無意識日記
宇多田光 word:i_
 



"YouAreLikeAGreatInterlude"の1節だ。「まるで素敵なインタールードのよう」と訳されているが9曲めのタイトルにある様にインタールードとは間奏曲の事。不倫相手が間奏曲とは不可解だ。そこで辞書を繙いてみるともう1ッ、「15世紀にイギリスで生まれた演劇の一種。それまでの道徳劇の説教じみたところをなくしたもの。」という意味があった。この曲の主題が愛と想像力とモラル(道徳)に対する挑発であるならば、『旧来の教義的な道徳や規範の間隙を縫って現れた鮮烈な存在』という意味で、この曲の主人公は"アナタ"の事をインタールードに喩えたのかもしれない。今後の研究が必要なテーマだ。

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「MyBodyUnderYourBodyHereWeGoEverybody321」を軸に眺めてみよう。myとyourのbodyは前段のnobody連呼を引き継ぎ、その流れで帰着したeverybodyの、今度はeveryがサビのeverytimeへと繋がってゆく。HereWeGoは32(ThreeTwo)と共に直前のTippyToe*2の韻を踏んでいる。under・your・hereの3ッも語尾が同じだ。こうして見るとこの2行で韻を持たないのはアタマのMyとシッポの"1"のみで、他は総て前段か後段かこの2行内部に韻の相手を持っている。勿論2番のBメロラストとも確り対応している。詞のストーリーを踏襲した上でコレ程の音韻を盛り込めるのは驚異的としか云い様がない。

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TippyToeの「スリルが凪いた時も/頭に入り込む疑念」の部分、英詞では「WhenTheThrillSubsides/WorryInfiltrates」となっているが、subsideもinfiltrateも"水"を思わせる語だ。前者は洪水や潮が引く時に用いるし、後者は辞書に「浸潤する」と載っている。他の語々(例えばgoとcome)でもよかったのに熊々態々水のイメージを湛えたのは、例の出エジプト記の有名な「TheWavesHaveParted/海原は2ッにわかれた」のシーンが念頭にあったのかもしれないと思わせる。尤も、infiltrateの方はthrill・will・still・till・kill・fillと共に「7色の音韻」を構成する必要があったんだけどね。

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を前提に描かれている。といってもコレは英語圏では普通の感覚で、"OhMyGod!"の様に日常会話に神・天の名が現れる。この曲は、普通の恋愛描写を通し英語圏でのモラル意識を支える"どこにいてもアナタを見守り続ける神が居る"一神教的世界観を教えてくれるのだ。この辺り、"人生短い/色とりどりの生物の舞い"と多様な視線の存在を歌う和風"八百万の神々"的宗教観なワンナイトマジック(コチラは友の恋人を奪う曲だが)等とは実に対比的だ。ワンナイでは裏切る相手の目線を気にしているのに対し、TippyToeで気にしているのは直接相手の家族ではなく運を与えてくれる神様なのだ。

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TippyToeには"Heaven"という語が1度のサビに2回出てくる。が、訳詞には"天"or"神"等の語は現れない。2回共特殊な用法なのだ。1ッはHeavenKnowsでコレは「誰も知らない」と訳す。「知ってるとしても神様だけ」の転と思えば解り易いか。もう1ッはHeavenNeedsAPrayer、コチラは「運を呼ぶ為天に祈らねば」という風になる。和訳どころか日本人には発想自体ピンと来ないか。2ッとも"神様はアナタを(私を)何処かで見守ってくれている"という宗教的意識背景がなくば形作られない発想である。自分しか知らない事も天なら知ってるし、天が見ているから運を祈る気にもなる訳である。

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…を端的に表現するのが2番冒頭「スリルが凪いた時も私のモノでいてくれる?」の1節だ。吊橋効果なんて用語もある位恋愛感情の引金にスリルは重要なのだがソレが"本当の愛への引金"か否かについての不安(worry)を詞の中でこの様に叙述しているのだから、割り切って情事のスリルを楽しむ"浮気"な気持とアナタに愛されたいという"本気"の狭間で主人公が揺れ動いているのが判る。ソレを確かめる為には1歩踏み出した関係を築かねばならないがソレには今の関係を壊す以外ない。勇気の足りない今は空想の中でその感情を弄ぶのみだ。そのジレンマを描くのがTippyToeの主眼である。

