インゲンは「つるあり種」と決めていた。ずっとそうしてきた。それなのにことしは「つるなし種」になった。つるあり種に結構こだわってきたくせに、意外といい加減な男だなと思えてきた。
つるあり種のための支柱が足りなかった。ほかに使っていて、不足してしていた。家庭菜園の支柱はよく折れる。買い足せばいいものをさぼっていた。買いに行くのも面倒だなと、それならとつるなし種に切り替えた。
それに支柱を立てるのが面倒になってきた。それでも準備するときは目的があるからいいのだが、収穫後の撤収に手間を感じるようになった。まあいいか、とそんなことでことしはつるなし種になったというわけである。
つるなし種は一度だけ作ったことがある。栽培期間が短く、収量が少ない。そのことを覚えている。収穫期間もあっというまに終わってしまったように記憶している。
インゲンは発芽がいまくいけば、まず間違いなく収穫に結び付く。さっと茹でて鰹節をかけ醤油を落として食べる。茹ですぎるとぐにゃっとして食感が悪い。やや硬めが好きだ。飲んべえには夏の食卓にかかせないから、夏野菜として作らないわけにはいかない。