうと藤田淑子が「ふじたとしこ」で太田淑子が「おおたよしこ」だなんて素人にはわからないから! こんな漢字や英単語読めるだろうと放置したら誤解の蔓延は止められない。こういう細かい気遣いが出来てる時点でこのラジオ番組の成功を確信したぜ私は。

で、この「ライナーボイス」ってのが、CDを買わなくなった世代には通じないかもしれないなというところから。

アナログ盤の昔からレコード/CDには、特に洋楽に多いのだが、「ライナーノート(ライナーノーツ)」と呼ばれる解説文がブックレット(付属の小冊子)につけられていた。細かい楽曲の背景やレコーディングメンバー、時期、録音場所などが時にインタビューなどを交えながら書かれていた。この執筆は大抵は音楽評論家の仕事なのだがたまにミュージシャン自身が語る/書くことがありそれは「セルフライナーノーツ」など呼ばれていた。

今回のヒカルの「ライナーボイス」は、その音声版である。ノーツというのはNotes、つまり書き文字のことなので、今回は話し声でライナーノーツを提供しますよというネーミングなのである。

知っている人にはくどい説明なのだが、今の若い人はCDを買わないからそもそも「ブックレット」がどんなものかすら知らなかったりするわけでね。CDを買う世代ですら洋楽の日本盤を購入するなんて1割しかいないんだから「ライナーノーツ」なんてなかなか馴染みがないですわな。

で、ヒカルはそれをブックレットや付属CDではなくてラジオ番組でやってやろうという話だ。しかし、前回書いたように取れた時間枠が1時間弱なので、言葉で説明したとしても肝心の楽曲が恐らくワンコーラスずつしかオンエア出来ないという事態になっているだろう。これはこれで物足りない。

そこで今回登場したのが「Spotifyのプレイリスト」大作戦である。プレイリストにはまだアクセス出来ないが、ヒカルの解説トークのトラックと実際の『BADモード』の収録曲トラックが交互に組まれたプレイリストになっていることだろう。そうなると多分再生時間は1時間半以上になるんじゃないかな。故にニュースにはこのSpotifyプレイリストのことを『本番組のノーカット完全版』と書いている訳だ。もしかしたらヒカルによる解説トラックも、ラジオ番組のそれに較べて長いものになっているかもしれない。ストリーミングはラジオ番組放送時間枠もCD一枚の限界再生時間(約78分)も無関係に幾らでも長時間再生できるからやりたい放題だね。

これはなかなかに画期的な企画になりそうだ。捕獲が面倒なラジオ番組は最初から諦めてSpotifyプレイリスト1本に絞るのもアリかもわかんないね。ただでさえ先行配信にスタジオライブにエキジビションにと忙しい時期なのでな!

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