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「爪先立ち」の事である。が、確かに「爪先立ちでそっと踊るアナタ」という訳が歌の1番に出てくるが、意味としては2番の「忍び足」の方が直接的だろう。"既婚者で子供までいる"アナタと私がお忍びで密会する、秘め事、不倫の事を指すのだ。その背徳的に押し殺した呼吸と音を立てまいと慎重になる爪先がシンクロナイズする。「床にぴったり張り付いて」「ドアを閉める時は慎重に」等の描写からは情事の現場が非常に大胆である事が想像される。とはいえ、この曲にはthink・pray・imagine・visionと"頭の中"を思わせる詞が並んでいるから実は"大胆な事は想像するだけ"なのかもね。

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EXODUSでは反モラル的な恋愛の詞が多い。英語圏でのモラルの代表はキリスト教でその象徴が神、翻って反モラルの象徴として聖書に描かれているのが悪魔であって、このアルバムがOpening~DevilInsideで始まるのは偶然とはいえまい。が、ブラックメタル的なアカラサマな"反モラル"精神とは異なる、モラルを教義というよりゲームのルール位に軽く捉える"非モラル・無モラル"的な態度という方が適当か。つまり作詞者の光に不倫願望があるからとかでこのテの物語が書かれている訳ではなく、モラルをルールとして駆引を繰り返す人間模様の妙を描きたかったとみるべきだろう。TippyToeも又そういう詞の曲である。

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コレはEasyBreezyの詞とは全く正反対の事態といえる。彼のケースは、詞の一部分だけを取り出すと物騒だが全体を見渡すとそんなでもない詞の構成が問題の種となっている。EBは(既述通り)ソレとは逆に不要な諍いを避ける工夫を施してある訳だ。サウンドとタイトルを表面的になぞった位の人には「爽やかな曲だな」と好印象を与えつつも一通り詞に耳を傾けてみると物議を醸しそうな点が見えてくる様に設え、更にソコから含意を読み取ろうとする人には考えさせるだけのテーマも潜ませてある。種々の熱意や注意力を持つリスナー各々に合わせ、提示するテーマを調整してあるのである。

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光の着うたフル(R)初のミリオン突破らしいのだが、記事の書き方に目がいった。リッスンジャパンは「デビュー10周年にして(略)初の快挙」、ライブドアは「デビュー以来初の記録」となっている。両者共EMIからのプレスリリースを下敷にしているのだろうが、キャリアの大半が着うたフル(R)のない時期の活動になるヒカルに熊々態々「"デビュー後"初」と付けるのは如何にも妙だ。ライブドアの方は「初のアルバム売上前作超え」(何度読んでも嬉しいぜ)の話も蒸し返してくれている。コレは、EMIがヒカルの"上げ潮ムードの10周年"を殊更強調している様に思えてならない。今年中にヒカル側からもう1アクションありそうな予感だ。

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全編「アンタなんか招き入れなければよかった」と後悔するタッチで描かれていた詞が、最後突然「彼女は新マイクを得たからもうアナタに用はない」と態度を転換する場面は奇妙に鮮烈だ。が、i_はこの箇所の真意を測りかねている。遊ばれて悔しいけどもう次を見つけたもんね、というのでは何だかただの負け惜しみに聞こえてしまう。或いは"お互い様"という事なのかもしれないがもしかしたらこの曲、日本人男子が女子に一度きり遊ばれて捨てられた詞なのかもと思った。詞の中での人称は最後のshe迄you&Iのみで、誰の性別も特定されてないからだ。まぁ、流石にソレはないかw

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音が届く前このタイトルを目にしi_は2ッ曲を連想した(ユーリズミックスThereMustBeAnAngel・シャニースILoveYouSmile)。実際、期待通りの曲調であった。即ち光はヒネらず直球で曲名をつけた訳だが、裏を返せば、まず聴き手をサウンドのママの爽やかなタイトルで惹き付け、ソコから詞をジックリ聴いて貰い感じ考えて欲しい、という意図が明確だったのだといえる。たとえ英語が聞き取れたとしても、この曲は一歩踏み込まねば真意が伝わらない様になっている。ただサウンドを何となく耳にするだけの人達にはタイトル通り耳心地よい微風以上にはならず余計な誤解を回避できる仕掛となっているのだ。

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皮肉と辛辣だらけである。このテの対比的手法は洋楽では常套だが邦楽では皆無で、コチラはあクマで詞とサウンドが同じ世界観の中になくてはならない。この差は、英語詞と日本語詞で聴き手の捉え方が根本的に異なる事から生じる。日本語詞はTVに例えるなら登場人物のセリフにあたり(映像が演奏にあたるとして)、英語詞はナレーションに相当する。ラブラブなムードの場面だと登場人物は愛を囁く他ないがナレーターなら「ハイハイご馳走サマ」と冷めた距離感でモノを言う事も出来る訳だ。翻訳対談で光が「英語だとユーモアやストーリーテリングを載せ易い」と言ってたのはこの点を指してたのかもしれない。

