あんまりにも書き散らしてしまったので論点を整理しておこう。
・宇多田ヒカルは誰もが認める超実力派ミュージシャンなのにファンベースのマスメディア依存度が高い。
・マスメディアに情報淘汰不全が起き始めている。
・新曲を出しても売れてるかどうかをはかる指標が無い。そもそも何を買えばいいかわからない。
・宇多田ヒカルは大衆を相手に曲を作っているのに数字には拘らない。即ち、消費者が大衆なのに一切大衆に媚びない。阿らない。非常に稀有な存在である。
とりあえずこんなところか。てな訳でこの国では八方塞がりなので大衆音楽に活気のあるどこか他の市場に行くのが解決策かなと弱気な事を言っている俺という構図だ。うぅむ。
7年前はHステ関連売上が2000万ユニット突破!などと記事が書かれていたが、まずユニットという数字に馴染みが無いし、説明を読んで納得しても、今度は比較対象がないから2000万ユニットがどれくらい凄いのかピンと来ない。多分、7年経った今でも状況は変わっていない。
例えばPrisoner Of Loveはミリオンダウンロード、即ち昔でいうミリオンセラー、特大ヒット曲なのだが、皆にそういう認識はあるのだろうか? Youtubeの再生回数を見れば今やFirst Loveに次ぐ、Flavor Of Lifeと同等以上にヒカルの代表曲なんだが、皆それを知っているのだろうか? この捻れは珍しい。皆がこの曲を愛しているのに、皆自分以外の人もこの曲を愛しているのを知らないのである。とてもとても、奇妙である。
年月は経ったが、相変わらずヒカルへの潜在的人気は高い。ただ、それがかなりの割合でマスメディア依存なので、火が点かない限り全く浮上してこない。そして、今や誰もマッチを持っていない。まさにミスマッチ。うん。(納得すんなや)
ヒカルの気質というのも大きい。UU06のあと2年くらい休もうかと思ってたのにぼくはくまをリリースしてしまい、花より男子2のイメージソングの依頼もOKしてしまう。そのままズルズルと3年間活動していった。ズルズルの割に曲の質の高さは異常極まりないが。
確かに、自分の好きな音楽を追究するタイプではない。注文も無いのに料理は作らない、工場も動かさない、という結構徹底したプロフェッショナリズムが背景にある。しかし客に媚びない。という風に書くと依頼に忠実な職人気質のミュージシャンか、となるがそうでもなく「宇多田ヒカルであること」へのこだわりは相当のものだ。前世を変えられそうになって危うくみんなのうたがおじゃんになるところだったり。
んで客に媚びないというから一見さんお断りの閉じた商売なのかと思いきや相手は大衆なのだ。うぅん、やっぱり八方塞がり。
これらが、16年前は総て裏返しだったのだ。八方塞がりならぬ八方美人、それも全方位美人というか、全部の方向が宇多田ヒカルを支持した。どちらを向いても宇多田ヒカルは凄いという声ばかり。気が付いたらFirst Loveを持ってレジに並んでいるのだった。
だから、ほんのちょっとの事なのだ。ほんのわずか、皆の期待を吸い上げて集約するシステムが出来上がれば、First Love, Flavor oF Life, Prisoner Of Loveに続く代表曲が生まれる、いや認知されるのである。そして今私はその希望を日本のマスメディアに対して持てない。そういう事だ。何か新しい手はないものか。まだまだ模索は続いていきそうだ。次回へ続く。
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