枯れ葉と根を取り除くと、殿様然とした姿になる下仁田ネギ
1月に入ったというのにいまだ青々とした下仁田ネギ
下仁田ネギをやっと収穫する気になった。暖冬傾向だという。1月に入ると青い葉は寒さで枯れてくるのだが、この冬はいつまでたってもそうはならない。これまでの経験でいえば、12月中旬からうまくなってくる。しかしこの状態では食べるのはもう少し待とう。そうしているうちにとうとう年を越してしまった。
タネをまいたのが一昨年の10月。ここまで15カ月がたっている。殿様ネギといわれるだけあって見た目もすでに立派な姿になっている。通常下仁田ネギはタネまきから収穫まで14から15カ月かかる。しかし本格的な寒さがやってこない。寒さに当たれば当たるほどこのネギはうまくなるからもしばらくの辛抱だ。
もう1月。そろそろ食べたい。さてどうしよう。収穫時期にこんなに慎重なっているのが自分でもおかしいくらいなのだが、下仁田ネギ栽培を30年近くやっているのだから、ここは旬にこだわりたい。すでにほかの冬ネギ(赤ネギと九条太ネギ)を食べられているのだから辛抱はできる。
待ちきれなくなっていた。おとといの7日。よし、掘り出そう。シャベルを土の中に深く入れる。葉鞘部(白い部分)が現れた。太い。4から5センチはある。どうだとばかり、殿様ネギの貫禄を見せてくれた。
この日の晩ごはんは、下仁田ネギ、赤ネギ、九条太ネギの3種の冬ネギの食べ比べになった。下仁田ネギの味は濃い。ほかの二つの冬ネギの淡泊さに比べ、ねっとりした味わいが持ち味である。さすがだなと、1年ぶりにそれを感じながら食べた。待ち遠しかった冬の味を楽しむことができた。
下仁田ネギの栽培期間は長い。それなのに旬は短く厳寒期にかぎられる。厳寒期を迎えて味はいいよいよ最高になる。この時期を逃すことなくせっせと食べないといけない。