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けど、いつかは光もジブリの主題歌歌うのかなという思いもあり。特に海外進出に於ては、日本版を宇多田ヒカルがエミから、海外版をUtaDAがユニから各々リリースするなんて離れ業も可能だし。光もProfileの好きな映画に「宮崎駿作品」("ジブリ作品"じゃないんだ。ナウシカをハズす訳にはイカンから?)と"鉄板認定"している。宮崎監督自身、もののけ姫以降はいつ引退するか判らない(ソレだけ毎作賭けてんだろうな)中作ってるのでそろそろ出番が欲しい所。次作のテーマが「光」だったりすれば白羽の矢も立つかもしれない。でも光は静的な「ヒカリ」ではなく動的な「ヒカル」なんだよなぁあクマでも。

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http://www.ghibli.jp/ponyo/

ネタバレ感想、、、というほどストーリーには触れてないんだけど、、、、はコメント欄に掲載しました。
このエントリ内はまだ見ていない人向けの内容です。

***** *****


自分なりにまとめると
「絵本の世界が動き出し、現実世界が絵本に溶け込む世界観」
の中で繰り広げられるシンプルでリトルなラヴ・ストーリー、といったところか。

なのでターゲットとしては、“いろんな絵本を眺めるのが好きな人”が想定されるだろうか。
いろんな、というのは、シルヴァスタインのような線画から、ほとんどルネサンス壁画のような
精微に描き込まれたものまで、それこそ多種多様な絵本の世界が
ゆるやかにアニメーションで繋がっている感触である。
その絵柄、動き、タッチと同調するかのように、ストーリー自体もまた、
ゆるやかに様々な価値観と世界観同士を微妙に揺らめきあいながら進む為、
例えば“ロールプレイングゲームのように”きっちりとフラグ(条件)をクリアしながら
明確な目的に向かって進む冒険活劇(たとえばラピュタね)を求む向きには厳しかろう。
また、となりのトトロのようにリアリスティックを主軸としてその中にメルヘンが紛れ込む、
という古典的な感じではなく、「もののけ姫」でみられた、3者以上の価値観が
衝突と融和を繰り返すのを、アニメ上の技法や個々のキャラクターの住む世界観という
“メタ・レベル”で再現した、というちょっとマニアックな見方も出来るかもしれない。

正直、話が難しくなりすぎた(苦笑)。
もそっと簡潔に。

つまり、ストーリーのアラを探さずアニメのキレイさを楽しむ、という人には向いている。
映像を浴びに行こう、という。ただ、生々しさとメルヘンが混ざり合ってるので
ひとによってはちょっと違和感があるかもしれない。
ストーリーやメッセージ性については、説明不足が甚だしいので、
「それどういうこと!?」と気になり始めたらもう映画を楽しめない。
「ポニョかわいい~!」「ソウスケくん凛々しい~!!」とか、そんな感じで楽しみたい。
ストーリープロットのシッカリした海洋モノアニメが見たい、というのなら
僕がこないだ見た「ファインディング・ニモ」が出色の出来なので、そちらをオススメしとく。
映像美そのものを堪能したい、というのなら、「千と千尋の神隠し」の方が壮麗だな。
アクションシーンのダイナミズム、となればラピュタや紅の豚がいいか。
純粋に子供向け、ということになるとトトロの方がキャラは立つなぁ。

ということで、「この映画は他の宮崎アニメに比べてここが突出している!」という点は、
あんまり見当たらない。でも、音楽も含めどの面においても一定以上のクオリティには
達していると思うので、気軽に見に行って気軽に帰ってくるには、上映時間割り当ても
110分(前9分は宣伝時間だから実質101分かな??)とお手頃だし、
夏休みに家族連れで見に行くにはまぁそれなりによさそうです。
(でも、自分に子供がいたとしても、連れて行きたくないなぁ、というのが本音なのですがその話の続きはコメント欄で)
恋人同士だと、あんまり気分が乗るようなものでもないかな?
でもそれは大抵の宮崎アニメにいえることか。


さて、私の素直な感想は以下米欄でご覧下さい。
あんまりストーリーの結果がどうなる、という文章のでもないから、
一応ネタバレ扱いではあるけど、読んでから見に行っても楽しめる、、、かも。
寧ろ、私の視点が余りにもへんちくりんなので、
偏見が強くなりすぎて素直に映画を楽しめなくなるかもしれない弊害の方が心配。
まぁ、そこまで僕の文章に影響力は、ないかなw 自意識過剰ー。


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