W杯アジア最終予選のB組の天王山、オーストラリア(以下豪州)対サウジアラビアの試合のビデオを見ました。生中継するほどの試合ではなく、テレビ朝日で夜中に録画放送されていました。90分の試合を60分ほどで放送していたので、すべてのプレーを見たわけではないですが、感想を書きたいと思います。
まず、最初の驚きは豪州が3バック(3-6-1)を採用していたことです。昔のトルシエ監督が率いた日本代表のような、いわゆるフラット3のシステムです。もっとも、両サイドに攻撃的な選手を置いて攻めに出たトルシエ監督とは違って、苦しくなったらアウトサイドを自陣に下げて5バックで守ってもいいことになっています。
この布陣にはいくつか弱点があります。それは豪州のダブルボランチが引っ張り出されることがあり、空いたバイタルエリアからスルーパスを出せば攻略は可能です。ベテランのジェディナックも出場していましたが、二人とも引っ張り出されるのはダブルボランチのコンビの熟成不足も感じます。
もう一つは、右アウトサイドのレッキーの守備力の不足です。レッキーはもともと攻撃的MFの選手で、アウトサイドに必要な安全運転のプレーが徹底できていないところがあります。彼の不用意なバックパスから豪州がピンチを迎えた場面もありました。
それでも、この試合は豪州が3-2と勝利しています。その要因としては、先制点の場面でサウジのGKにプレスに行ったように、気迫で上回ることができていたと感じます。そのフィードをサウジGKがミスしたことで欲しかった先制点が入ったので、豪州としてはどうしても勝たなければならないこの試合に賭ける気持ちを出すことができました。
また、1トップで起用されたユーリッチのボールキープも効いていました。彼の足元は非常にうまく、豪州の縦パスをかなりの確率で足元に収めてくれます。少なくとも、豪州には攻撃を形にできる能力はある、そのように感じました。
日本は8月にホームでこの豪州と当たります。もっとも、このサウジ戦を勝ったので豪州は必ずしも日本戦の勝利が必須条件ではなくなりました。どういう戦い方をしてくるか、引き分けも意識してくるか、そのまま必ずしも3バックで来るとは限らないところが注目ポイントです。